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【旅エッセイ】機内食を欲張った結果、初インドの1泊目が病院だった話

 【後日追記】
 この記事は、皆様のおかげでたくさんのスキ❤️を頂けた記事でした。いつもありがとうございます😭


初めてインドへ行った時の話。

 多くの旅人も同じかと思いますが、「インド」と言う国は旅人にとっては、「よく騙される」「いやな想いをする」等の噂があり、私も大変身構えていた。

 ミャンマーからカルカッタへは、飛行機で移動をしたのだが、ダッカで1泊して、翌日にダッカーカルカッタ間を移動する便だったため、この日はダッカまでの2時間ほどのフライトだったのだが、機内食が出てきた。恐らく、ダッカでの1泊は軟禁状態なので、食事だけは機内で出しておこうと言うサービスだったのかと思う。

 私は、1つの噂を検証してみたくなった。

 そして、この好奇心がのちに私を苦しめる事になるとは、この時に私は想像もしていなかった…


 その噂とは、

 「機内食は、余ってたら”おかわり”が出来るらしい」


 と言う噂だった。

 …今回の便が空いている。
 という事は、機内食は余っているのじゃない。
 別にお腹が空いているわけじゃないが、一回客室乗務員の方に言ってみよう!

 お、ちょうど客室乗務員の方がこっちに来ている…

「ワンモア、プリーズ!」


 ちょっと勢い良すぎたかな…でもいい笑顔で言えたと思う!
 客室乗務員の方は…うん特段不思議な顔もせず笑顔でうなずいてくれている。

 ほどなく、持ってこられた機内食。

 噂は本当だった…


 ここに新たなトリビアが1つ生まれた…

じゃなかった。

 噂は本当だったので、満足したのだが、実は特段私はお腹が空いていたわけではなかったのだった。ただ、検証をしたかっただけだった。

 しかし、頼んだからには食べないといけない。2食目は急いで口にほおりこみ、なんとか完食した。

 飛行機はダッカに到着し、車に乗せられ、街の簡易な宿泊ホテルに連れていかれた。入国手続きをちゃんとしたわけではないので、ホテルからの外出は禁止されていたため、眠るしか選択肢がなかった。

 シャワーを浴び、すぐにベットに潜り込んだ。


 …なかなか寝付けない


 なんか身体が火照ってるような感じがする。
 初めてのインドへ旅立ちで、興奮しているのだろうか。
 しかし旅に出てから、こんな眠れない夜は初めてだな…
 いずれにしても、早く寝ないと、早く寝ないと…


 私は結局一睡もすることが出来ず、朝を迎えた。

 ホテルに航空会社の迎えが来た時には、私の身体をけだるい感じが覆っていた。
 ――あかん。寝れへんかったからか、頭がボーっとする。なんでやろ。機内で寝たらちょっとは回復するやろ…とりあえず飛行機乗るまでがんばろっと…

 重い身体を引きずり、なんとかたどり着いたカルカッタ行きの機内で、出発して間もなく目を閉じた。

 身体は眠りを求めているはずなのだが、身体のしんどさがそれを阻害する。機中では眠っているのか、起きているのか分からないような夢の世界と現実の世界の間を、しばらくの間、そのようにうつらうつらしていた。

 機内アナウンスが流れてきた…どうやらカルカッタに到着するようだ。  

 機体がカルカッタに到着した時には、私は初インドで身構えていた緊張も感じてられなくなるくらいだった。

――とにかくはやくゲストハウスでベッドを確保して横になりたい。


 空港からどのように安宿街であるサダルストリートに辿り着いたのか、自分も分からないままに、私はなんとか1軒のゲストハウスのドミトリーのベットに転がり込んだ。

 間もなくドミトリーの多くの他の旅人たちが、体調の悪い私の姿を見て、心配し、

 「大丈夫???」
 「私体温計持ってるし、計ってみなよ」
 「…え!?めっちゃ熱あるやん。絶対お医者さん行った方がいいよ!」
 「私、信頼できるお医者さん知ってるから、連れて行くよ!」

 私は1人の旅人に連れられ、病院へ行く事になった。

 熱があることを知り、ますます異国で体調を大きく崩している自分に不安になっていた。今考えれば、心配いただき、体温を計り、病院についてきてでくれている他の旅人たちのやさしさに大きな感謝をすべきところであったにも関わらず、そんな事すら感じることが出来ないくらいに、不安を感じていた。

 病院に着いた時には、異国の病院に対しての不安感なんか吹き飛ぶくらいに、藁にもすがる思いだった。

白衣のお医者さんを見た時にはとてつもない安心感があった。

――これで助かる。

 私は診察室に通され、椅子に座り、お医者さんが来る事をただただ待っていた。

 そして、白衣の初老のお医者さんが診察室に入ってきた。

 ――体温を計ったり、聴診器をあてられたり場合によっては血を取られたりの検査を頂いて、問診いただいて、この私を苦しめているのが一体何なのかを、分かるんだろうな、そうしたら一安心だ。
 早く検査をしてくれ!早くこの分からない私を苦しめている原因を特定してくれ!

 このような想いで、お医者さんの一言目を待っていた。

 そして、お医者さんの口が動こうとしている、なんて言われるのか。
 「大丈夫?どうしたの?」
 なのか
 「熱があるらしいけど、いつから」
 なのか

 なんて言われるのか…



「どぅーゆーはぶあいんしゅらんす?(Do you have a insurance?)」




え!?
 聞き間違いじゃないよね?

 今、「あなたは保険に入ってるのか?」と聞いた?



私はその一言目にびっくりし、体調の悪さなどが吹き飛んだ。



【余談】

 結局、私は「サルモネラ菌」による食中毒であったようです。記念すべきインドでの1日目は病院で過ごし、そのまま約1週間入院しました。

 また、異国で「医療」は当たり前ではなく、その医療費払えない人がたくさんおられて、まず「資力」を確認することは当たり前である事を知りました。

 日本で当たり前に受けていた医療のすごさを知る出来事でした。

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