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『このゴミは収集できません』マシンガンズ滝沢秀一 (白夜書房)

お笑い芸人のマシンガンズの滝沢秀一さんがゴミ清掃員を始めて6年になることを、BSの番組で知ったのですが。

ロンブー淳のBS番組『地上波ではダメ!絶対!』に出てた滝沢さんは、めっちゃゴミの玄人という感じがして。

「ゴミ好きに悪い人はいない」という自説が確認できたところドグ~!(;´Д`)

まず番組内で語られた内容が衝撃的で、

日本のゴミ生産量は年間4300万トン。その処理費に年間2兆円が当たられているという事実。

(※ちなみに、青森県弘前市の年間ゴミ処理費は約21億円。これを考えると国のゴミ処理費2兆円もうなずける。国費がゴミ処理に消えるドグよ。(;´Д`))

燃えるゴミを灰に処分した後は埋立地に埋められるんだドグけど、東京の埋立地ももってあと50年なのだそうです。

本書の中でも日本人が年間に出すゴミの量が一人320キロで世界一。2位のフランスがたったの(?)180キロだというから、過剰包装は本当に控えていかなきゃという気持ちになる。そう、この本は読んだらゴミが好きになる。国が補助を出して国民一人ひとりに配ってもいい一冊。

千葉県の埋立地はとてももたないと踏んだのか、一度埋めたゴミを掘り起こしてリサイクルをやり直したらしい。

ゴミの情報というものは日進月歩で進んでいく。番組で紹介されて衝撃的だったのは中国では生ゴミを3億匹のゴキブリで処理しているということ。この処理方法はすごい。一日に15トン処理できるんだって。ゴミを燃やさないから二酸化炭素はゴキブリの呼吸分しか出ないし、灰も出ないし、うんこは土に還る。衛生面で色々言われているけど、そもそもそれだけの生ゴミだす人間が問題よね。(;´Д`)

さて、本はゴミの真面目な話もあるんだけど、清掃員を6年も続けている滝沢さんの、ゴミ清掃員としてのほっこりしたお話が多い。

ほっこりして、肉体労働で大変だけど、なんか明日がある感じの。生きてる人間の書く文章。芸人からゴミ清掃員との二足のわらじになった滝沢さんは、もはやゴミの方に興味があるとしか思えないほどゴミの玄人感が出ている。それでいて文章がやたらと面白い。やっぱり芸人なんだな、と思う。

ゴミ清掃を始めた当初は、この仕事を舐めていた。パパッと午前中に仕事して昼過ぎには家路に就くようなイメージだったのだ。朝食をとらないでも平気だろと思っていたら、泡吹いてぶっ倒れそうになったことがあった。
 実際口の横は泡ぶくだらけだったと思う。始めたのが夏だったという運の悪さもあるが、熱中症になる原因の1位、水分不足に加えて、2位の空腹によるエネルギー不足からだと思う。泡吹いてぶっ倒れそうになった次の日から、僕は充分な朝食をとることにした。
 
朝5時に目覚まし時計が順に三つ鳴って、布団から飛び出す。タバコも吸わず、真っ赤な目で何も言わずに、レトルトカレーをチン。大皿に山盛りご飯を2杯食べて出勤した。嫁から見たら狂気の沙汰だったに違いない。

しかしそのおかげで、その日から僕は飛び跳ねるようにゴミを回収できるようになった。そのくらい食べていて丁度いい。回収が始まるのが3時間後の8時で、次に食事をとれるのが7時間後のお昼だから、大盛りを食べても食べ過ぎるということはないのだ。

ゴミ清掃員のハードな労働をこなすことで、どんどん健康になっていく滝沢氏。実際、ゴミ清掃員にはボクサー志望の人や俳優志望の人が多いという。

日本で一番ゴミに詳しくなった芸人の語るゴミの本。面白くないわけがない。


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