人柄がだんだんわかってきた【#35マッチングサイトリポート】
大きなタトゥーに歴史の爪痕が
彼には腕と背中にタトゥーがあります。日本ではタトゥー=入れ墨ですから、「どこの組のもんじゃい?」という印象かもしれません。
腕のタトゥーは見えますが背中のタトゥーはビーチで服を脱いだ姿で初めて見ました。かなりデカイうえに、家族を愛してきたQPさんらしいタトゥーです。
実の息子2人と義息子(元ワイフの連れ子)の3人の息子たちのイニシャルと元ワイフの名前が彫り込まれているのです。当時は愛妻だった彼女とまさか離婚するとは夢にも思わずの時代に刻んだものです。
旅の前にタトゥーの話は聞いていました。
「これがあのタトゥーね」と背中を指さしながら話題を向けると
「元ワイフの名前の上に修正線いれて横にあなたの名前を追加するってのはどうかな?」と言って爆笑。
「まぁ、家族をたいせつに思うあなたの当時の気持ちだったんだろうし、それは今のあなたに続く歴史。どうせ自分では見えない場所だからそのままたいせつにしておきなさいよ」と返すと、今となっては背中なのが救いだと微笑んでいます。
「この先、タトゥーなんかにお金を使うことはぜったいにしないさ。若かったな」と言いながらしみじみ海を眺めていました。お互いにアラ還なのですから、たくさんの歴史を経て今があります。
ホットタブ気に入って良かった
日が落ちて少し肌寒くなるころには、プールサイドにあるホットタブにビール片手にふたりでドボン!!太陽が完全に沈むまでの間は体を温めつつ他のお客さんとの会話を楽しみながら人間ウォッチングです。
わたしは、お風呂文化のある日本人ってこともありホットタブが大好きです。温かい湯に浸かることが苦手な米国人も多いようですが、QPさんも初のホットタブ体験がすっかり気に入った様子。
「あったかくて気持ちいいね」(Feel so good and warm!! )といいながら、頭上の椰子の木を眺めてビールをゴクン。
(ほんと、極楽だわ〜)とわたしは心のなかで思いました。
ビーチで号泣しちゃった
結局、滞在中リゾートからは1日も出ませんでした。一度ダウンタウンにバスで出かけようと思いましたが、正月とその翌日は多くの場所は休みだとわかり取りやめました。どのみち、わたしたちふたりとも特に観光がしたい欲望もないのでそのあたりの相性もばっちりです。
ビーチを散歩したあと、ゆったりまったりを楽しんでいると、QPさんが自分のスマホとブルートゥースで繋がっているイヤホンの片方をわたしに差し出しました。
これまで会話してきたなかで、わたしが好きそうな曲のプレイリストを作ってました。曲のなかにはミュージャンの息子のアルバムもちゃんと入れてあるところに思いやりが感じられます。
わたしにイヤホンをくれたときに流れていた曲は"デスパシート"でした。(そういえば、以前QPさんにデスパシート聴くといろんな思い出が蘇るって話をしたことがあるような、ないような……)と記憶を辿りはじめると同時に涙腺がキレました。
かつて夫と楽しんだカリビアンバケーションの思い出を呼び起こし、目の前に広がる景色と隣にいるQPさんから渡されたイヤホンからこの曲が流れてくる不思議さが絡み合ったらいろんな想いが交錯し、スイッチオン。マズい、アウト・オブ・コントロール!!
今もなお突発的に起こる現象ですが、どうしてここでかな……。
コレ突然来るのです。以前にもそんなこと書いていました。
この現象がバハマのビーチで勃発です。😱もう涙がボロボロ溢れるだけじゃなくて、嗚咽とともにわん泣きのわたしを見てあわてたのはQPさんのほうだったでしょう。😅
上に書いているような説明をここでQPさんにできようもなく、収まるのを待つしかありません。
とっさに"I'm sorry, I'm okay." としか言えません。
すると、QPさんはただ黙って泣いているわたしの手を握りしめてきました。
しばらくして収まり、笑いながらこういうことが未だに突発的に起こること、スイッチが入ると制御不能になることを説明しました。
するとQPさんは真顔で、
「あなたの横にいるQPさんは、人の心に寄り添って問題解決を助けることを仕事にしているライセンスを持つソーシャルワーカー/セラピストだよ。グリーフケアの難しさはわかっている。それは流していい涙。これまで素敵な思い出がたくさんある証拠だし、感謝の涙、さびしい涙、幸せの涙だ。そんな涙が出てくるあなたがより美しく見えた。こんな穏やかなビーチであなたが涙する姿が見えたなんてボクにとってはボーナスでしかない。その涙の中に亡くなったご主人へのレスペクトも感じられるよ。次はビールにする?それともピニャ・コラーダ?」
突然、泣いてしまって申し訳ないという気持ちのわたしに対して、まるで模範解答のような言葉をかけてくるこのおっちゃんはいったい……!!?
この4ヶ月間の付き合いのなかで、彼は職業柄か人の心を読むことに長けた人だと感じています。人を不快にする発言はまったく出てこなくて、常に穏やかでやさしくてユーモアがあります。なんとなく感じていた彼のパーソナリティーがわたしの中でよりクリアーになってきました。
彼の言葉を日本語で文章にすると、ちょっぴりキザなセリフに聞こえるかもしれませんが、英語なのでまったくナチュラルでさらっとしています。どうも心から誠実でいい人のようです。いっしょにいて疲れない、安らぐというのも彼の人柄からくるのだと思います。
ここでわたしはふと考えました。
亡き夫との間にも安らぎの感覚はありましたが、それを保つためにわたしは常に緊張もあったなと。夫は自身の理想を強くわたしに求めるタイプだったのでそれに応えてきたからだと思います。
今のQPさんとわたしにはお互いに合わせる必要もなく、自分自身のままでいられることに心地良さを感じ始めているのかもしれません。
"デスパシート" で不意打ちくらい溢れた涙でしたが、このときのQPさんとのやりとりで彼に対する信頼感が強くなりました。そして会話も何気ないようで質が高いことに気づきはじめました。
ビーチでのんびり、ホットタブで温まって、ドレスアップしてディナーのあとは、エクササイズを兼ねて生バンドでダンス三昧。さらにトドメの🍷を楽しむリゾートライフは最高です!!ニュートラルな気持ちで臨んだ旅ですが、なかなか心地よい展開を迎えています。
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