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<6>ジョブ型雇用社会で必要なキャリア・デザインの考え方とは

日本の雇用はメンバーシップ型からジョブ型に移行していくのでしょうか?

個人的には、米国型のドライなジョブ型雇用へ急に変化することは無いにしても、日本風に土着化したジョブ型雇用へ徐々に移行していくのではないかと思っています。

労働市場の状況変化

既にメンバーシップ型雇用の特徴である年功序列や終身雇用が崩れつつあります。更に、コロナ禍をきっかけにリモート勤務が定着し社員には業務のアウトプットが明確に求められるようになったことや、多くの若手社員が終身雇用や年功序列に魅力を感じず自らの専門性を確立することを目指して躊躇なく転職することなど、労働市場における状況変化はジョブ型雇用へ向けた動きを後押ししているように見えます。 

ジョブ型雇用とは

ここでジョブ型雇用について、少しおさらいをしておきましょう。

ジョブ型雇用とは、労働者が行うべきジョブすなわち職務が明確に雇用契約に定められていて、その職務を遂行するスキルがある人を採用するスタイルの雇用です。

具体的にはジョブディスクリプション(職務記述書)に労働者が遂行すべき職務が記載されています。更に、その職務を遂行する上で必要な要件(スキルや経験)、その職務に対する給与額なども定められています。

採用の時にはこのジョブディスクリプションに記載されている職務が出来る人(職務を遂行するスキルがある人)を募集して、そこに記載されている要件に合致する人を、その職務に定められている給与額で採用します。そしてその際に企業と候補者の間で取り交わす雇用契約にはその職務に就く者が従事すべき職務が規定されています。

このようにジョブ型雇用では職務内容とそれに必要なスキルなどの要件が明確に規定されていて、その要件に合う人が採用されます。給与もその職務に定められていますので、収入を上げたければより専門性が高くて給与の高い職務に転職(社内公募も含め)をします。企業としては採用候補者がその職務が出来なければ採用しない、出来るなら採用する、そして、採用後も職務を遂行出来ていればOKで、出来なければ解雇です。
(→誤解が多いところですが、重要なのは「出来るか出来ないか」であって、仮に150%出来たとしてもプラスの評価や報酬は無いという考え方です)

ジョブ型雇用社会で必要なキャリア観

つまりジョブ型雇用の特徴を大雑把に2点でまとめると次の通りです。

労働者が行うべき職務が明確に定められていて、その職務が出来る人を雇用する。

給与は職務に付与されているのであって、人に値段がついているのではない。

この様な特徴があるジョブ型雇用の社会でキャリア形成をしていく為には、自らキャリア上の目標を定め、それを達成する為に必要な経験やスキルを得る為の計画を立て、学習や転職を含め行動していく必要があります。

現状維持のままで同じ職務を何年続けても昇格はせず、収入も増えません。そして企業がその職務はもう必要ないと判断すれば職を失います。

年功序列ではありませんから、管理職は若い人だとしても管理職、スタッフは長く務める年長者でもスタッフ、管理職とスタッフの間には実務経験やスキル、学歴(例えば、欧米におけるMBA)などを満たさなければ超えられない高い壁があります。きちんと、まじめに役割をはたしつつ何年か経過すれば昇格して収入も増えるという労働環境ではなくなるのです。

この様な労働環境の社会では人は自立して自ら目標を設定してそれを達成する計画と行動をしていくことが求められます。他人任せではダメなのです。現在はそんな環境にシフトしつつありますから、個人としては自らのキャリアデザインに取り組むべきでしょう。

皆さんは自分の将来像を考えてビジョンを描き、それに向かう為のプランニングをやっていますか?

(2023年9月25日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

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