節税か銀行対策か

決算時期になると「節税のため赤字にする」か「銀行融資のため黒字を確保する」かが話題になる。周りの投資家、税理士、中堅企業経営者の意見が相違していて興味深かったので、背景をまとめてみた。

本来の目的は「長期で手元に残るキャッシュを最大化すること」で、これは皆一致しているので、意見の違いは前提条件からくると思われる。

投資家の「融資のため黒字必須」発言の背景は、事業拡大に融資が必須、零細企業は銀行がスコアリング主体で評価し(実態は見てくれない)赤字だと融資出ないことから、節税するより黒字にして融資を引くほうがキャッシュが最大化するから。

中堅企業社長の「赤字でも実態みて融資引ける」背景は、銀行との長い付き合いで信用があり、かつ銀行担当者が中身を吟味して稟議書を書き上げる価値のある規模だから、節税して赤字でも融資が引けて、それがキャッシュ最大化になるから。

税理士の「節税したほうがいい」背景は、節税が存在意義なのに加え、下手に黒字にすると税務調査のリスクが高まり面倒だから、もしくは自分の担当が中堅企業以上で零細企業への融資事情を知らずキャッシュフローさえプラスなら融資出ると思っているから、のどれか。

つまり、自社が銀行からスコアリング主体でしか評価されない企業なのか、中身もしっかり見てもらえて節税赤字でも融資もらえる企業なのか、が行動の分かれ道。それをまず認識することが必要という結論になった。


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