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地方(山形)の旅館が観光人材・地域経営人材を本気で輩出しようとする理由

こんにちは、私は山形の旅館グループでブランドデザイン室という広報とデザインをミックスさせたような部門に勤めるサラリーマンです。
最近特に腹落ちしたことがあって書きます。

昔からよくうちの代表が「旅館版リクルートにしたい」とずっと言ってて、リクルートさんって言えばリクナビやじゃらん.netのイメージが強い方も多いと思いますが、実際はゴリゴリの”人材輩出企業”です。
なので、契約社員が多くて「〇年以内にスキルを身に着けて独立しろ」という会社です。

リクルートの人材輩出力には「個人のWill(やりたいこと)と組織の期待を徹底的にすり合わせる」カルチャーが関係していると考えられる。
各部署の上司が今期達成したい事業戦略をメンバーに伝え、個人の「Will」「Can(できること)」とすり合わせた上で「Must(やるべきこと)」に落とし込むのがリクルート流だ。

リクルート社員の働き方に見る「人材輩出」の秘密

そんな中、その意味をざっくり理解はしていたもののコロナ禍を経てなんか現実とリンクし始めてきたぞ!っていう今です。

毎日そんな話を隣で聞いていても実感沸くまでここまで何年もタイムラグあるんですから企業のトップからボトムまで言葉だけで人伝えに理念や方向性の真の意図を落とし込むって相当難儀なことですよね。もはや奇跡に近いとも言えます。

理由は、大きく切ると「人口減による人材の不足(≠人手不足)」
細かく切るとこれ。
・情報の民主化とAIの勃興
・働き方の多様性(特にZ世代の拡大)

どちらもコロナ禍で大きく変化した要素で、コロナ前にざっくりしか理解できなかったのは仕方ないとも言えなくはないかなと思います。

・情報の民主化とAIの勃興

インターネット、スマホ、SNS、これらの影響で世の中のものの多くが可視化されました。20年前より10年前、10年前より今、時を重ねるごとに確実に情報の幅と透明性は高まり続けています。
加えてAIの高度化により、これまで個々人の知見やノウハウ、問題解決能力のようなスキルまで平準化してしまいました。言わば「情報にアクセスする気があれば、誰でもそれなりの知見に触れられる」状態であり、モチベーション格差が生じやすくなったとも言えると思います。
そうなってくると、情報のタッチポイントとしてこれまであった経営者・管理職・一般職の間の差も自然と縮まっていきます。逆に言うと、何もしない人は取り残されるという厳しい状況になってしまいました。

・働き方の多様性(Z世代の拡大)

多様性っていうとコロナ禍を経て、リモートワークやワーケーションとか物理的な働き方ももちろんそうなのですが、10年前よりも今の方が着実にZ世代の働き手が労働環境の中心に寄ってきています。あと10年もすれば彼ら彼女たちが100%企業活動のど真ん中です。
それらの世代は先にも述べた通り、高純度の透明性のある情報に触れ続けた大人たちです。これまでによく聞く「飯炊き3年、握り8年」のような寿司職人の時間軸の世代ではないので、すぐ理解もするし、見切りも早いです(それ位世の中が高効率化しているという意味)

よくZ世代は見切りも早く飽きっぽいなどと未熟に揶揄されることが多いですが、私世代(40代)以上が見切るのに時間がかかり過ぎなのだと思います。事実私たちの世代では当時で判断できる情報量や前提知識が少な過ぎました。
まぁ時間のかかるかからないが良し悪しでなく、それぞれ納得のいく時間軸(世界線)が異なるくらいの理解で良いと思います。

このような時代背景の中で、「人が行う仕事の上流化」が必要であるという答えにたどり着きます。AIやロボットができる部分はそこに任せ、人は人にしかできないことを積極的に取り組んでいこうという機運が社内でも年々高まってきています。

弊社のグループでは2020年から事業長へ業績開示をスタートしました。

業績公開と権限委譲を行うことで事業全体を自分事にする仕組み

各施設のPL情報を開示し、もちろん公開して終わりではなく、毎月全施設が売上・原価・利益に関するフィードバックを議論する会議を開催しています。そうすることで自分たちが毎月取り組んでいる施策がPL上のどの部分に影響を与え、効果の有無も確認できます。

このような環境が構築されると、トップダウンで指示だけが落ちてくるこれまでの状況では気にもしなかったことが自然と気になってくるようになります。
これまで盲目的に継続してきた数値のチェックも「なぜそれが必要なのか?」という本質の部分に触れることもできるし、顧客アンケートの点数が上がると売上がどう変化するのかも毎月の予実管理で把握することができます。

これを始めてから管理職の動きの質は本当に変わったと思います。少なからず管理職は全ての自分たちの行動がどう利益に繋がってるのかを考えて動けるようになりました。結果として業績もついてきています。

このような自立自走できる人材は、自社だけでなく山形のような地域一体にも必要だと考えています。山形の魅力を作るということは、この地に触れたくなる要素を増やすということで、働く場を増やすこともその一つです。働く場を増やすにもトップを張る経営人材がそもそも必要です。

今後確立していきたい両軸の人材育成の方向性イメージ

当然、経営人材だけがたくさん輩出できてもそこで働く観光人材がいなければ機能しません。弊社グループでは、この部分に対して両軸で投資が必要だと考えています。

もう既に地方(山形)は人口減の中心にいる

なぜ、このような方向性に向かっているのかというと冒頭に挙げた人口減に繋がってきます。これから更にこの環境が進んでいくと、人材輩出ができないと企業としも地域としても経済活動が持続可能ではなくなります。

私たちは観光業だから観光人材になるけど、すべての業種に置き換えて考えても自社の経済活動の拡張と持続可能性を考えたとき地域の経営人材は全ての業種に共通して必要な要素だと思う。

来週8/23、こんな我々がブランディングを軸に弊社の取組みをお話するトークセッションイベントを開催します。
私も登壇して話をさせてもらうのでぜひ参加してもらえると嬉しいです。
詳細はこちらから↓

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X:@LaLaMyuuu
Instagram:@junichi_kowata


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