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輿でも電車でもいいから乗って祈祷に来いよ

なげかわしくも俺は、何もないところからストレスを生み出す天才である。

ふと意識を現世に戻したら過食アディクト真っ只中にあり、ゲロと涙をふんだんにこぼしながら有給申請をし(来年7月までの分を全使用)、あれよあれよと長期休養に入っていった9月。

1日16時間もスマホをイジり倒し、寝て起きてご飯を食べてまた、一糸乱れぬムーブで布団へダイブ、Netflixを延々とサバイブする日々を人は堕落デブと囁くそうだが、じゃあそんなお前には何ができるって言うんだよ(吐血)!ヒュージャックマンも離婚しちゃったじゃねーかよ(悲報)!俺は妻と子を大切にする(勿論今もしているだろうが)彼が好きだったんだよ(困惑)!返せよ(圧迫)!人のもんだから良く見えるんだよ(最低)!独身のヒュージャックマンなんてただのイケメンじゃねーかよ(最高)!

1日で2日分の出勤量がまかなえるというお得な皮肉

引きこもりすぎだと自覚はしているが、近頃は外出して5秒で目頭を押さえはじめ、人混みの摩耗力に擦り切れつつなんとか1時間徘徊するも、最後はムスカの形態模写で爆速帰宅バルスするのが定番エンドとなっている。

本当は自分のストレスの原因が、高すぎる“こうありたい自分像”からきていることは重々承知しているし、想いだけが先走って行動が伴わないから、結局悶々として存在意義とか意味とかをネチネチ問いただし始める(※自分に)のだ、とも理解している。

そうしてしばらく唸っているとインテリアガン無視で設置したミニ神棚(ティッシュケース等で段差を粋に演出)に立てかけてある護摩札(※1)が急に落下し、PCのEndボタンが飛んだ(※2)。

※1:景観は著しく損ねるが心の治安はだいぶ良くしてくれる
※2:画質が悪いのではない、PCが汚いのだ(自信満々)

祟りじゃん!!!!!!!
なにこれ終焉エンドってことなの?!
やめてよこう見えても善良な信者だよ!!
はめてもはめてもリバウンドしてボタンが戻らないよどうしてくれるの!!

嗚呼…もうこれ全部あれだ、神社だ神社、神社が解決だ。

おい!神社連れてけ!
誰か輿こし(※3)持ってこい!
輿に担いで俺を連れてけ!

※3:ファーストライブのオープニングはこれで登場したい

落下してきた護摩札は1年前(当時の様子※4※5)、わざわざ厄除けで有名な川崎大師へと足を運んで祈祷してもらったものだ。そういえば効果は1年と聞くし、やはり輿でも電車でもいいから乗って祈祷に来いよ、というメッセージなのかもしれない。

※4:同担拒否っぽい子がいたので斜めのアングルでそっとおさめた駅名標
※5:この日を境にして凶へと向かうことを、俺はまだ知る由もない

そうと決まれば早速出発せねば。
重い腰を持ち上げてまずは自宅の最寄り駅に到着。

ああしんどい、もうしんどい、帰りたい。
あと何駅あるんだよ!なんで平日にこれだけ人がいるんだよ!
もういいよ堕落でもデブでもいいから帰ろうよ帰らせてよ!

されど護摩札の声を無視できるほど弱い信心でもない俺。
新しい護摩札がないときっと災いが加速してしまう…
PCのEndボタン剥奪どころではない事件が起こってしまうんだ!

それはいけないこの先大事!
でも行けないんだ川崎大師!
もう鳴いてないよツクツクボウシ!


韻を踏む元気はあるが電車の乗り継ぎにかける情熱がまるで足りない。
さっきから乗り換えの駅で棒立ちになって虚空を眺め、引きこもりの風格を無駄に漂わせてしまっている。
仕方ない、ここまで来たという努力は川崎大師の偉い人(誰)も認めてくれるはずだ、断腸の思いで引き返そうとしたその時、突如として現れた看板に目が奪われた。

【安産・子育て・縁結びの〇〇神社:御祈祷・厄除けも承っております!この先徒歩5分!】

徒歩!5分!世界は!一つ!
どこだって!ご利益は同じ!
きみに!決めたぁぁぁぁ!

かくして近所の神社に寝返った俺は、意気揚々と祈祷料を納め、案内された待合室にしずしずと入ってゆく。

一刻も早く横になりたかったが、残念ながらベッドはベビー用
ネックレスの要領でご着用くださいと渡された紙の襟に昂る気持ち

30分後無事に祈祷が完了し、新しい護摩札をゲット。
用が済んだら例のごとく爆速帰宅バルスして速攻でミニ神棚に護摩札をしつらえ、ようやく安堵の息をついた。

物理と精神の両面が壊れるまで見続けていたNetflixも1日2時間までと決め、Youtubeは調べ物がない限り視聴禁止を科した。

その夜は新しい護摩札に見守られ久々に良い入眠となったが、朝方、親指に強烈な違和感を覚えて起床すると、“前髪を留めておいたはずのピンがなぜか親指を掴んで離さない”という珍現象が勃発しており、物心ついてからずっと前髪を留めて就寝してきたのになぜ人生初めての事件が今ここで起こるのか、と神を疑わずにはいられなかった(髪だけに)。

新たな性癖の幕開けとなるか

ゴッシュ!
さよならセプテンバー!


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