見出し画像

創業融資のハードルが下がるかもしれません

前回のポストからすっかり時間がたってしまい
ちょっと焦ったランチェスター戦略社長塾  山口です。

今日は創業時、民間金融機関から資金調達をする際に
求められる経営者保証が不要になるかもしれないという
お話をしようと思います。

昨今、会社勤めではなく自分でビジネスを立ち上げる
創業を希望する方が増えています。
これは実際に創業支援に直接たずさわる私自身も
実感するところです。

様々な社会環境の変化時や不況時はこれまでも
創業希望者が増えていたそうです。

どんなビジネスをするかで準備することの内容や
手続きなどは変わってきますが、創業における
大事な要素のひとつにお金があります。

自分で用意したお金、つまり自己資金だけで
ビジネスを立ち上げ、軌道に乗せることができれば
いいのかもしれませんが、それを実現できる人は
ほんの一握りでしょう。

多くの人は自己資金に加えて、金融機関から資金を
調達することになります(ここでは借り手=法人を
想定しています)。
これは手元に一定の資金を確保して、事業を安定的に
継続させようとすれば、合理的なことでもあります。

創業者が創業資金を借入で調達する場合には
2つの方法があります。
①日本政策金融公庫(以下、公庫)
②銀行や信用金庫などの民間金融機関(以下、金融機関)

公庫は国が出資してつくった政府系金融機関であり
中小企業や小規模企業への資金供給を行います。

一方、金融機関からの調達はほぼ信用保証協会が保証に
立つ「保証付き融資」になります。
これは債務者が返済困難になった時には、債務者に代わり
信用保証協会が金融機関へ返済を行うものです
(以降、債務者は金融機関ではなく信用保証協会へ返済
することになります)。

信用保証協会が保証するので金融機関としては融資を
実行しやすくなり、創業が促進される効果が見込まれます。

ただ、この時に借り手である創業希望者側にとっては
借入を躊躇してしまうような懸念事項があります。
それが経営者保証、つまり連帯保証人です。

公庫の創業融資であれば無保証人、詳細な説明は
省略しますが簡単に言えば、返せない分は免責に
なります。

しかし、金融機関からの調達では代表者個人が借り手である
法人の連帯保証人になることを求められます。
従って、債務者である法人が返済できなくなった場合は
代表が個人として私財を処分してでも返済する義務が
発生してしまいます。

会社が倒産したら、その債務は個人に降りかかり、
返済ができなければ代表者自身も自己破産、という
ことにもなりかねません(自己破産を選択するか
どうかは本人次第ですが・・・)。

自らリスクを取って借入して事業をやる以上、
そこに責任が伴うことは理解できるとしても、
やはり連帯保証人になることは怖いでしょう。

これが創業しようかと志を持った人を思いとどまらせる
要因にもなっていたのです。

政府もこの認識は持っており、状況を改善すべく
平成26年には「経営者保証に関するガイドライン」という
ものを策定して適用を始めました。

これは一定の条件を満たせば代表者個人の連帯保証を
外せるというもので、実際にこの制度に則って
各金融機関が保証を外す実績も増えて来ています。

しかし、現段階ではまずは保証人になる、という
プロセスは変わりません。

ところがここにきて、岸田政権のもとで
「新しい資本主義実現会議」というものがスタートして
創業融資時の代表者の個人保証を不要にしようという
議論が現在進んでいます。

提言として「創業時の融資で経営者保証を求める民間銀行
などの慣行が創業意欲の阻害要因になっている可能性が
ある」と指摘しています。

やはり平成26年に金融庁から「事業性評価融資」の
方針が出されており、「決算内容や担保・保証に
必要以上に依存せず、借り手企業の事業内容や成長
可能性などを評価して融資を実行」するよう金融機関に
促しています。

全体的な流れとしては借り手が借りやすいような
環境整備を政府が進めていますが、その普及・運用の
度合いはまだまだという感じもします。

融資時の経営者保証が不要になる制度が実現すれば
創業の促進に大いに寄与するものになりそうです。

今後の進展に期待したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?