山澤慧

チェロ奏者。ここでは主に20世紀のチェロ作品について書いていく予定です。

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    山澤慧が出演するコンサート情報です。

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    「山澤慧チェロリサイタル 邦人作曲家による作品集」について

記事一覧

作品公募 マインドツリー2024

山澤慧による自主企画、無伴奏チェロ作品を集めた「マインドツリー」シリーズの大きな目標のひとつは 「チェロの新たなレパートリーの拡大」です。このため2015年から毎回…

山澤慧
3か月前
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7/18(木) 山澤慧・鳥羽亜矢子 デュオリサイタル2024

山澤慧・鳥羽亜矢子 デュオリサイタル20247月18日(木)19時開演(18時半開場)  ムジカーザ 昨年からスタートした鳥羽亜矢子さんとのデュオリサイタル、第2回です。 今…

山澤慧
3か月前
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バルトーク:弦楽四重奏曲第2番 Op.17 Sz.67

バルトーク(1881-1945)が規範とした作曲家はベートーヴェンだった。バルトークは1929年に「私が若かったとき、美の理想はバッハ、モーツァルトよりもベートーヴェンの芸術…

山澤慧
3か月前
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西村朗:カラヴィンカの歌

西村先生による無伴奏チェロ曲「カラヴィンカの歌」は2017年、ウィーンフィル首席奏者タマーシュ・ヴァルガのために書かれました。 Wikipediaによりますと、カラヴィンカ…

山澤慧
1年前
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西村朗:オード 無伴奏チェロのための

この曲も堤剛先生の70歳記念のために書かれています。 下記画像は作品冒頭ですが、 こうすると誕生日のあの曲っぽくないでしょうか? 1音足されていたり、FがF#になっ…

山澤慧
1年前
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高橋裕:乱声 無伴奏チェロのための

「乱声(らんじょう)」は山澤慧無伴奏チェロリサイタル「マインドツリー」シリーズの3回目、2017年に行われた初演作品7作を集めたコンサートにて高橋裕先生に委嘱、初演し…

山澤慧
1年前
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菅野由弘:星群II

菅野由弘さんの「星群II」はトルレイフ・テデーンさんと小川典子さんによる「日本のチェロ」というCDに収録されていて、僕が菅野さんの名前を知ったのもこのCDでした。 チ…

山澤慧
1年前
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吉松隆:遠くからの3つの歌

吉松隆さんのチェロ作品と言えば、チェロ協奏曲がありますが、どうやらピアノリダクションはされていないようだし、そもそも演奏時間的に難しいなぁ、、 とか考えていたと…

山澤慧
1年前
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野平一郎:錯乱のテクスチュアIV

作曲家、ピアニスト、教育者どれも超多忙を極める野平一郎先生、「実は野平一郎先生は3人いる、、」という都市伝説が藝大生の中で噂されていたそーな。一郎から三郎先生ま…

山澤慧
1年前
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野平一郎:BATT pour violoncelle 

2012年、堤剛先生の70歳を記念して開催されたコンサートで初演された作品。 ちなみにその時、(堤先生によって)初演されたプログラムはこちら。 湯浅譲二:Congratulati…

山澤慧
1年前
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10/7 邦人作曲家リサイタル第3回について

山澤慧チェロリサイタルシリーズ「邦人作曲家による作品集」 第1回は20世紀、特に重要なチェロ作品を書いた5名の作曲家による作品を取り上げました。https://note.com/y

山澤慧
1年前
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2023/10/7(土)邦人作曲家による作品集第3回

2021年からはじめたリサイタルシリーズ、第3回目となる今回は1953年生まれ、今年70歳を迎える5名の作曲家のチェロ作品を取り上げます。共演は大瀧拓哉くんです。 山澤慧…

山澤慧
1年前
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チェロ特殊奏法100について

2022年2月21日から、5月31日までの100日間、毎日1つずつTwitter上でチェロの特殊奏法、という企画を行いました。 001 人工ハーモニクスpizzicato 002 人工ハーモニクス…

山澤慧
1年前
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マインドツリー8 選曲について など

先日のマインドツリーでの選曲や、曲順について少し書いておきたいと思います。 このような感じで、バッハ、ケージの各楽章や、クルターグの小品、新作などを織り混ぜまし…

山澤慧
2年前
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尾高惇忠さんの「瞑想」について

2022/4/15に開催した「邦人作曲家による作品集第2回」で演奏した、尾高惇忠さんの「瞑想」について。 この無伴奏チェロのための楽曲は、1982年日本現代音楽協会主催の演…

山澤慧
2年前
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邦人作曲家による作品集第2回 動画公開

2022年4月15日にトーキョーコンサーツ・ラボにて行われた「邦人作曲家による作品集第2回」の動画が公開されました!当日のプログラムは下記の通りです 邦人作曲家による…

山澤慧
2年前
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作品公募 マインドツリー2024

作品公募 マインドツリー2024

山澤慧による自主企画、無伴奏チェロ作品を集めた「マインドツリー」シリーズの大きな目標のひとつは
「チェロの新たなレパートリーの拡大」です。このため2015年から毎回、新作を委嘱してまいりました。
2020年、東京オペラシティ「B to C」シリーズ出演をきっかけに、自らの「マインドツリー」の枠組みの中で
バッハの無伴奏チェロ組曲をテーマに据えた6ヶ年プロジェクトを始動しました。
2024年12月開

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7/18(木) 山澤慧・鳥羽亜矢子 デュオリサイタル2024

7/18(木) 山澤慧・鳥羽亜矢子 デュオリサイタル2024

山澤慧・鳥羽亜矢子 デュオリサイタル20247月18日(木)19時開演(18時半開場)  ムジカーザ

昨年からスタートした鳥羽亜矢子さんとのデュオリサイタル、第2回です。

今回は昔からずっとやりたかったプログラムです。

ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第4番ハ長調 op.102-1
シュニトケ:チェロ・ソナタ第1番
シュニトケ:ムジカ・ノスタルジア
プロコフィエフ:チェロ・ソナタハ長調

作曲

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バルトーク:弦楽四重奏曲第2番 Op.17 Sz.67

バルトーク:弦楽四重奏曲第2番 Op.17 Sz.67

バルトーク(1881-1945)が規範とした作曲家はベートーヴェンだった。バルトークは1929年に「私が若かったとき、美の理想はバッハ、モーツァルトよりもベートーヴェンの芸術だった」と語っている。また、1939年に行われた議論の中で彼は最高の創造的理想としてバッハ、ベートーヴェン、ドビュッシーの名前を挙げている。

ベートーヴェンの作曲技法の中で重要なものの一つに、短い動機の扱い方がある。例えば、

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西村朗:カラヴィンカの歌

西村朗:カラヴィンカの歌

西村先生による無伴奏チェロ曲「カラヴィンカの歌」は2017年、ウィーンフィル首席奏者タマーシュ・ヴァルガのために書かれました。

Wikipediaによりますと、カラヴィンカは上半身が人、下半身が鳥の仏教における想像上の生物で、その声は非常に美しく、仏の声を形容するのに用いられるそうです。

コダーイの無伴奏チェロソナタの前に演奏するのを想定しており、調弦もコダーイのものと同じ (A,D,F#,H

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西村朗:オード 無伴奏チェロのための

西村朗:オード 無伴奏チェロのための

この曲も堤剛先生の70歳記念のために書かれています。

下記画像は作品冒頭ですが、

こうすると誕生日のあの曲っぽくないでしょうか?

1音足されていたり、FがF#になっていたり、開放弦がプラスされていてパッと聴いただけではそう聴こえないのですが、、

個人的にこの曲には思い入れがあります。2014年、日本現代音楽協会主催の現代音楽演奏コンクール「競楽」の予選でこの曲と、リンドベルイの「ストローク

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高橋裕:乱声 無伴奏チェロのための

高橋裕:乱声 無伴奏チェロのための

「乱声(らんじょう)」は山澤慧無伴奏チェロリサイタル「マインドツリー」シリーズの3回目、2017年に行われた初演作品7作を集めたコンサートにて高橋裕先生に委嘱、初演しました。

高橋裕先生と初めて会ったのは自分が15歳の時です。藝大の附属高校に入学し、裕先生はそこの教諭を務めていました。

藝高には音楽理論、ソルフェージュなどの授業があり、裕先生はそれらの授業を担当していました。(ちなみに自分が入

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菅野由弘:星群II

菅野由弘:星群II

菅野由弘さんの「星群II」はトルレイフ・テデーンさんと小川典子さんによる「日本のチェロ」というCDに収録されていて、僕が菅野さんの名前を知ったのもこのCDでした。

チェロとピアノのエネルギーがすさまじい、スケールの大きな二重奏曲だと思います。実際に弾いてみると、チェロもピアノも大変な体力と精神力を必要とします。リサイタル二曲目に持ってきて大丈夫か?

先日、菅野先生にリハーサルを聴いていただき、

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吉松隆:遠くからの3つの歌

吉松隆:遠くからの3つの歌

吉松隆さんのチェロ作品と言えば、チェロ協奏曲がありますが、どうやらピアノリダクションはされていないようだし、そもそも演奏時間的に難しいなぁ、、

とか考えていたところ、いくつかの歌がチェロとピアノ用に編曲された「遠くからの3つの歌」という作品があることを知りました。

委嘱者はチェリスト長谷川陽子さんです。

吉松さんにより選ばれた歌は

カッチーニのアヴェ・マリア
アメイジング・グレイス
唱歌 

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野平一郎:錯乱のテクスチュアIV

野平一郎:錯乱のテクスチュアIV

作曲家、ピアニスト、教育者どれも超多忙を極める野平一郎先生、「実は野平一郎先生は3人いる、、」という都市伝説が藝大生の中で噂されていたそーな。一郎から三郎先生までいる

今回のリサイタルのために、先生にプログラムノートを送っていただけないかお願いしたところ、「以前書いたものが見当たらないので」その日の夜に新たなプログラムノートを書いて送ってくださいました。はや

その時の堤先生のリサイタルプログラ

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野平一郎:BATT pour violoncelle 

野平一郎:BATT pour violoncelle 

2012年、堤剛先生の70歳を記念して開催されたコンサートで初演された作品。

ちなみにその時、(堤先生によって)初演されたプログラムはこちら。

湯浅譲二:Congratulation for the 70th Birthday
一柳慧:独奏チェロのための「プレリュード」
野平一郎:BATT pour violoncelle
外山雄三:沖縄の木遣(首里城改築の御木曳歌)
西村朗:チェロのためのオ

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10/7 邦人作曲家リサイタル第3回について

10/7 邦人作曲家リサイタル第3回について

山澤慧チェロリサイタルシリーズ「邦人作曲家による作品集」

第1回は20世紀、特に重要なチェロ作品を書いた5名の作曲家による作品を取り上げました。https://note.com/yamazawakei/n/ne6da4c5d6fd1

第2回では親子2代にわたって作曲家である8名の作曲家による作品を演奏しました。https://note.com/yamazawakei/n/n64fc53fd09

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2023/10/7(土)邦人作曲家による作品集第3回

2023/10/7(土)邦人作曲家による作品集第3回

2021年からはじめたリサイタルシリーズ、第3回目となる今回は1953年生まれ、今年70歳を迎える5名の作曲家のチェロ作品を取り上げます。共演は大瀧拓哉くんです。

山澤慧チェロ・リサイタル 邦人作曲家による作品集 第三回
2023 年 10 月 7 日(土)19時開演(18:30開場)
トーキョーコンサーツ・ラボ

菅野由弘(1953-): 星群II(1998)
Yoshihiro Kanno(

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チェロ特殊奏法100について

チェロ特殊奏法100について

2022年2月21日から、5月31日までの100日間、毎日1つずつTwitter上でチェロの特殊奏法、という企画を行いました。

001 人工ハーモニクスpizzicato
002 人工ハーモニクスpizzicatoグリッサンド
003 カモメ奏法
004 自然ハーモニクスグリッサンド
005 自然ハーモニクスグリッサンド(sul ponticello)
006 フラジオレットカモメ奏法
007 

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マインドツリー8 選曲について など

マインドツリー8 選曲について など

先日のマインドツリーでの選曲や、曲順について少し書いておきたいと思います。

このような感じで、バッハ、ケージの各楽章や、クルターグの小品、新作などを織り混ぜました。

選曲について無伴奏チェロリサイタルマインドツリーの「バッハツィクルス」は2020年から6年間かけたプロジェクトで、

バッハの組曲を1年に1曲テーマにする

梅本佑利さんに6年連続委嘱する

委嘱新作を初演する

公募作品を1〜2

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尾高惇忠さんの「瞑想」について

尾高惇忠さんの「瞑想」について

2022/4/15に開催した「邦人作曲家による作品集第2回」で演奏した、尾高惇忠さんの「瞑想」について。

この無伴奏チェロのための楽曲は、1982年日本現代音楽協会主催の演奏家シリーズ “倉田澄子チェロリサイタル”のために現代音楽協会の委嘱により作曲されました。2009年に八王子で行われたガスパール・カサド国際チェロコンクールの課題曲にもなっています。

2021年の2月に邦人リサイタルの第2回

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邦人作曲家による作品集第2回 動画公開

邦人作曲家による作品集第2回 動画公開

2022年4月15日にトーキョーコンサーツ・ラボにて行われた「邦人作曲家による作品集第2回」の動画が公開されました!当日のプログラムは下記の通りです

邦人作曲家による作品集第2回

尾高尚忠:夜曲
松平頼則:セロとピアノのためのソナタ
北爪裕道:グラデーション
松平頼暁:コ・アクションI
松平頼暁:コ・アクションII
山本直純/山本祐ノ介校訂:荒城の月の主題によるメタモルフォーゼ
山本純ノ介:オ

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