「黄泉比良坂にて」 #14
「清水くん、よく見て」
西川原は立ち上がり、カレンダーを指し示して、おれのほうを見た。おれは彼女の意図がわからない。
仕方なく立ち上がり、カレンダーをよく見た。上半分が風景の写真で、下がカレンダーになっている、ごくありふれたものだ。写真部分はヨーロッパの渓谷のような当たり障りのない写真で、下部分にはいくつかの記号や数字が赤ペンでメモされているだけ。なんの変哲もない、普通のカレンダーだった。
おれはあらためて西川原の顔を見たが、彼女は何も言わず、口元はぎゅっと固く結ばれて