yoshi

河島善彦 ワールドブリッジクラブ代表。元消防士。天パ。【ワールドブリッジクラブ-ビジネ…

yoshi

河島善彦 ワールドブリッジクラブ代表。元消防士。天パ。【ワールドブリッジクラブ-ビジネスを通して生きる力を育てる- https://www.worldbridgeclub.net/linkcollection

マガジン

  • 進化生物学的に考える

    日々感じたことを進化生物学的に考えることでヒトの本質について考えています。

最近の記事

ドウェイン・ジョンソンの痣

雨の降るある休日、32歳の男性、タイチは自宅で過ごしていた。彼は突然、左腕の前腕に目立つ痣を見つける。その痣は、何の前触れもなく現れたもので、タイチは驚く。彼は、いつの間にかできたその痣に、何か特別な意味があるような気がした。 そんな時、突然家に現れる謎の初老の男性。彼は、「その痣は、ドウェイン・ジョンソンの姿に変身する力を持つ者だけが持つ特別な痣だ。」と語る。驚くタイチに、初老の男性はさらに説明を続ける。「この痣は、選ばれし者に与えられるもので、持ち主はドウェイン・ジョン

    • 季節外れの涙

      ある日の午後、消防署に「30代男性意識無し」という通報が入った。23歳の新人消防士であるユウトは、消防車に乗り込み、仲間たちとともに現場へ急行することになった。 サイレンを鳴らしながら市街地を駆け抜ける消防車。ユウトは、緊張と興奮が入り交じった気持ちで、今回の出場に備えていた。基本的には穏やかで冷静な性格だが、内面には熱いものを持っているユウトは、この瞬間に全力を尽くす覚悟を決めていた。救急隊はすぐ後から現場に向かうことになっていたが、消防隊は先に到着し、患者さんと接触する

      • エンドルフィンを活性化させろ -友だちとの絆を作る-

        私たちの遠い遠い祖先はどうやら毛づくろいによって友情を育んでいたらしい。お互いに毛づくろいをし合うと、自分の手が届かないところも清潔にできるから病気になりづらくなる。結果、互いに毛づくろいをする個体が生き残り繁栄する。毛づくろいのポイントは互いにということだ。私がまず毛づくろいをするので、あとで毛づくろいをしてくれ、というわけだ。 一部の社会的なサルは、必要以上にお互いに毛づくろいし合うらしい。どうやら毛づくろいを友情の証としているようなのだ。 ところで、なぜ相手に毛づく

        • 愛がわたしを強くする

          大切な人との別れはひどい心の痛みを伴う。心の痛みと体の痛みは脳の同じ部分が反応するらしい。どうやら私たちはつらいことがあると本当に心が痛むらしい。 こんなふうに考えたことはあるだろうか。痛みに弱いのは、痛みに慣れていないからだ。筋トレと同じ、たくさん痛めつければそれだけ強くなる。本当だろうか。 痛みに耐えるとはどういうことだろうか。人は痛みを感じると、脳内麻薬を作り出し痛みを和らげる。エンドルフィンというホルモンだ。人は痛みを感じると脳内にエンドルフィンを放出させて痛みに

        ドウェイン・ジョンソンの痣

        マガジン

        • 進化生物学的に考える
          1本

        記事

          笑う門には本当に福が来るのか

          笑う門には本当に福が来るのだろうか。たとえば、幸せなふりをして無理やり笑い、楽しそうに踊ったとする。これで実際に幸せを感じるなんてことがあるのだろうか。 それがわかるある面白い実験がある。私たちの心がどのくらい体の動きに作用されるか調べた実験だ。被験者たちは頷きながら(同意する行為)、あるいは首をふりながら(否定する行為)、ある問題について「説得力のあるメッセージ」か「説得力のないメッセージ」を聴かされる。もちろん、被験者は説得力のあるメッセージに説得される。そして、頷きな

          笑う門には本当に福が来るのか

          優しくなりたい④ 罪悪感と向き合う

          また余計なことを言ってしまってあの人を傷つけてしまった。何であんなことを言ってしまったのだろう・・・ 罪悪感に際なわれ眠れない夜、あなたにも覚えがあるのではないでしょうか。 優しい人ほど罪悪感を覚えてしまうものです。 人はルールを守るように進化し、人を傷つけること、貶めることを悪と感じるように進化してきました。 罪悪感とは、ルールを破ってしまった時や、人を傷つけてしまった時に自身に反省を促し、同じことをしないように促す感情です。 優しい人とは、言ってみればルールを破る

          優しくなりたい④ 罪悪感と向き合う

          優しくなりたい③ 私たちか 私とあなたか

          優しくなりたい②で、優しくなれるかどうかはネガティブでいるかポジティブでいるかが影響を与えるとお伝えしました。 今回は優しさに影響を与えるもう一つの条件をお伝えします。 条件② 友か、敵か 人はその進化の過程で、血のつながりのない相手とも友情を結べるようになりました。 私たちは友達が困っている時に何かをしてあげたいと思うものですが、それは将来の見返りを期待して何かをするわけではなく、友達を助けたいと思うから助けるのです。 誰かに友情を感じるということは、本人が認識する

          優しくなりたい③ 私たちか 私とあなたか

          優しくなりたい② 優しさの分水嶺

          優しさの分水嶺 どんな時に優しくできてどんな時に優しくできないのか、その境目は何なのでしょうか。 条件① ネガティブかポジティブか 優しくする行為というのは、平たく言えば自分の利益を相手に分け与える行為と言えます。 その時に重要になってくるのが、自分の状態がネガティブであるかポジティブであるかです。 ネガティブな状態というのは省エネモードということです。できるだけエネルギーを使わないようにし、リスクを避けようとする。そのような状態の時は優しさが引っ込んでしまいそうで

          優しくなりたい② 優しさの分水嶺

          優しくなりたい① 優しさとは

          優しさとは 優しさとは何でしょうか? 心温かく、思いやりがあること。または、おだやかでおとなしいこと。 (実用日本語表現辞典より引用) これだとよくわからないので、もう少し具体的にしてみます。 心温かく、思いやりがあること=利他的であること(他者に対して何か行動を起こすこと) おだやかでおとなしいこと=他者の言動を受け入れられること。 相手のために何かをする、相手のことを受け入れる。 優しさというのはどうやらこのあたりのことを指しそうです。 では、優しくなれるの

          優しくなりたい① 優しさとは

          先入観の本質

          私たちは世界をありのままに見ることはできない 私たちが世界について意味づけをできないとしたら、どのようにして行動したらいいだろうか。 例えば、食べ物についてはどうだろうか。 どの食べ物を食べてどの食べ物を食べないか。いつ食べていつ食べないか。すべてを毎日ゼロから始めるとしたらどうだろうか。 もしかしたら、世界にわたし1人だけだったらいいかもしれない。しかし忘れてはいけないのは、わたしの周りには必ず競争相手がいるということだ。 食べ物についてより素早く判断できる競争相手

          先入観の本質

          より良い脳を作るには?

          よい脳の育て方 脳は決して白紙の状態で生まれてくるのではありません。人間の赤ん坊にも、生まれる時点ですでにかなりのプログラミングがされています。 経験が脳を創る。人間以外の生き物にも当てはまることですが、人間は特に学ぶことに特化した脳を持って生まれてきます。 では、良い脳を育てるにはどうすればいいのでしょうか。 ただ世界を付け足せ 複雑な世界に生まれ日々変化する環境に対応する一番の方法は、周りの環境に合わせることです。 例えば睡眠と覚醒のサイクルを考えてみます。

          より良い脳を作るには?

          わたしを形作るもの

          私たちは変わるように生まれてくる 次の文はいったい、何のことを指しているのでしょうか? 「基本構造だけの状態で生み出され、配線は後で作られる。」 わかりますか? 実はこれ、私たちの脳のことです。 私たちの脳はあらかじめすべてがプログラムされているのではなく、世界と相互作用することで自らを変える仕組みになっているのです。 信じられませんか? 私たちの脳は(つまり性格や能力は)遺伝子によってすべてが決められており、一生涯変わることはない。 そんな風に思いますか。

          わたしを形作るもの

          書評 脳の地図を書き換える 神経科学の冒険

          『私たちを動かす装置はあらかじめすべてがプログラムされているのではなく、世界と相互作用することで自らを変える仕組みになっている。』(本文より抜粋) あなたは人は変われると思いますか?それとも変われないと思いますか? 今回紹介する本を読むとそんな問いかけさえ意味がなくなります。 人は変われるんじゃない。人は周りの環境に合わせて変わるようにできている。 今回紹介するのは 【脳の地図を書き換える 神経科学の冒険  デイヴィッド イーグルマン (著), 梶山 あゆみ (翻訳)

          書評 脳の地図を書き換える 神経科学の冒険

          ベイズ推論は全人類が学ぶべき理性の道具?

          最近確率や統計なんかを勉強しようと思って少しづつ本を読み始めたところですが、その中で出てきたベイズの定理が気になっています。 初めは 【異端の統計学 ベイズ】(著者 シャロン・バーチェ・マグレイン) を読みました。こちらはベイズの定理の歴史をなぞるもので、式は色々でてきますが、ベイズの定理についての基礎知識が無いと、なかなか難しかったです。 次に読んだのが 【人はどこまで合理的か】(著者 スティーブン・ピンカー) で、こちらはとても良くまとまっていてすごく分かりやすかった

          ベイズ推論は全人類が学ぶべき理性の道具?

          チームの勢いとは?

          チームに勢いがある、勢いが変わるとは時々聞くことですが、目に見えるものではない勢いというものは何なのでしょうか?本当はそんなものは無く、ただの幻想なのでしょうか? 今回は勢いの正体について考えます。 勢いの正体 ヒトはその生存を文化に依存するようになると、自分のコミュニティから求められる役割を演じるようになります。 (参照:文化がヒトを進化させた 著者:ジョセフ・ヘンリック) コミュニティ全体にポジティブな反応が増えると、その刺激を受けた自分自身もまたポジティブな反応を

          チームの勢いとは?

          運動を楽しめる脳を作ろう

          以前から運動を習慣として続けていたものの、あまり運動を楽しく行うことができていなかったんですが、せっかくやるんだったら楽しくやりたい。 ということで神経科学の知見と合わせて運動を楽しくできるようになる方法を考えてみます。 1 運動後の余韻を楽しむ 人の脳は苦しみを感知すると、その苦しみを和らげるために快楽物質を放出させる。(セロトニンやβエンドルフィンなど) 運動を終えた時に快楽を感じている自分の状態を自覚する。運動することと快楽を感じている状態を結びつけて記憶することに

          運動を楽しめる脳を作ろう