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<7>同じ職務でも内容や必要スキルが変化してきた!

働く環境の変化は、雇用がメンバーシップ型からジョブ型へ変化しつつあることだけでなく*、同じ職種でもその職務内容や求められるスキルが変化しています。
(*参考:ジョブ型雇用社会で必要なキャリア・デザインの考え方とは

必要なスキルが変化

産業や社会の変化が特に加速している近年では、今まで自分が慣れ親しんでいた仕事のやり方が陳腐化することや新たなスキルが求められることなどが頻繁に生じています。個人はその変化に適応していかなくてはなりません。

例えば、公認会計士の場合、2010年頃までであれば自らの保有する高度な会計知識があれば転職先に困らないだけでなく、様々な高度な仕事に就くことが出来ました。事業会社の経理財務の仕事だけでなく、証券会社の投資銀行部門におけるM&Aアドバイザリー業務、引受業務、株式アナリスト業務、投資ファンドでの企業投資業務、コンサルティング会社での経営コンサルティングや企業再生アドバイザリー業務などなど、これらの業務を経験したことがなくても会計の専門性が評価されて採用される機会が沢山ありました。

しかし、現在では会計事務所での監査業務のみの経験ではこれらの業務に採用されるのは難しいことが多くなりました。関連業務の経験、財務分析、業界知識、英語力などなどプラスαのスキルが必須となっています。事業会社への転職においても、会計の専門性に加えて、業務を効率化する為の自動化ツールのスキルや問題発見・解決の思考力、英語力など会計の強みに掛け合わせる強みやスキルが出来れば複数あることが求められるようになりました。この様に同じ(はずの)職務でも内容や求められるスキルが変化しているのです。

新しい職種の誕生

もちろん、新しい職種も生まれます。データサイエンティスト、ソリューションアーキテクト、UXデザイナーなどAI関連の分野で活発に募集されている職種も、CXOやターンアラウンドマネージャーなど会社の変革期に経営改革を担う職種も、10~15年前には存在しなかったか、あるいは職種名から仕事内容が広く人々に伝わるほどには一般化していませんでした。でも、今はいろいろな会社で必要とされている専門職です。新しい仕事が生まれています。

職務の内容が変化

一方で、例えば、製薬会社のMR職が扱う営業行為はEコマース上での製品プロモーションに一定割合が置き換わり、銀行の営業職は融資の提案営業から自グループの様々なソリューションを提案する営業に変わりました。

法人営業でもミーティングの一定数(または大部分が)オンラインとなったことによって、10年前までのように挨拶と雑談だけの顔つなぎのミーティングは消滅しつつあり、その場で話す具体的な提案内容や相手が価値を感じる会話内容が重要になっています。

こうして今ある職種の10年前の姿を思い出してみると色々な職種の仕事内容が変化しているのが分かりますね。この様に主要な職種が消えて無くなったとは言いませんが、同じ職種名でも仕事内容が大きく変化しています。また、これからも変化していくでしょう。

早い変化に適応

新たに生まれていく職種も、仕事内容が変化していく職種も、個人は新たなスキルや知識を習得して新しい業務プロセスを覚えるなど変化に適応し続けていくことが、現状を維持する為にも、キャリアアップする為にも、必要なのが現在の産業社会です。15年20年前と比較すると格段に変化のスピードがアップしているのです。

社会の変化とともに仕事だけでなく、プライベートも大きく変化をしています。家庭について言えば、夫婦共働きが7割を超えてしばらく経ちますし、父親が子供のお弁当を作ることや外れたボタンを洋服に付け直すことは当時では珍しいことでした。しかし、それらは今では普通のことで、男性の場合はこれらの様なことは出来ないというマインドセットでは結婚してもらえませんよね(笑)。要するに仕事でもプライベートでも社会の変化が速くなっています。

自らをリセットする

この様に早くて大きな変化に適応をする為には個人は自らをアップデートし続ける必要があります。更にはアップデートでは間に合わない外的および内的な変化の時や、過去コラムで述べた人生10年×10回説で10年に一度キャリアを見直す時には、現状の自分に積み足していくマイナーチェンジでは対応できません。何をやるべきでしたでしょうか? 

リセットでしたよね。
(参考:新しく始める為の第一歩は、古い自分をリセットすること

このマガジンの以前のコラム(新たな自分に変わる秘訣は3つのステップに有り)で、新たな自分になって新たな人生を始める為の方法は「手放すべきものを手放して、終わりと始まりの狭間を過ごし、新たに始めるという3ステップである」とご紹介しました。

ただし、スマホやパソコンのOSとは異なり人間には感情があり、常に合理的に考え行動できる訳ではありません。古くなった観念に固執すること、慣れ親しんだやり方を捨てることを拒むこと、また新たな挑戦を恐れる気持ちもあります。これらの感情が新たな自分に変わることを阻んでしまい、人は変わるべき時に変われないことが生じるのです。

しかし、そうと分かっていれば変化に抵抗する自分の気持ちは自然なものであると受け入れることが出来ますし、その上でやるべきことも明確です。

繰り返しになりますが、まず始めに行うことはリセットです。人生を大きく変える為にも、小さな変化に適応していく為にも、リセットして古い自分を終わらせることが、まず始めにやることです。

(2023年10月2日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士


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