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「野宿をしながら自転車で日本を横断した話」 6/10 周南→宇部 62km

朝一でフェリー乗り場へ

7時過ぎに起床。フェリー最初の便が出る7時40分まではまだ時間があるので、顔を洗い、昨日買った巻き寿司を食べる。寝袋を日に当てて乾かしているといつの間にか7時半になっている。

慌てて自転車でフェリー乗り場へ向かうが、昨日通ったはずの道を忘れてしまう。出航までの時間が刻々と近づいていく中、なんとか滑り込みで乗り場へ到着。

こういう事は自分によくあることで、準備は早めに済ませておける側の人間なのにも関わらず、なぜか毎回ちょっとしたハプニングで集合時間ギリギリになってしまう。

昨日の夕方に購入した「徳山港ー大津島」往復のチケットを提示し、早速フェリーの中に入る。

離島に工事をしに行くのか、船内は大勢の作業員の方でごった返している。

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波をかき分け、大津島に到着するまで何ヶ所かに停泊し、その度に作業員の人たちが下船して行く。


「回天の島 大津島」

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大津島の港へ着くと「ようこそ 回天の島 大津島へ」と書かれてある大きな看板に出迎えられる。これから太平洋戦争の世界へお邪魔するんだという実感が湧いてくる。

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目の前には犠牲者を弔うためなのか、石碑と観音像が設置されている。石碑には「回天の母」という歌が刻まれている。ひとまず記念館への道を進む。

こういった離島へくることは滅多にないので、人通りが極端に少ない景色を見ているとかなり新鮮だ。

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戦争当時の建物や危険物が保管されていた倉のすぐ近くに小学校があり、現在と戦時中の景色が混同しているようだ。

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記念館が見えるところまで来ると、名前が書かれた石碑が無数にありそれが記念館の入口まで一直線に続いている。よく見てみると、全国から回天の操縦士となるために志願し、お国のために散華して言った有志の名前だ。

北は北海道から南は九州まで、本当に全国色々な場所からこの地へ来ていたことがわかる。

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実寸大の回天のレプリカを見学。実際の「回天一型」と呼ばれる物は想像よりかなり大きい。

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犠牲者を弔う大きな石碑も登場。お祈りということで手を合わせて拝む。

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いよいよ記念館の中へ。

記念館の中はそこまで大きな規模ではない。が、有志が地元にいる家族へ宛てた手紙、特に結婚前だった人、奥さんや子供を残して散っていった人達の手紙にはこみ上げる感情を抑えられない。

いかに当時の日本が追い詰められていたか。国を憂い、愛する家族や友人を守ろうとした人がどれだけいたのか。安っぽい言い方かもしれないが、日本人であれば一度は訪れるべきであることは間違いない。

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その後記念館を出て、山道を700mほど登る。

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虫や枝を避けながら登り続け、頂上の展望所である「魚雷見張所跡」を見学する。

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あくまで跡なので、当時色々あったであろう設備などは全くなくなっているが、当時の情景が浮かんでくる見えるような気がする。

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その後下山し、当時魚雷を秘密裏に運ぶために使われていた薄暗いトンネルを目指して歩く。

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トンネルの入り口は、何か自分が引き込まれてしまいそうな見た目。

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全く人気のない真っ暗なトンネルをただただ歩く。心霊スポットと言われればそう見えるが、あまり霊感の強い方ではないので気にならない。幽霊が出てくるなら出てもらってもいいと思うくらいだ。

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トンネルを抜けると、「回天訓練基地」へ出る。これも跡ということで建物だけだったが、当時の様子を物語るような堂々とした出で立ちだ。

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トンネルの中を再び通り、港側の出口に出る。

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港には徳山港行きのを待っているご高齢の方が数名。生活の一部として利用されている交通手段だということがわかる。

 

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このとき気づいたが、この島には軽自動車と軽トラしか走っていない。そもそも大きい車は必要ないのかもしれない。


結局水道水が一番美味かった


フェリーに乗って徳山港へ戻って来たのはお昼頃。最寄りのスーパーで昼食を買い、今日の目的地である「宇部市」へ向けて出発。

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今日はものすごい向かい風の日で吹き付け、なかなか目に進まない。防府市に入ったところでアイス休憩。

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青森では見たことのない「くまモン」パッケージのガリガリ君 九州みかん味を発見。お店の外でささっと食べ終わり、再び漕ぎ始める。

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その後すぐ「山口市」へ入る。が、今回は特に観光することなく目的地を目指す。

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水も切れてしまい、喉がカラカラの状態で走っていると、やっと目の前に公園が現れる。

相変わらず喉が乾いたときに飲む水道水は世界一美味い。

そこからは下り坂が続き、大きな幹線道路に出る。どうや宇部市内に入ったようだ。


小学生来の友人宅で一泊

今日は小学生の時の友人の実家に泊まらせていただくことに。

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近くの銭湯でゆっくりと汗を流し、夕食は豪勢にとお家で焼肉を用意してくれる。何から何まで至れり尽くせりでもてなしてもらい、本当にありがたい。

10年ぶり再会ということもあって、食事と共に話が進む。小学生の頃の話に花が咲き、ただただ楽しい時間を過ごす。

デザートには人生で初めて「びわ」というフルーツをいただく。青森とロサンゼルスに住んでいる僕からすると全く見慣れないのだが、西日本では広く食べられているらしい。オレンジ色のプルーンといった感じで、小ぶりだが甘くて美味しい。

結局夜の10時ごろまで夕食ご馳走になりながら話をしていて、その後部屋に通してもらうことに。この旅の期間中全然テレビを見ることがなかったので、布団に寝転がりゴロゴロしながら見ることに。なんだか自分の実家に戻って来たような気分だ

明日はいよいよ九州へ上陸。100kmほど進んで福岡市まで進むので、あまり夜更かしをしないで眠りにつくことに。