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16歳で妊娠。彼氏を味方にした効果

今期も、ドラマを20本見ています。

今週、最も感動したのが「あの子の子ども」。
この1話だけで十分完結しているし、20分で見られるのでぜひ見てほしい。

7月23日(火)に第5話が放送されました。
TVerなら7/30まで無料で見られます。

内容は、高校生で妊娠してしまった桜田ひよりさんが、
クリニックへ診察を受けに行く、という内容です。

未成年の妊娠ドラマの難しさ

14歳の母(志田未来さん主演)や、18/40(福原遥さん主演)というドラマでも未成年での妊娠が描写されています。
今期のドラマでも、海の始まりで大学生の妊娠が描かれています。

キャラクター描写の難しさとして、
「未成年で妊娠するような人物」というのは、共感を呼びにくいところはあります。

主人公となる女性自身、
避妊対策をしなかったり、初めての性体験であったりとするところが、
本人の至らなさを示す要因になります。

男性が悪者なのか?

そして、もう一つの難しい点。
それは、大抵男性側が悪者扱いされることです。

同意していても、一方的に「妊娠させた」と責められる彼氏。
主人公にとって敵対関係と立ちはだかる父親。

父親に共感しても、
彼氏に共感していたとしても、
男性が作品を見ていて楽しい気持ちにはなれません。

その点、
「あの子の子ども」は避妊対策をとった上で何度か体を重ね、ゴムが破れてしまうことが発端になります。

破れた後も、二人で一緒にできる限りネットで調べます。
アフターピルについて知り、男性側も大事な部活の大会ではなくクリニックへの診察を優先しようとするなど誠実な対応をしていきます。

読みきれていない「完璧」の意味

妊娠モノは、大抵クリニックの先生は人間ができあがっている味方です。
今作でもそうですが、感動しました。

世の中では、
学校の性教育への違和感を覚えている人が多いはずです。

なぜ性教育を隠そうとするのか。
不用意な妊娠を防ぐための脅しをするばかりで、正しい向き合い方や対策などを教えない。
そもそも、学校で教わる内容は、その年齢ならすでに知識として知っていることも多いことなど。

そこへのモヤモヤを、クリニックの先生は少し代弁してくれます。

その上で、
・やれることを全部やった。
・あなたの対応は、完璧
と告げるのです。

ずっと不安を抱え続けた主人公にとって、どれだけの救いの言葉になるでしょうか。
4話かけて、主人公の不安を目の当たりにしてきた視聴者にも救いの言葉となるはずです。

ちなみに、直前にも「完璧」という言葉が出てきます。
経膣エコーの時に不安を抱える主人公に「完璧です」と告げるのです。

「完璧です」という言葉を2回出すことで、
前後にどのような意味の違いを持たせているのか。
うっすらとはわかりますが、まだ言語化できていません。

ビジュアル的には対比がされています。
経膣エコーの時は、クリニックの先生の顔はカーテンで隠されています。
つまり、顔が見えない状態での「完璧です」

一方、2回目の「完璧です」では、
先生が真正面からこちらを見つめて伝えてくれるのです。

ぜひ他にも推測できる方いましたら教えてください。

誰も教えてくれないからこそ

学校では、妊娠した後の対応や、国の制度などは教えてくれません。
主人公たちは、それを恨むことは一切なく、誰にも話せない中で必死に調べていきます。
その姿に心打たれます。

特に、男性側があらゆる道筋について具体的に調べていきます。
だからこそ、彼氏も悪者ではないのです。

・どれだけ男性側がこれから責められることになるのか。
・どれだけ男性側は人生を投げ打つ必要があるのか。

こういったことを、
今までの妊娠ドラマで嫌と言うほど見せられてきたのも大きいと思います。

彼氏を味方にすることで

人間ドラマを描くには、一人の描写では限界があります。
漫画や小説のように、心のうちをひたすら語り続ける必要があるからです。

映像作品の場合、人と人との交わりの中でどう感情が変化していくのかが重要です。

今までの妊娠ドラマの場合、
妊娠が発覚して親に話して反対されるというのが定番です。

人間同士対立した方が面白みが増すため、
親を敵役とすることで主人公の葛藤を描きやすいからです。

・愛する彼氏との別れ
・中絶を迫る親との対立

しかし、彼氏を味方にしたことで男女間の葛藤を描くことができます。
親に言えない不安、
未成年という立場の弱さ。

妊娠というタイムリミットと、
両家の親からの反対やこれから確実に来る苦労への漠然とした不安。

親にも言えない本音を描写することもできるのです。


私も、性教育やお金の勉強など、
学校で教えてくれないのを批判するのは嫌だなと思っています。
学校で教わらないことを家庭で教えたいと思うのです。

20年後、我が子が10歳を超えたあたりで一緒にまた見たいなと思います。

原作が漫画のようなので、
ドラマが完結したら全8巻読んでみたいと思います。



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