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不安や不満だけで転職を決めると失敗するのはなぜか

自分の心が不安や不満で満杯の時に
転職の意思決定をすると失敗することが多いと
よく言われますし、私もそう思いますが、
なぜでしょうか?

短期で転職を繰り返す人の気持ち

2,3年置きに5回6回と繰り返している人に
それぞれの本音の転職理由をお聞きすると、
例えば、
自分の高い業績や実力に見合わない人事評価や、
割に合わないと感じる役割、
学生時代からの友達の給料が自分より高いと知った
(自分の方が優秀で上だと思っていたのに、、、)、
勤務先の業績が悪化したことなど、
確かに不安や不満が高まりそうな事柄が多いです。
 
これらの事柄が自分に生じても、
仕事を辞める程には気にしない人も多いでしょうが、
自分に生じたら面白くないと言う気持ちは
誰しも大なり小なり感じるのではないかと思います。
 
いずれにしても、上記のようなことが生じて、
このままで自分は大丈夫か?
やってられない!!
、、、などと動揺して転職を考える人は多いです。
 
これらの気持ちは理解出来ますが、
同じような理由で何回も転職を繰り返すことに
なるのは、本人にとって残念ですよね。

非常時に重要な決断をすると失敗する(ことが多い)

想像してみて下さい。
上述したような理由で不安や不満を抱えている
自分の状態を。
 
こーんなに誰よりも頑張って業績を出したのに
(手を抜いている人がいっぱいいるのに)
その頑張りを上司に理解されておらず評価も平均レベル。
 
実力は無いのに上司に媚びへつらっている人が
優秀な自分よりも先に昇格。
 
学生時代は自分と同じか、
むしろ自分の方が上と思っていた友達が、
自分よりも年収が倍以上に高かったことが判明。
(35歳の自分が600万円、友達1500万円、等)
 
こんなことが生じた時に、
強烈な不満を抱えることは誰だってありそうです。
 
そんな時に自分の心の内は穏やかではありません。
自分のプライドやアイデンティティが
危機に直面している非常事態です。
 
そんな非常事態の中で大事な決断をすると
多くが失敗してしまうのです。
いつもと異なる心理状態ですから。
 
少し前のことですが、
リーマンショックの不況時には、
外資金融マンにお会いするたびに
金融はもう終わりだ、
投資銀行業界はもう終わった、
などと第三者的に見れば、
いくらなんでも考えすぎでは???
と思う様な発言を知的なエリートの方々が
口々に言っていました。
 
で、職場環境(企業文化)や年収、
仕事への興味には目をつぶって転職するのだと、
ちょっとその人の性格からは(普段なら)
無理しすぎているような決断をしていった
人々が沢山おられました。
(その後、1年以内に再度転職をした人も多かったです)
 
もう少し心を落ち着けてから判断した方が
良かった(はずの)人々が沢山いました。

急ぎつつも、じっくり考える

転職という人生に大きな影響を与えることは
非常事態に陥った心理状態で急いで答えを出すと
失敗することが多いです。
 
そもそも自分が何に不満を感じているのか。
それは仕事の中身か、収入や人間関係か。
仕事の中身であるのなら、
自分が仕事で大切にしたいことは何か。
収入や人間関係なら、
それは自分の許容範囲のボトムラインを
ぎりぎり上回っているのか、
下回っているのか。
どの程度ならヨシとするのか。
 
など、現状を分析しつつ、
ゆっくりと、じっくりと、
自分にとって本質的な答えを出すために
内省していくことが必要です。
まずは自分を知ることから始めると良いでしょう。

(2023年5月8日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

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