神戸牛ヒレ肉

元ファンドマネージャー@ヘッジファンド

神戸牛ヒレ肉

元ファンドマネージャー@ヘッジファンド

マガジン

最近の記事

裁定取引残の理解を深める - 裁定残減は調整終了のサイン?

裁定取引残は、CTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー)など短期投資家による先物取引の実態を推測する指標の一つです。 裁定残が大きく積み上がっている場合、短期投資家の建玉も増えていると考えられ、過去比で上限に近ければ市場の一時的な天井や底を示すシグナルとなることがあります。一方で、裁定残が縮小している場合は、調整が一段落した可能性があると言えます。相場の方向性を探るシグナルの一つとして有効です。 また、日経型が大きく積み上がっている場合は、そのアンワインド局面での

    • ドル円相場:予想困難も数年後は円高か?

      ここ1年ほど急激な円安が進んでいます。為替予想は難しく、理屈をこねても当たらないことが多いですが、一応予想を記録しておきます。 現在の円安要因 貿易赤字 デジタル赤字の拡大、輸出低迷、燃料費の輸入増が背景です。 投資フロー 海外資産が再投資され国内に還流しないことと、新NISAによる新たな資金流出が影響しています。 金利差 日米の金利差が拡大しているためです。 貿易赤字が年間10兆円規模、投資フローが1~2兆円、金利差が2~3兆円の影響か。これに対し10兆円規模の円

      • マンション、買ったほうが得な人、借りたほうが得な人

        このテーマはよく話題に上り、多くの人が興味を持っています。結論から言うと、「どちらも大きな差はありません」。 経済面から見ると 経済的には、マンションを買っても借りても、大きな差はありません。だからこそ、この議論が盛り上がるのです。どちらかが圧倒的に得ならば、議論にならないし、みんなそちらを選ぶでしょう。 どちらが得かは人による ただし、あなたの状況次第で損得は変わります。 買った方が得な人: 転勤の予定がない 家族構成が大きく変わらない その物件に長く住む予

        • 不動産の将来 取引減少と価格横ばい

          過去の不動産取引を振り返り、将来の市場を予想する。 1980年代: 団塊世代が住宅購入適齢期に入り、需要が急増。しかし、土地供給が限られていたため、金融緩和策と相まってスーパーバブルが発生。 1990年代~2000年代: 適齢人口の減少と不況により需要が低下。高層住宅の供給増加や金融緩和策も効果が薄く、市場は低迷。 2010年代: 団塊ジュニア世代の住宅購入が増加。しかし、資材や人件費の高騰により供給が減少。黒田総裁による異次元緩和でプチバブル化。共働き世帯の増加により

        裁定取引残の理解を深める - 裁定残減は調整終了のサイン?

        マガジン

        • M&A
          1本

        記事

          リスク許容度で見る、株式投資への最適なバランス

          現在、日米の株式市場は好調な状況が続いています。ついつい全資産を株式に投資してしまいたくなりますが、冷静に考えましょう。これまでの歴史には、株価が急落して大損害を被った例が数多くあります。ITバブル崩壊やリーマンショックなどの暴落では、最高時の資産が半減したり、3分の1にまで減少することも。その後の市場回復に乗り遅れた例も見受けられました。 そこで問題となるのは、どの程度のリスクを取るべきかという点です。上場株式は年平均リターンが5%でありながら、平均変動率は20%もあり、

          リスク許容度で見る、株式投資への最適なバランス

          「知らないとやばい!シャープレシオこそ投資で最も注目すべき指標」

          皆さん、投資を考える上で一番大切なのは何だと思いますか?  投資収益率(期待リターン/投資金額)でしょうか? それともタイパ(期待リターン/投下時間)でしょうか? お金のない学生はコストパフォーマンスに注目し、時間のない若手社会人はタイパに重きを置きます。最も希少なリソースに対しパフォーマンスを最大化する、これらは個々の状況に合わせた合理的なアプローチですね。 投資家にとって最も貴重なリソースは「許容リスク量」です。損失を出しても投資を継続できる許容損失量が限定されていて

          「知らないとやばい!シャープレシオこそ投資で最も注目すべき指標」

          JSR TOB 中国公取審査と予想

          JSRの価格は3,926円@11/08と、TOB価格4,350円に対し9.7%のディスカウント。例によって中国公取の承認待ちだが、正式承認を会社発表どおり12月末、TOB開始1月、TOB完了2月と予想する。 延長リスクあり、長く待つ可能性も考慮しつつ「買い」チャンスと判断する。 <根拠> ・JSRはTOBスケジュールに支障ないと発表  →中国公取から再提出等を求められていないと想定 ・中国公取審査は一次審査(30日)二次審査(90日)三次審査(60日)の「最大180日」

          JSR TOB 中国公取審査と予想

          日立金属TOB 10月開始と予想

          中国公取の承認待ちで遅延している日立金属TOBだが、正式承認を9月or10月前半、TOB開始を10月後半、TOB完了を12月と予想する。 <根拠> ・親会社(日立)は2Qまで日立金属を連結予想に入れ、3Qで外している。=日立は9月末TOB未完了、12月末完了済みと予想している TOB完了は正式発表から1ヶ月以上かかるので、12月末完了=10月中には中国承認、TOB開始と見ていることになる。また日立金属は総会で承認見込みに自信を示しており、申請自体に問題はないと思われる。

          日立金属TOB 10月開始と予想

          日立金属TOB 3月2日の急落は買いチャンス

          3月2日に5486日立金属が1966円と、TOB価格(2181円)への乖離10.9%まで急落(-4.4%)した。これについて思うところをまとめる。 結論としては、今の急落は損切りによる可能性が高く、情報が事前に漏れているリスク、何か問題があり破談するリスクを考慮しても買いのチャンスと判断する。 ◆前提  2181円でTOB。時期は中国の公取承認待ち ※日経記事参照https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC308PI0Q1A131C20

          日立金属TOB 3月2日の急落は買いチャンス

          シストレとマーケットインパクト

          分析による理論リターンとマーケットインパクトから最適取引量を計算する方法についてまとめてみた。 1.マーケットインパクトとは? 流動性の高い株を少額買うだけならほぼ現値で取引できるが、流動性の低い株の取引や巨額の取引では現値より悪い値段でないと取引できない。 例)トヨタ100万円分買いは現値で買えるが東証2部小型株10億円買いは数日かけて現値より何%も高い株価まで押し上げないと買えない。このインパクトが分析シミュレーション結果と現実トレード成績の差異になる。 2.どう

          シストレとマーケットインパクト

          節税か銀行対策か

          決算時期になると「節税のため赤字にする」か「銀行融資のため黒字を確保する」かが話題になる。周りの投資家、税理士、中堅企業経営者の意見が相違していて興味深かったので、背景をまとめてみた。 本来の目的は「長期で手元に残るキャッシュを最大化すること」で、これは皆一致しているので、意見の違いは前提条件からくると思われる。 投資家の「融資のため黒字必須」発言の背景は、事業拡大に融資が必須、零細企業は銀行がスコアリング主体で評価し(実態は見てくれない)赤字だと融資出ないことから、節税

          節税か銀行対策か