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とても素敵な時間

春の日差しが心地のいい朝、母ととても素敵な時間が持てました。
その日、母が嬉しそうに昔の事を語り始めたのです。


「私が昔教えてもらいよった、お習字の先生は今、元気なんかなー」リビングのリクライニングチェアーにちょこんと腰かけている母が私に向かってそう言った。
「お母さんより年上の先生じゃたんじゃろ、お母さんが93歳じゃけんねー、もう100歳越えられとろう」と私が言うと母は「ほうか、ほうよねー」と答え、その話をきっかけに母の昔話が堰を切ったように始った。

私の家の側に幼馴染みのかずちゃんがおってねー、ええライバルじゃったんよ和ちゃんは何でもようできよったわい」懐かしそうに遠くを見ながら母は続けた。

「同級生にお金持ちの子がおってね、それが大きな家でねピアノが置いてあったわい、私よう遊びに行きよったんよ、羨ましかった」
「私は勉強が本当に好きじゃったんよ、仲良しの和ちゃんもようできよった」
饒舌な母に圧倒されながら私は「ほうかねー」と、軽い相槌を打った。

母の思い出話はまだまだ続く。
「こないだ亡くなった友達はね、ダンスが縁でご主人と結婚したんよ、あの頃はダンスが流行っとたけん、よう行きよった」
「お母さんもお父さんとダンスしよったんじゃろ」と聞くと「ほうよ、懐かしいわい、神社でもダンスパーティーがあったんよ、和ちゃんも行きよった、その時コートを失くしてしもてねー
母の表情が生き生きとしてきた。
ひとしきり思い出話をした後、母はこう言った。

これまでいろんな事があったけど、よう生きてきたわい」としみじみとした表情だ。

「お母さん、今日が最後じゃないけんねー」と私が言うと母は「ほうよ、私は全然死ぬような気がせんわい」と力強く語った
母がこんなに生き生きと語るのは珍しかった。
母の昔話を聞く、とても素敵な時間だった。

最後に母が言った「和ちゃんとはもう年賀状の交換もしてないけど、和ちゃんは元気かなー」と、母はとても可愛い顔をしていた。


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