フォルマ・ディフェクト―序章―
「時の流れは、常に一定であるとは限らないよ」
冷たい金属に囲われた、ただただ広いだけの空間に、彼女の声が反響する。
僕は彼女のウェーブがかった色素の薄い髪の毛を見つめていた。
「どういうこと?」
「時間は主観でしかないってこと」
僕の問いへの彼女の答えは、ひどく曖昧だ。
意味など分からない。分かりたくもない。
しばらく茫然と、僕は彼女を見つめていた。
「そうだなぁ。分かり易く言うとね。空間って言う歯車があって、ひとつの大きな機械を動かしているの。その機械の流れを、人