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母の日に贈ることば

風薫る5月の第2日曜日。この日はそう「母の日」である。

自分は毎年、カーネーションの代わりに「コピー」を贈ることにしている。最初にこの企画(?)を始めたのが2012年なので、もう結構長い期間続けていることになる。振り返ってみて、自分でも驚いた。ちょうどこの期間にニュースやCMで見かけることがあるから忘れづらいのか、なぜか記録のない2013年を除けば、贈ったのはこれまでに5本と、毎年シリーズ化している。

そもそものきっかけは、カーネーションをわざわざ実家まで届けるにしても大変だし(実際にされている方は尊敬する)、せっかく自分はコピーライターなのだから、日頃の感謝の気持ちをコピーにして贈ればいいではないか、と思いついたことだったように記憶している。ちなみに、歴代のコピーはこんな感じである。

【2012】
母の日に、母を想う子に私を育てたのは、あなたです。

【2014】
あなたが私にくれる愛は、限定品で非売品。

【2015】
見返りを求めない愛し方を、誰より先に教えてくれたのはあなたでした。

【2016】
この日を迎えるたびに「あなたがいてくれたから」と
思うことが増えていきます。

【2017】
どんなに優れた「AI」も、あなたの愛にはかなわない。

そして今年、2018年は

あなたの息子を30年楽しめたことは、私だけの幸せな特権です。

というコピーを贈った。地味にルールとして、コピーの中に「あなた」を入れるようにしている。今回は自分が今年30歳になることもあっての一本である(わりと真剣に考えた)。コピーはできたらメールに直接打ち込んで送るのだが、それを読んだ母からいつも返信が来る。これがまた、和歌の「贈答」のようで面白いのだ。ちなみに、今回の返信はこんな内容だった。

「………30年、まあ、確かにそうなのですが、わたしにとっては、その前の、十月十日(とつきとおか)前から母でした。あなたより少しだけ、幸せな時間、得した気分です。」

…やられた、と思った。

こういう返しが、個人的には「さすが母」である(「とつきとおか」のルビをコピーライターに振るんじゃない、とは思ったが)。コピーは手書きで書いたものを各種SNSに投稿するようにしているが、それなりに反応があって嬉しい。どちらかというと母からの返信をアップした時に一番リアクションがあるのが制作者としては悔しいところであるが。

実家を離れて10年余り、迷惑をかけてばかりでなかなか機会はつくれていないけれど、こういったタイミングで自分なりのカタチをもって感謝を伝えるのは大切なことだと思っている。母も、父も、自分にはたった一人しかいないのだから。

決してお金はかかっていないけれど、誰より想いを込めてつくる贈り物。
さて、来年はどんなコピーを贈ろうか。

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