ドル円相場:予想困難も数年後は円高か?


ここ1年ほど急激な円安が進んでいます。為替予想は難しく、理屈をこねても当たらないことが多いですが、一応予想を記録しておきます。

現在の円安要因

  1. 貿易赤字
    デジタル赤字の拡大、輸出低迷、燃料費の輸入増が背景です。

  2. 投資フロー
    海外資産が再投資され国内に還流しないことと、新NISAによる新たな資金流出が影響しています。

  3. 金利差
    日米の金利差が拡大しているためです。

貿易赤字が年間10兆円規模、投資フローが1~2兆円、金利差が2~3兆円の影響か。これに対し10兆円規模の円買い介入を行い、現在160円で食い止めています(2024年7月時点)。

今後の予測:やや円高か?

1. 貿易赤字

貿易赤字はしばらく拡大が続く見込みですが、数年後には輸出増と燃料輸入減で赤字縮小フェーズに入る可能性があります。デジタル赤字は今後も拡大しそうですが、燃料費はオイル市場やガス市場の動向次第です。ロシアの戦争や好景気が背景にあることを考えると、それらの終結で今後は燃料費が下落する可能性の方が高いでしょう。また、産業の国内回帰が進めば、貿易黒字が増大しそうです。現在はJカーブ効果の発動中でまだ輸出増加は起こっていませんが、数年かけて発現すると考えられます。

2. 投資フロー

グローバル景気が平穏な間は海外資産再投資で赤字が続きますが、不況やボラティリティ拡大時に国内への資金還流が一気に起こる可能性があります。次の不況時には、強烈な円買いフローが発生するかもしれません。

3. 金利差

米国の利下げと日本の利上げフェーズに既に入りつつあり、今後はゆるやかに円売りフローが縮小する見込みです。

まとめ

しばらくはデジタル赤字と燃料輸入で円売りが強い状態が続くでしょう。しかし、金利差縮小と産業の国内回帰で、数年かけて徐々に円高傾向に転じる可能性があります。130円台程度のイメージ。グローバル不況時は一気に強烈な円高が進み、110円程度もありうると考えています。いずれにしろ今の円安が続くと安易に期待するのは危険で、為替リスクありの海外投資には慎重なスタンスで望む時期と思っています。

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