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スパイ小説小史

スパイ小説というジャンルがある。ミステリーの一ジャンルとしても扱われ、海外ではイアン・フレミングやジョン・ル・カレの名が知られている。日本での作例は少ないが、古くは三好徹、近年では柳広司や曽根圭介が力作を書いている。
スパイ小説の原型となる作品の一つが、ジョゼフ・コンラッドの『密偵』である。これはアナーキストグループに潜り込んだ密偵の話で、国際的なスパイの活躍を描いたものではない。国際的なスパイを登場させたスパイ小説は、おそらくジョン・バカンの『三十九階段』が嚆矢となる。

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