[ハンガリー医学部留学] ハンガリー語はどれくらい必要?① 〜大学で使うハンガリー語編〜
ハンガリー医学部では大半の授業を英語で行いますが、街中での現地言語はハンガリー語です。
大学でもハンガリー語の授業があり、最終的には医療ハンガリー語を学びます。
臨床科目が始まると、病院での問診でハンガリー語を使うようになります。
もちろん「できた方がいい」のですが、留学当初はハンガリー語に消極的だった私が心を入れ替えた理由があります。
現在も、医学の合間にハンガリー語の復習はコツコツと続けています。
今回は大学でのハンガリー語の授業や、臨床実習でのハンガリー語の必要性について説明します。
(使っている教材・勉強方法についてはこちらです)
ハンガリー医学部で学ぶハンガリー語の概要
大学でのハンガリー語の授業
カリキュラムの詳細は大学によって異なりますが、入学から2年〜2年半ほどハンガリー語を学び、臨床実習に備えます。
(予備コースの授業でもハンガリー語があるので、予備コースに通う場合は+1年です。)
週に2コマ(1.5hx2)はハンガリー語の授業があり、予備コースを含めると3年間ほどハンガリー語の授業を履修します。
ハンガリー語の授業の内容・難易度
ハンガリー医学部の英語プログラムの学生は世界各国から来ており、ほとんどは完全に初学者としてハンガリー語を学び始めます。
始めは挨拶や食べ物、色の名前、数字など、よくある言語学習の入門の内容です。
大学の1学期目で予備コースで学習するのとほぼ同じ内容をカバーするため、大学の本コースに直接入学する方は“予備コース行ってないし遅れているかも”と気負わなくても大丈夫だと思います。
総じて“気楽な語学学校”のような雰囲気のクラスが多いです。
中間試験は簡単なペーパーテスト、期末試験もテンプレを覚えれば対応できる口頭試験です。
口頭試験ではハンガリー語で簡単な自己紹介をしたり、渡された写真の描写をしたりといった内容です。
ただしセゲド大学に関しては、ハンガリー語に関しては例外です。
セゲド大学はしっかりハンガリー語を教えるので、試験の厳しさも他大学とは一線を画します。(そのぶんハンガリー語が流暢な学生が比較的多い印象。)
ハンガリー語の最終試験は?どれくらい話せるようになる?
一年生で基礎的な学習を終えると、徐々に医療現場で使うハンガリー語を習うようになってきます。
頭痛、痛み止め、臓器の名前や診察の際に使うフレーズなど、実際に臨床科目で病院に行って問診する際に使う内容です。
特に最後の学期では、医療ハンガリー語に特化して学びます。
この時点で約3年間ハンガリー語の授業を受けていることになりますが、どれくらい話せるかどうかはかなり生徒差があります。
正直なところ、カリキュラム通して過去問対策だけでも乗り切れたり、卒後にハンガリー語を使うつもりがない学生がほとんどなので、モチベーションは高くない人が多いです。
また他の授業が忙しいため、要領よく軽い勉強で済ませられるハンガリー語は後回しにされがちです。
多くの学生が医療現場で使うフレーズと買い物で困らない程度(食べ物の名前など)の理解はありますが、流暢に話せる学生は自主的にハンガリー語を勉強している場合がほとんどだと思います。
私もハンガリー語の授業を取り終えた段階では“話せる、読める“といったレベルとはほど遠く、テスト対策だけで乗り切った側でした。
ハンガリー語ができないと授業で困る?
結論から言うと、ハンガリー語だけで進級に困ることはあまりないです。
ここまで書いてきた通りテストはそれほど厳しくないので、進級できないケースはごく稀だと思います。
また病院の実習で問診の際にハンガリー語を使うと説明しましたが、実際には以下のどれかである場合が多いです。
*ただ、臨床科目の期末試験などで「この患者さんを問診しておくように」と1人で任されることもあったりはします。
こういった実情があり、ハンガリー語学習へのモチベーションを保ち続けている学生は少数派かもしれません。
私が「ハンガリー語はできた方がいい」と思う理由
ここまで読むと“なんとなくハンガリー語は適当で大丈夫そうだ”といった印象を受けるのではないでしょうか。
事実、医学部に入ってからもそう感じている学生の方が多いです。
私も下級生の時には、他科目を勉強するためにハンガリー語に割く時間は最小限に留めていました。
しかし現在では「ハンガリー語はできた方がいい」と考えを改め、流暢に話せるとまではいきませんが、ある程度のコミュニケーションがとれるまでにはなっています。
この変化にはいくつかのきっかけがありました。
3年生からやる臨床科目の学習効率
序盤で書いたように、大学でのハンガリー語学習の目的は病院での臨床科目のためです。
そして“臨床科目が始まっでも、結局誰かがハンガリー語を英語に訳してくれる“ことが多いことを説明しました。
その結果、ハンガリー語ができないと授業中に受け身の時間が増えることになります。
それぞれの臨床科目で、誰かに通訳してもらうのを待つ時間が多くなるので当然ですね。
ハンガリー語ができる友達を探してアタフタしたり、言語がわかる前提で先生と特定の生徒の間で話が進んだりと、自業自得ですが“無為な時間が多いな“と思う機会が増えました。
3年生以降は臨床科目が増えていくのため、毎授業そんな時間ができていきます。
臨床科目に進むまでは実感しにくいですが、患者さんにどんな質問をして診断を絞っていくか実際にアウトプットする学習効果は、座って教材を読むだけの学習とは段違いだと思います。
「どうせ出席しないといけない授業だし、他人が何かしてくれるのをただ待っているのは勿体ない」と気付いたのは、3年生で内科が始まってからでした。
(実際の勉強方法などはこちら)
大学のハンガリー語の授業は役に立った
内科が始まって「よしハンガリー語を勉強しよう」と切り替えた時点で、まがいなりにも3年ほどはハンガリー語の授業は受けていました。
どれだけ適当にやっていても、3年あれば最低限の文法や単語のルールには馴染みがあるレベルにはなります。
自分でハンガリー語を勉強し始めると、授業で曖昧なまま放置していた文法がスッと理解できることも多く、授業中にそういった箇所や疑問を蓄積できただけでも無駄ではなかったなと感じました。
また臨床科目で患者さんとコミュニケーションをとるという、実践の場が日々あるのも大きかったと思います。
ハンガリー語は簡単? 難しい?
他の国の学生やハンガリー人は「ハンガリー語は最も難しい言語」としばしば冗談混じりに口にします。
しかし個人的には、“ドイツ語やフランス語よりも勉強しやすい言語”ではと感じています。
ドイツ語やフランス語の男性名詞・女性名詞などのルールのほうが数段ややこしく感じました。
また“ハンガリー語は文法が日本語に似ている(いわゆる英語の逆)“と感じることが多いことも、意外と勉強しやすいと感じた理由しれません。
さらに、ハンガリー医学部での生活で最も必要なのは医療系の単語・フレーズなので、学習範囲が定まっていて勉強しやすいことも一因だと思います。
授業以外でのハンガリー語が話せる利点
現地語はハンガリー語なので、買い物などの生活が多少しやすくはなります。
それに加えて、ハンガリー人の友達ができるようになったのは嬉しいですね。
総じてハンガリー人学生は英語コースの学生よりも勤勉・優秀な人が多いです。
彼らと話していると、同じ学年でもここまでしっかり勉強してるのか、と気が引き締まる機会が多くあります。
またハンガリー国内の保険システムや医師のキャリアなど、現地の人にしかわからない話を聞けるのはとても興味深いです。
今回は大学でのハンガリー語学習と、私がハンガリー語をちゃんと勉強しようと思うようになった理由について主に書きました。
実際に使っている教材と勉強方法については第二弾のこちらをご参照ください。
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