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先に書くべきだったあとがき
順序が逆になりますが、最後に、この連載を始めた理由を書きます。
『がらくた少女と人喰い煙突』は、2017年9月6日に河出文庫として発売されました。強迫性貯蔵症の少女と、盗視症の心理カウンセラーという《普通でない》コンビが首なし死体の謎を解く、孤島を舞台とした本格ミステリーです。作者として保証しますが、面白いです。読んで損はさせません。
読書メーターでも、好意的なレビューをいくつもいただいていま
本当に、色々と、救われました
ここで打ち明けておくが、自分は2015年の6月から、うつ病を患っている。数年前に一度発病して寛解したのだが、4月に夫が入院するなど精神的に負荷が掛かることがあり、再発してしまったのだ。
うつ病なので、ただでさえ気持ちが沈みやすいところに、落ち込むようなことが起きると、本当に体が動かなくなる。どん底から這い上がりかけていた3月末、そんな自分を叩き落とすような出来事があった。
ある出版社から、ホラ
売れたことは売れたけれど
KDPで発売された『がらくた少女と人喰い煙突』は、「このミステリーがすごい!」大賞出身の人気作家さん達が告知ツイートをリツイートしてくれたこともあってか、無名の作家の個人出版の作品にしては、よく売れたのではないかと思う。自分も無料キャンペーンをやったり、FacebookやGoogleアドワーズで広告を出してみたりと、色々と売る努力をした。結果、有料Kindle本のミステリーのカテゴリーで10位以内
もっとみる思いつきで出版してしまいました
次の作品を出すために、担当さんからは二つの課題を出された。一つ目は長編ミステリーのプロットを書くこと。もう一つは、書く力を上げるために、短編を書くことだ。短編については、面白いものが書ければ文芸部で毎月出している文芸誌に掲載されるかもしれない、とのことだった。
自分は素直に頑張った。2か月かけて長編ミステリーのプロットを書き上げて送り、それから短編小説を2か月かけて書いた。プロットは修正の指示を
目先のことにとらわれ、道を見失う
『がらくた少女と人喰い煙突』には、《赤痣病》という架空の疾患が登場する。作品の舞台となる《狗島》は、《赤痣病》の患者のかつての隔離施設が建てられた島なのだが、これはハンセン病の国立療養所である邑久光明園が建てられた、岡山県の長島をモデルにしている。作品の構想を練る上で、自分は長島に取材に行った。ハンセン病について書かれた本を読み、その歴史を学んだ。
作品の中で、ハンセン病に対する差別や、国の間違
書き上げて、待って、結論が出ました
打ち合わせで、小説の編集さんは「『Sのための覚え書き…』を読ませてもらって、これだけ力のある作家さんなら、一緒に本を作りたいと思いました」と、とても嬉しいことに、自分の担当になるのを了承してくれた。そして、まずは今書いている『がらくた少女と人喰い煙突』を完成させて読ませて欲しい、と言われた。
子供達が夏休みに入り、時間を取るのはかなり難しかったが、「これが終わったらディズニーシーに連れて行ってあ
最初の打ち合わせまでの道のり
この作品は、最初に作ったプロットの段階では、『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』の続編にするつもりだった。前作と同じく《矢樹純》と《桜木静流》を主要登場人物としたプロットを書き、それに担当さんのOKが出た時点で、本文を書き始めていた。その後、2013年2月中旬に宝島社から見積もりを出してもらい、その数字では出版しないと決めた時には、第一章までを書き上げていた。
しかし、他社で出してもらう
無知と傲慢が、すべての始まりでした
2012年8月、自分は『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』という長編ミステリーで、一応の作家デビューを果たした。2011年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した小説が、受賞には至らなかったが隠し玉に選ばれ、宝島社文庫として出版されたのだ。しかしこの作品は、残念ながら売れなかった。
売れなかった作品の続編を出すことは、難しい。だが、それが分かっていなかった自分は、張り切って続