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【まとめ】アルコールランプが消えるまで

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「探偵のロジック」百瀬光太。「観察者のロジック」久米充一。高校二年の二人の青春ミステリー。
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記事一覧

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」2.5

     第2・5話  偶然というには、あまりにも好ましくないタイミングだった。かといっ…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」3-4

「まあ、よくある話といえばSNSいじめかもしれないね。本人がいないのをいいことにトークで…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」3-3

 なりたいものを語るのが夢なのではなく、やりたいことを語る。その実現のために生き方を考え…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」3-2

 この、二色の炎の揺らめきを、光太は高校生になるまで知らなかった。  扱いの難しさが問題…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」3-1

     第3話  宇山美乃梨と決別したからといって、光太が図書委員を辞める、ということ…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」1.5

     第1・5話  本日の授業時に宿題として出そうと作ったプリントの束を抱え、金田乃…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」2-3

「あと。百瀬は昼休み、女子の会話を盗み聞きして――」 「してねぇよ!」  光太は実験台を叩きつけた。 「友だちと弁当食ってたら、あっちが勝手に寄ってきたんだよ。自分で弁当作ってくるなんてすごいねーとかなんとかって」 「……先生。僕はどこから突っ込めばいいんでしょう?」 「いわゆる『リア充』というやつね」  現代語は言い慣れないのだろう、万理子は少し噛んだような口調だった。 「爆破しちゃだめよ、充一くん」 「しませんけど。しませんけど! 弁当自作って何? 勉強だけじゃ飽き足らず

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」2-2

(今日も熱帯夜かな……)  活字の上で、光太は視線を泳がせる。集中できなかった。昨日の夜…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」2-1

     第2話  東北地方、青森県太平洋岸の高等学校、物理実験室にはまだエアコンが設置…

「アルコールランプが消えるまで〜理系くんと文系くんの青春ミステリー〜」0.5

     第0・5話  校長の話があまりにくどく、そもそも遅くまでベルの不等式に取り組ん…

「アルコールランプが消えるまで〜理系くんと文系くんの青春ミステリー〜」1-4

 光太の作品が載った雑誌を手に、宇山美乃梨は笑ったのだ。「おめでとう」と。フィギュアのよ…

「アルコールランプが消えるまで〜理系くんと文系くんの青春ミステリー〜」1-3

「お前が選考にいればよかったのに」  苦笑して、光太は椅子を戻した。どうにも気が抜けてし…

「アルコールランプが消えるまで~理系くんと文系くんの青春ミステリー~」1-2

 それは、ハーブ図鑑が貸し出されたのが、ほんの三十分前であることを示していた。  返却カ…

「アルコールランプが消えるまで〜理系くんと文系くんの青春ミステリー〜」1-1

    第1話  放課後の空気を清々しく感じていられるのも、もうあとわずかだろう。以前よりずっと高い位置に留まっている太陽に、百瀬光太は迫る夏を見る。 (暑いのは苦手なんだよな……)  現実から逃れるように、光太は手元に目線を落とした。  返却された本に、なんらかの異常がないか確認する作業に戻る。読み耽ってしまわないように気を付けながら、ぱらり、とページをめくると、カウンター前に誰かが立った。  顔を上げれば、そこには同じ二年六組――というよりは、中学からの腐れ縁といった方