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親魏倭王の本の話題

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主に小説について。読書録とはまた別です。
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#小説

ゲームとしての推理小説略史

ゲームとしての推理小説略史

ミステリー=推理小説は特異な小説である。なぜかというと、作者と読者の知恵比べであるからだ。基本的に、小説にゲーム要素を包括するのは推理小説だけで、それ以外のジャンルの小説には見られない。そうしたゲーム的要素は、不完全ながらもエドガー・アラン・ポーが推理小説を考案した時点で含まれており、その後、推理小説の主流が短編から長編に変わっていく中で次第に醸成されてきた。画期となった作品はというと、どれとも決

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ハードボイルド小考

ハードボイルド小考

ハードボイルドという小説の一ジャンルがある。元はアーネスト・ヘミングウェイに代表される、感情を排除したドライな文体のことを指し、これがダシール・ハメットによって推理小説に流用され、推理小説の一ジャンルになった。以後、ハードボイルドというと狭義では推理小説を指すようになる。

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スパイ小説小史

スパイ小説小史

スパイ小説というジャンルがある。ミステリーの一ジャンルとしても扱われ、海外ではイアン・フレミングやジョン・ル・カレの名が知られている。日本での作例は少ないが、古くは三好徹、近年では柳広司や曽根圭介が力作を書いている。
スパイ小説の原型となる作品の一つが、ジョゼフ・コンラッドの『密偵』である。これはアナーキストグループに潜り込んだ密偵の話で、国際的なスパイの活躍を描いたものではない。国際的なスパイを

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シャーロック・ホームズシリーズの4大長編について

シャーロック・ホームズシリーズの4大長編について

シャーロック・ホームズシリーズは、4つの長編と5冊の短編集(全56篇)の計60篇からなる。今回は、そのうちの4大長編について、思うところを書いてみる。

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