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PPP的関心【進む公共施設の再編。再編の目的共有・共感と民間のビジネスチャンス】

以前からPPP的関心では”公共施設マネジメント”について何度か話題に取り上げてきましたが、

最近、日経電子版の特集「データで読む地域再生」で公共施設の集約に取り組む自治体の実践やその進展を取り上げる記事を目にしました。

#日経COMEMO #NIKKEI

2022年5月27日に公開したシリーズ企画「データで読む地域再生」では、公共施設の集約や削減の動きを取り上げました。人口減少が進むなか、施設を計画的・効率的に維持管理し、財政負担の軽減につなげようと知恵を絞る自治体を取材しました。

記事より

今回は特集記事で紹介された各地の取り組みにコメントを寄せながら、取り上げてみたいと思います。
*写真は2018年に訪問したSydney Olympic Park 内でTOKYO1946に惹かれてとったワンカット。

その前に。そもそも公共施設の統廃合、再編、集約を進めるのはなぜか

冒頭の過去記事にも書きましたが、公共施設総合管理計画の起点は平成26年4月の「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」という総務大臣通知で、通知に従い令和2年3月末で99.9%の自治体が計画策定が完了、さらにその後の平成30年の計画推進の留意点、令和3年の計画の見直しに当たっての留意事項という追加的な通知によって計画が随時進行、更新されています。

過去記事の繰り返しになりますが、策定指針の概要に示されたテーマには、
 ■公共施設の管理(長期的視野、適切な実施、トータルコストの削減)
 ■まちづくり(PPP/PFIの導入・活用、将来を見据えた検討)

 ■国土強靭化(計画的点検、履歴情報の蓄積、安全性確保)
という3つのテーマがありました。

記事事例:計画推進における共有と共感

特集でピックアップされていた事例でまずこれが目についたのは「住民向けサイト」というキーワードです。サイトの運営自体が仕事のための仕事を産むというふうにみられかねませんが、そもそも住民にとっては今までそこにあったものが遠くに行ってしまう、といった公的サービスの低下は受け入れ難いものであることが起点となれば、まずは情報開示と共有、さらにその先に共感を得なければことは進まないと思います。

富山県南砺市では2016~19年度の4年間に市内の公共施設の面積が4.4%減り、県内の市町村で最も減少率が高かった。同市は04年に4町4村が合併してできたため、重複する公共施設が多い。15年度に策定した公共施設の管理計画では、44年度までに保有施設の面積を50%削減する目標を掲げる。22年には別途設けた再編計画を改定した。
同市は公共施設の運営に対する住民の関心を促すため、専用のウェブサイトを東京大学の研究室と共同で開発して20年に公開している。

記事より

事実を事実として発信しただけではかえって反発の醸成を招きかねない?と臆することなく、まずは「オープン」である姿勢を示し、その結果、関心を促すことはまさに「第一歩」だと思いました。

記事事例:民間ビジネスの導入と活用

この記事で扱われている事例には、公共不動産の使い方を民間事業に解放する、あるいはサービス供給者を公共から民間に移すといった内容もありました。
公共サービスとは、そもそもサービス提供を市場原理にだけ任せてしまうと充分に提供(供給)されない場合に、税負担を原資に政府がサービスを提供するということが原点ではあるわけですが、活動原資を市民に由来する以上サービス提供活動が非効率・非合理で良いわけではない。
これまでの施設運営において将来需要予測の甘さやサービスニーズの変化の把握、ニーズの変化に合わせた施設更新などにおける非効率や非合理な運営が現在の低利用を生じさせた一端だとすれば、改めてサービス提供の有無、サービス提供者の役割交代の可能性を検討するという話でもあります。

埼玉県横瀬町は小学校2校と中学校1校、保育所向けを受け持っていた給食センターの機能を22年度から近くの小学校内に移した。老朽化や調理方法の見直し、配送効率化などが理由だ。跡地では町が立ち上げた地域商社が地域産品を発信する食堂兼販売所を営む。同町の担当者は「遊休地とせず新たな食の施設に活用したい」と話す。
茨城県神栖市は公立学校について、学校のプールでの水泳授業をやめる。22ある小中学校のプールはいずれも築約40年と古く、25年夏から3つの公営温水プールでの授業に切り替える。新設する「はさきマリンプール」は一般にも開放する。

記事より

建設・不動産事業者のビジネスチャンス

公共施設整備や運営というのは、言い換えれば公共「不動産」の整備や運営です。ここで運営者の非効率や非合理が課題と設定するのであれば、解決に向けては不動産の整備(建設、改修、維持管理・保全)や運営の「専門家」である建設、設計、不動産関係の事業者の登場を期待することは自然なことだと思います。

今回読んだ特集記事は自治体の目線・立場に立って
 ■公共施設の管理(長期的視野、適切な実施、トータルコストの削減)
に関する施策推進の困難をいかに乗り越えるかというトーンに感じられましたが、それはそれで必要なこととして、加えて今目前で起こっていることについて改めて
 ■まちづくり(PPP/PFIの導入・活用、将来を見据えた検討)

 ■国土強靭化(計画的点検、履歴情報の蓄積、安全性確保)
といったテーマも踏まえて、公共不動産の利活用、特に地域の活性化に貢献するような事業の機会とする、そう考える民間事業者がさらに増えるように微力ながら貢献したいと思います。


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