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note創作大賞2023入選。授賞式と打ち合わせ。

 受賞のメールはnoteのディレクターの志村さんから頂いた。以前クリエイターズファイルの企画でインタビューを受けてからのお付き合い。いつもながらとても丁寧な文面。
 授賞式で他の方に聞いてみた。
「すごく丁寧な、きめ細かな文章で頂きましたよ」

 世には小説新人賞がたくさんある。長く続いているものや出版社が主催している新人賞はおしなべて丁寧な気がする。全体の講評、二次まで通過したものへの選評。選者、応募者、受賞者に敬意がある。今回のnote創作大賞の講評や選評、文字数多かったよね。文字数だけじゃないけど、それは労力を計る目安にもなる。

 noteには企業とタイアップしたコンテストがある。あれはタイアップ企業のマーケティングの一環。でも押しつけがましいものを感じないのは何故なんだろう。

 少し前、私設コンテストで風流なものを見つけた。素敵だったから頑張って書いて応募した。落ちたけどね。
 結果発表のnote。受賞作紹介に主催者から一言もコメントも講評がない。何か寂しかった。次の年、そのコンテスト募集要項にマーケティング要素がガッツリ入っていた。主催者側が売り込みたいものが透けて見える。なんかnoteクリエイターの「養分」を吸い上げにかかっているような気がしたんだよね。応募者は激減していた。

 選ぶ方と選ばれる方にはどうしてもヒエラルキーみたいなものが生まれる。それを打ち消すのがお互いの敬意だったりするのかもね。

 受賞をふみぐら社さんに報告をする。

 志村さんからのメールの中には朝日新聞出版さんが僕を引っ張って頂いた事が記されていた。結果発表にも僕が朝日新聞出版から選ばれている事が書かれている。

 授賞式は27日。その前に朝日新聞出版さんが顔合わせをしたいとのこと。

 ついにルートが出来た。これを待ち望んでいた。note経由での出版社とのルート。大事なことだからもう一度。note経由での出版社とのルート。
 しかし今回は僕は入選。編集部賞ではない。だから朝日出版社さんは山羊顔を拝見、で終わる確率も高い。というか、普通そうだろう。でもこの機会を簡単に見過ごすのはつまらない。爪痕を残さねば。
 2~3割ぐらい書きかけの短編が2編ある。一編がシリアス系。もう一編は少しおかしみを入れたもの。この2編を上げて持っていく事にした。
 時間はない。2編は厳しいから1篇にしようかと。寝る時間減らすと体力削られるし。1篇でいいんじゃね?ここままだと死んでしまう。

「1篇ででいいのかい、いけないのかい、どっちなんだい? し~ぬ~」

 やかましい中山きんに君が寝不足の脳にこだまする。プロに直接お渡しするのだから目薬1本消費するまで推敲する。
 なんとか2編上げた。

 妻が「名刺、必要なんじゃないの?」と言う。出版社にお会いするんでしょう?と。慌ててラフなデザインを決め、妻が整えて印刷してくれた。妻はデザインが強い印刷会社にいる。インパクトを狙って紙をむちゃくちゃ分厚いものにした。そしたら名刺入れに入る枚数がむちゃくちゃ少ない。名刺交換した方の名刺入れも圧迫する。

 僕は小説をあげると最初に妻に読んでもらう。妻は小説を年間150冊ぐらい読むので、心強い。
 もちろん世界でぶっちぎりの美人で可愛い。2番目は「逃げ恥」のガッキー、3番目は深津絵里、4番目は岡田将生、5番目はゲイリーオールドマンと椎名桔平。異論は認めない。

  予定を組む。
 車で26日深夜、新潟→東京入り。都内ビジネスホテル。
 27日am朝日新聞出版 pm note授賞式。
 28日ビジホ発→千葉松戸の実家→埼玉上尾、知人の見舞い→新潟。
 実家が松戸なんだけど諸般の事情で泊まれない(不和ではない)。

 26日深夜、事故渋滞をくぐり抜けて大崎のビジネスホテル着。荷ほどきもそこそこに風呂に入り就寝。寝れねぇ。緊張して寝れねぇ。結局寝たのが2時。起きたのが4時。遠足である。朝、前日に買ったコンビニのサンドウィッチを食べる。味しねぇ。
 
 朝日新聞出版には志村さんがご一緒して頂ける。最高にありがたい。他のクリエイターの方々にもこのようにアテンドしていらっしゃるらしい。結構な数の方らしい。すごい仕事量な気がする。ありがたい。

 緊張感レベルMAX。11時待ち合わせなのに、本社ビル10時到着。実に情けない。
 朝日新聞出版社からはお二方臨席頂く。本当に良い時間を頂いた。僕の拙い話をたくさん聞いてくれた。お一人は僕が書いたものを全て読んで頂いたらしい。詳細な表現、複線まで辿って頂いている。僕は感極まっちゃったんだよね。恥ずかしいから自分で白状する。ちょっと涙ぐんじゃったよ。マジで。編集のプロ3人が僕の作品について話をしているわけだよ。泣くだろ。やばかった。
 いくつか課題を頂く。それ次第だ。ここから始まるという事だ。まだ何もわからない。俺次第。相変わらずのon the road. 

 志村さんとはここで一度お別れする。僕は久しぶりだから銀座辺りまで歩くことにする。朝日新聞のロビーにタリーズコーヒーがあるからそれを買う。創作大賞に入選した旨、X(昔のTwitter)で報告。

 シャツ一枚で過ごせる、よく晴れた東京の秋だった。朝日新聞社の隣のビルの前にいくつかベンチがあってそこで休むことにした。X(この前までTwitter)の通知が凄い。皆さんからのおめでとうメッセを頂いた。嬉しい。
 それをさ、見てたのよ。そしたらさ、「今まで頑張ってたよね」とかコメントしてくれた方がいるんよ。あー、俺、確かになんか時間作って書いて、noteで仲良くなった方たちからアシスト沢山もらったな、進捗状況報告だけのtweetだけなのに「いいね」押してもらったり。そのおかげでルート出来たな、とか考えた。そしたら馬鹿みたいに泣いてしまった。15秒ぐらい。今日通算2回目。おっさんが屋外で泣く。近くにいた女性にチラ見される。このビルは「東京国税局」。東京国税局の前でおっさんが泣く。差し押さえはされていない。もはやなんだかわからない。最近見たことありますか?屋外で泣くおっさん。俺はない。

 授賞式は楽しかった。受付にnote平野さんがいる。とても嬉しい言葉を頂く。イケメンで顔小さい。2ショットで写真撮ったけど、俺の顔がひどくデカく見える。遠近法がブーストしている。大変困る。
 会場の飾りつけとか配置とか、noteらしくてとても嬉しい。やっと来たぜ。
 椅子の配列。編集部賞の方と俺たち入選者は配置的にお互いよく見える。並び順から誰か何となく分かる。斎藤ナミさんが素敵な色使いのワンピースを着ている。お隣の席の方がまだ来ていない。そこに座ってナミさんとお話したかったがそこは編集部賞の席だ。俺は入選。違う。そもそも人の席に勝手に座ろうとするのはどうかと思う。
 秋谷りんこさんがむちゃくちゃ緊張している。顔色は青を通り越している。倒れるんじゃないかと思う。まだ言葉は交わしていないけど背中さすって手を握って差し上げたい。そんなこと見知らぬ男がすると逮捕案件だ。

 プレゼンターはnote加藤社長。壇上で加藤さんからトロフィーなりメダルなり手渡され、一人ずつ記念撮影。みなさんのスピーチは素敵だった。僕は迷いに迷って結局やらなかったことがある。心底やっておけばよかったと思う。加藤社長の肩を抱いて記念撮影。
 次、機会があればお姫様抱っこでもしよう。これも逮捕案件。



 懇親会は最高だった。受賞者、出版社の方々、noteの方々が入り混じっている。出版社の方々に営業をかけまくる。100に0.1でも読んでくれれば。
 
 次回創作大賞に選ばれた方にアドバイス。
 ・名刺はあってもいい。話のきっかけになる。
 ・選ばれた作品を口頭で簡単に説明出来たほうがいい。ある方に聞かれてしどろもどろになった。
  
 他の受賞者とお話しできたのも最高だった。みんな作品のイメージに近かった。おひとり、僕のこと、もう少しごっつい感じだと思っていたらしい。その方は軽食のテーブル付近からどなたかに、それはなんですか?と声掛けられていた。「これはサツマイモです!」と元気よくお返事をされている。花丸恵さんだった。
 同じ朝日新聞出版からの賞を受けられたせやま南天さんともたくさんお話しした。せやま南天さんを担当されている、朝日新聞出版の方とも名刺交換。同じ様にふんわりした雰囲気。
 秋谷りんこさんは緊張がほぐれて顔色が戻っていた。別人である。マジでよかった。本当に救急車案件になるところだった。すかさずツーショットの写真を撮る。もつにこみさんやゼロの紙さんともお話しできた。
 古池ねじさんの名刺にはかっこいいセリフが書いてある。「すべての言葉は嘘である」。
 斎藤ナミさんは名刺を持ってこなかったとしょんぼりしていたので、noteエッセイの女王が何言ってるんですかと言っておいた。
 ほかにもたくさんの方とお話しできた。また会おう。必ずな。

 noteディレクターの三原さんとお話しする。
「応募作品、凄い数じゃないですか、読むの大変ですよね」
「でも読むのが好きですし、他の社員もそうだから苦にはなりませんよ、仕事中に読めるし」
 それでも大変だと思う。そんなことを話しながらこんなことが頭に浮かんだ。
 noteはこの創作大賞で直接利益は得ていないはずだ。参加した出版社から参加費もらうってなんか変な話。出版社の新人賞は新人を育てるという目的がある。将来の利益を目論んでいる。この創作大賞ってやつは、マジで参加しているクリエイターに寄り添った企画なんじゃないのか?もちろんnoteのブランディングという目的はあるかもしれないけど。それでも受賞者への出版社への紹介など、ここまで伴走してくれる賞はなかなかないはず。
 勝手に感動したのでもう一本ビールを頂く。

 三原さんとのお話は続く。
「今日、朝日新聞出版さんに行かれたんですよね、山羊さん、少し「うるっ」て来てたって志村が言ってましたよ、本当によかったですね」
 なっ? 志村さんは俺がうるうるしてたの、三原さんとかに言ったのかい?
 ならば俺もこのnoteで言ってあげよう。志村さんから来た最初のメール、同じ文面が三連続で来たことを。pcだと崩れてしまって、という事で三回送られたけど、結局全て改行なしの凄まじいメールだった。
 もう一つ言っておこう。志村さんのnoteのプロフィール画像、実物の方が素敵だからな。

 会場を後にしビルを出たら、せやま南天さんと花丸恵さんが待っていてくれた。もう少しお話をしようという事になったが、周りの店はほとんどラストオーダー。しょうがないので僕とせやま南天さんがJR、花丸恵さんが丸ノ内線という事でここでお別れ。駅まで猛烈な勢いで3人で「小説」について語っていたら、いつの間にか3人で丸ノ内線の駅に入っていた。どれだけなんだ。結局新宿まで激混みの車内で3人の「にわかnote文芸部」開催。

 僕はnoteでしか書いたことがない。そして自発的な文章というのも今まで一度も書いたことがなかった。日記さえもない。書くのはメール、稟議書、購入メモ、ビジネス文書。
 
 Twitter上に流れて来た岸田奈美さんの「キナリ杯」。10万円欲しさに生まれて初めて自発的に書く。全くかすらず。でも書くのが少し楽しくなったのであと2編ぐらい書いて終わりにしようと考えた。
 私設コンテストを見つけた。入谷聡さん企画「磨け感情解像度」。
 応募作品全てを運営の方々がTwitter上で紹介し、「帯」をつける。そうすることで参加者が他の方のnoteを読みに行く。そのnoteがよければ僕らもTwitter上でシェアをする。

 素敵な事を素敵と言うのは大事なこと。素敵な波紋が広がる。僕はここでたくさんの友人が出来た。そのコンテストが終わっても僕は素敵なnoteを見つけるとTwitter上で紹介する。それは誰かが見つけてシェアしたものだったり、note公式が紹介したもの。波紋が広がる。
 ギブアンドテイクとか意識してないけど、自然と僕のnoteも読んでくれる。感想も頂けた。
 noteっていいよね。

 だから僕は創作をする上で「孤独」を感じたことがない。アイデアが浮かばず、のたうち回る事は毎日だけど、それは創作をする上で当たり前だ。書いている時は傍に誰かの存在を感じている。
 noteで僕は書き始めて、この街で育った。卒業する気はさらさらない。

 受賞した自分の作品に全く触れていない事に気が付いた。
「ハイライト」というお話です。自分でつかみ取る自由。そんな事を考えて書きました。是非。


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