見出し画像

「野宿をしながら自転車で日本を横断した話」 6/17 熊本→水俣 85km

無人ネットカフェ?

朝5時半起床。昨日の疲れはだいたい取れた気がするが、やはり5時台に起きるのはつらい。洗顔を済ませ、朝食は昨日買ったドンキの食パン。ネカフェは飲み物やアイス、スープなんかが無料なのでパンに浸したりしながら食べ進める。

出発しようと部屋を出る。昨日受付した時もそうだったが、入店・退店は完全に無人化されているらしい。会員証をバーコードで読み取り、レジのような機械で会計を済ませる。

LINEの友達登録で100円引きとなり、合計で1300円。もしかすると、下手なゲストハウスよりも経済的なのではないかと、改めてネットカフェの可能性は果てしないものだと思う。

画像1

持ち帰り用にコーヒーをコップに入れ、片手に持ちながら熊本市を出発。まだ日も出始めたばかりなので、薄橙色に照らされた空が綺麗だ。

涼しいに当たりながら前へ前へと進む。

途中コンビニによって休憩。明日の夕方には今回の旅の最終目的地である「鹿児島県」に着く予定なので、主要な観光地をまっぷるでおさらい。

画像2

その後も自転車を進ませていると、「氷川天主堂」とかかれた教会のような建物を発見。が、人が入るにしては明らかに小さい。模型だとすれば、なぜ駐車場のようなこの場所に設置されているのか。

画像3

はてなマークが頭の中にたくさん浮かんでいるところで「八代市」に入る。田園風景が広がるのどかな街といったところか。

今走っている国道3号線を右に抜けると市街地が見えてくるらしいが、お昼までに水俣市に入ってゆっくりしたいので今回はスルー。

画像4

八代よかとこ物産館」と書かれた看板を見つける。「よかとこ」熊本の方言なのだろう。関西弁のような高圧的な印象が全くないので、九州地方の方言にはなんだか親近感を覚える。

画像5

この地域の海沿いは工業が盛んなのか、向こう側には赤と白の煙突がいくつも見える。

画像6

国道沿いなのにも関わらず、全くといっていいほどお店もないのがまた良い。ここ数日は福岡、佐賀、長崎、熊本の中心部を回っていたので、街の喧騒さと少し距離を置く時間も大切だと思う。

画像7

下道に入り少し経つと、「熊本日日新聞」の販売所の看板が。日日新聞と聞くとかなり昔の新聞社のようにも思えるが、どうやら熊本県内で一番読まれている地方紙なのだとか。

画像8

自動車学校に椰子の木が生えているところを見ると、すっかり南国に来たような気分。東北に住んでいる僕からすると、僕が知っている日本とは全く違う。


山と海を一望できる「八代市」

画像9

そこからはまた国道3号線に合流し、海岸線が綺麗に見える道を走る。この辺りの海は「不知火海」というらしい。海水浴場も近くにあるらしいが、6月のこの時期ではまだ開いていないだろう。

画像10

海岸沿いを走っていたと思っていると、あっという間に周りは山間部の景色が広がる。山の麓には「ホテル」とだけ書かれた小さな建物が見える。おそらく今では幽霊しか住んでいないのだろう。

画像11

八代市を過ぎたあたりから、いよいよ登りが始まる。の景色は日本どこでも美しいが、この辺りは一段と綺麗だと思う。時期的にもちょうどいいのか、緑がこれ以上ないほどに生い茂っている。

山の麓から吹く心地よい風が背中を押してくれているようだ。地元と変わらない景色を見ていると安心感が違う。

画像13

この辺りは本当に山が多い。ということは、トンネルも多いということ。後ろからかなりのスピードで車が追い越していく中、真っ暗なトンネル内を走らなければいけない。

あまりだらだら走っていると轢かれてしまうかもしれないので、登り坂のトンネルだということは関係なく、全速力でペダルを漕ぐ。

画像12

1つ目のトンネルを出て坂道を下る。「肥後うらら」という道の駅が見えてくる。この先も登り坂が続くのでここで少し休憩。

画像14

体力が少し回復されたところで再出発。トンネルと登り坂の連続で体力の消耗が激しい。ただ、途中見えてくる単線の線路が山と空に包まれている景色など、フォトジェニックな光景がいくつも見られる。

画像15

ただ、登り坂は終わることを知らない。「津奈木太郎峠」という明らかに誰かの名前を文字った峠を越える。

画像16

その先には、より一層鬱蒼とした森に魅せられる。

画像17

この峠がどうやらピークだったらしく、その後は平坦な道や下り坂が続く。文字通り「峠を越えた」ところで「水俣市」へ入る。まだ午前11時を過ぎたばかりだが、こうして早めに目的地に入ると気持ちが楽だ。


○○○○○○はまさかの定休日...

画像18

環境モデル都市  みなまた」と謳っている街らしく、おそらく公害病の一つとして数えられる「水俣病」を意識したものなんだろう。この街を目的地とした1番の目的は、この病気に関しての知識を深めることだ。

画像19

人口があまり多い街ではないのに、新幹線の駅があるとは思っていなかったので驚き。気になって調べてみると、1日当たりの乗車人員は590人程度だそう。全く乗る人がいないという訳でもないらしい。

画像20

街中に入ってものどかな風景は変わらない。まるで地元に戻ってきたようだ。

画像21

市街地に入ると、「M's CITY」というデパートを見つける。昼食用に弁当を買い、建物内のベンチで食べる。

画像22

いかにも地方のデパートというような、小さなゲームコーナーやお店が並んでいる。外はかなり暑くなってきたので、とりあえず食後は日記を書きながら休憩。

今日のこれからの予定は「水俣病資料館」の見学。という予定だったが、まさかの月曜定休(2019年)。こればっかりは仕方ないので、明日の朝行くことに。

市内で他に観光する場所も特になかったため、本屋で立ち読み。買いたい本が一つあったが、あまり荷物を増やしたくないので旅が終わってからどこかで買うことに。

夕方になって、割引シールが貼られたころに1階のスーパーに戻る。割引されているのとされていないのでは値段がかなり違う。

画像23

買い出しも終わったところで、数時間ぶりに自転車を走らせる。今日寝泊りする場所は「道の駅  みなまた」。

道の駅には「エコパーク」と呼ばれる施設が隣接していて、バラ園や運動公園、水俣病資料館などがある。

画像24

実際に道の駅に着くと、ただただ壮大な公園が目の前に広がる。日もすっかり暮れてしまったが、ランニングやバスケに勤しんでいる人がちらほら見られる。

画像25

この辺りの観光情報を知りたかったので観光案内所の建物に入ると、ここでも「くまモン」がお出迎え。

画像28

今回の旅であまり寝泊りすることがなかった道の駅だが、公園と違った安心感がある。街中の公園にいつも泊まっていたので、こういった道の駅だと全く声が聞こえてこないのも嬉しい。

画像26

空が暗くなるにつれて人気が完全に消える。

画像27

建物の横にあるスペースにマットと寝袋を敷く。そこそこ車通りが多い道路に面しているのだが、沿道に無数の木が植えられているので全く音が気にならない。

観光らしい観光は全くしなかった1日だが、こういうゆったりした日もあってこそ旅だと勝手に解釈して眠りに着く。