おばあちゃんの美と健康

イラスト展の開催日がどんどん迫ってきて、母は慌ただしい毎日を送っています。
新聞やテレビなどメディアの取材を連日受けていて、母は物凄く健康に気遣うようになりました。
とにかく気が張っているのです。

取材相手に迷惑が掛からず体がスムーズに動くように、体力の維持を心がけているようです。

「お母さん今日のトピックスは・・・」と聞くと
「早起きして、ベッドの上でストレッチをした後に、足踏み健康器具を使って、歩いたんよ、体力づくりしたよ」と言っていました。
「お母さん頑張ったね」と言うと
「やっぱり元気じゃないと、何にもできんけんね」と笑顔です。

私は何と素晴らしい効果なんだろうと思いました。
取材を受けることが、母の日常に大きな刺激になっているのです。

撮影用に私がお化粧をしてあげると、素直に応じて、
「キレイにしてねー」と言いながら、お化粧をした顔を拡大鏡でまじまじ見て「あんたお化粧、上手なねー」などとにこやかな笑顔です。

これまではお化粧をすると、落とすのが面倒くさいと言っていた母に大きな変化です。

そんな母の姿を見ていると、人は外部から刺激を与えればそれなりの変化があって、日常がより楽しいものになることが分かりました。
お年寄りには、大きな負担にならないくらいの適度な刺激が必要なのです。

私は、93歳になっても美と健康を気遣う母の姿を見ていて改めて思いました。
人の美や健康への思いは歳を重ねたとしても、間違いなく変わる可能性がある、それはほんの小さなきっかけかも知れないと。

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