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#13 高齢犬の腎臓ケア。「療法食」が身体に合わないこともある

6月22日は我が家の愛犬・山さんの誕生日。
生きていたら、17歳の日でした!

1年前。16歳の誕生日に撮った1枚。

我が家では年に1回、だいたいフィラリアの検査をする5月頃に一緒に健康診断のための血液検査をしていました。

2020年の5月に腎機能に関係する尿素窒素(BUN)が初めてちょっと上昇。
念のため、その年は年1回ではなく、年末にも血液検査をしてみたら、尿素窒素(BUN)に加えて、クレアチニンの数値も上昇していたため、腎機能が低下しつつあると診断されました。

腎機能の低下が続く状態が慢性腎臓病。さらに進行して腎不全にならないよう、まず提案されるのが療法食による食事療法です。

たんぱく質を過剰に摂取すると腎臓は窒素(のちに尿素に変化)のろ過作業に追われることになるため、少しでも腎臓の仕事を軽くするためにたんぱく質の制限が必要になるとされ、一般的に腎臓ケアの療法食はたんぱく質の比率が少ないことが大きな特徴です。
そのほか、リン、ナトリウムなども制限されます。

2021年の1月に動物病院で腎臓ケアのための療法食の試供品をもらい、実際にご飯に取り入れるようになったのは2月。
15歳と8か月の頃でした。

動物病院で4種類の試供品をもらえました。

写真の左上から、日清ペットフード「ダイエティクス キドニーキープ」、ロイヤルカナン「腎臓サポート」、ドクターズケア「キドニーケア」、ヒルズ「腎臓ケア k/d」。
(1年以上前の写真なので、いまはパッケージが変わっているものもあると思います)

試供品の袋は小さく、1回の食事量には満たないので、これで身体に合うかはなかなか判断できないですが、粒の大きさなんかは確認できていいかな。

日清ペットフード「ダイエティクス キドニーキープ」は、1967年に創業した日本のメーカー、ペットライン株式会社が2020年に日清ペットフード株式会社より事業を譲り受け販売している商品。国産メーカーとして、日本特有の飼育環境下で発生しやすい疾病に着目されているということが特徴です。


ロイヤルカナン「腎臓サポート」
は、南フランス を本拠とするロイヤルカナン社のフード。
1968 年にフランス人獣医師により創設され、50 年以上にわたり犬と猫に健康を提供することに尽力。世界100か国以上で事業展開されています。


ドクターズケア「キドニーケア」
は「ダイエティクス キドニーキープ」と同じく、1967年に創業した日本のメーカー、ペットライン株式会社の商品。


ヒルズ「腎臓ケア k/d」
は、ペットの食事療法の分野では有名なメーカーの商品。1930年代に栄養学者が腎臓疾患の犬のためのフードを考えたことが始まりと言われ、その後、獣医師によってアメリカで会社が設立され、日本では1977年に設立された日本ヒルズ・コルゲート株式会社から販売されています。


おやつ代わりにそれぞれをあげてみると、どれもポリポリとは食べる。
なんとなくの感覚で最初に購入したのはロイヤルカナン「腎臓サポート」。
少しずつ慣らしながらあげてみると、まぁ、食べるには食べる。
でも、何日かすると下痢をするように。
もともとお腹が丈夫で下痢をすることがほとんどなかったので、これはフードの影響だなとすぐわかりました。

次にヒルズ「腎臓ケア k/d」に変えてみると、やはり下痢が止まらない。

かかりつけの東洋医学の先生に相談してみると、腎臓の療法食はたんぱく質が抑えられている代わりにエネルギー源として脂質が多くなっていて、それが合わずに下痢を起こしてしまう場合があるとのこと。
ひどい子は膵炎を起こしてしまうこともあるそうで。

たしかに、それまでメインであげていたナチュラルハーベストの「シニアサポート」と比べてみると…

ナチュラルハーベスト「シニアサポート」
たんぱく質25.0% 粗脂肪9.0% 

ロイヤルカナン「腎臓サポート」
たんぱく質10.5 % 脂質16.0 % 

ヒルズ「腎臓ケア k/d」
たんぱく質15 % 脂質21 % 

脂質がすごく多い。
それにやられてしまったのかもと、脂質が少ないものを探すと、ナチュラルハーベストの腎臓ケア用の「キドニア」が
たんぱく質15.0% 粗脂肪10.0% という表記。

これに変えてみると、便の調子が改善!
やっぱり、うちの山さんには脂質過多だったようです。
(脂質以外に添加物などにも反応してしまったのかもしれないけれど)

これまでずっとあげていたメーカーという安心感もあったし、この「キドニア」を使い続けようと思っていたのだけど…
ある時からパタッと食べなくなった!
身体には合ったけど、口に合わなかった(美味しくなかった)みたい…泣。

さらに試行錯誤を繰り返し…
便の調子も悪くなく、まあ美味しそうに食べてくれたのは、この2つ。

ドイツのナチュラルドッグフードメーカーHAPPY DOGの腎臓ケアのフード「 サノN」。(たんぱく質12.5 % 粗脂肪14.0 %)
※現在「サノN」は販売終了して「VET腎臓ケア」という商品に切り替わったようです。

これは結構気に入って食べてくれたけれど、難点は一粒が大きいこと。
だから、フードクラッシャーで細かくしてからあげていました。

一粒が1円玉くらい。歯も弱くなっていたので、フードクラッシャーで細かくして。

ウェットタイプのフードも取り入れてみました。
ドイツのアニモンダ社の「インテグラプロテクト 腎臓ケア」。
(たんぱく質6.6% 脂肪14%)

いずれにしても、ドッグフードだけでは食いつきが悪いので、「 サノN」「インテグラプロテクト 腎臓ケア」に肉や魚をトッピングしてあげるというところに落ち着きました。

でも、療法食に変えてからもじわじわ腎機能の数値は悪くなっていき、皮下点滴を始めることに。
すると、割とすぐに数値もよくなって、「療法食にこだわらずに食べられるものをあげて大丈夫」と先生に言われたのもあり、療法食の比率が少なくなっていき、肉か魚と野菜を入れた、ほぼ手作り食のように。
その結果、モリモリと美味しそうに食べてくれて、何より、いいウンチが出るように!

やっぱり、美味しく食べてもらえて、いいウンチが出るのが一番だよね…。
それなら、療法食でなくて、美味しく食べてもらえるものをあげ続けていても良かったかな…と思ったり。

若いうちならまだしも、15歳、16歳にもなれば、内臓の機能がある程度低下するのはしょうがないと考え、それまで通り、たんぱく質豊富な美味しく食べられて元気が出るご飯をあげていたらどうだったんだろう?
と今となっては考えてしまいます。

それによって寿命はどれくらい変わったんだろうと。

確かめようはないのだけど。

以前は、血液検査で少しでも尿素窒素(BUN)やクレアチニンの数値が上昇したら、たんぱく質を制限した食事を与えた方が良いというのが獣医学的に一般的な考え。
でも、あまり初期段階からたんぱく質を制限してしまうと、筋肉が衰える、血流が悪くなるなどの弊害があるため、最近は「腎機能の低下=たんぱく質を制限した食事」という考えも見直されてきているという話も聞きます。

だって、たんぱく質って大事だものねぇ…。

とはいえ、状態によっても異なるだろうし、少しでも長く一緒にいたい…という思いから、療法食を選択する方は多いと思うので、私がいろいろ試したことが、少しでもご参考になれば。
加えて、飼い主さんに聞いた人気の療法食のアンケート結果をご参考までに!

ちなみに、送料がもったいないからと2袋買ったけれど、食べてくれなかった(泣)フードは、開封してないものに限り、メルカリに出品して他の方に使ってもらってました!
療法食って高いし、同じようにいろいろ試している方がたくさんいらっしゃるようで、出品するとすぐに売れていました。

そのために気をつけていたのは
・むやみに開封しない
・品質を保つよう高温多湿は避けて冷暗所に保管する
ということです!

次回は、療法食に続いて行った腎臓病の皮下点滴について書きます。


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#13  高齢犬の腎臓ケア。「療法食」が身体に合わないこともある←いまココ

次回は…「自宅での皮下点滴」のこと

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