日立金属TOB 3月2日の急落は買いチャンス

3月2日に5486日立金属が1966円と、TOB価格(2181円)への乖離10.9%まで急落(-4.4%)した。これについて思うところをまとめる。

結論としては、今の急落は損切りによる可能性が高く、情報が事前に漏れているリスク、何か問題があり破談するリスクを考慮しても買いのチャンスと判断する。

◆前提  2181円でTOB。時期は中国の公取承認待ち

※日経記事参照https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC308PI0Q1A131C2000000/

ベインキャピタル(全世界で約1,200億ドルの運用資産)、日本産業パートナーズ株式会社、びジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社の出資会社が買い手。中国公取の承認待ちで遅延。

◆考えうるリスク

・各国公正取引委員会の承認が得られない

 ←既に「日本、中国、韓国、台湾、米国、メキシコ及びベトナム」7カ国中6カ国が承認。残り1カ国(おそらく中国)の承認待ち状態。

買い手が事業会社の場合はシェア上昇で問題となりうるが、買い手がファンドで否認リスクは小さい。ほぼゼロと思うが0.1%の確率と仮定

・買い手の資金不足

 ロシア問題もあり買い手の資金繰りに異変が起きているか? 今回の買い手の資金力は極めて大きく問題に直面しているとは考えづらい。可能性はゼロでないものの、リスクオフ状況を鑑み1%と仮定

・日立金属に何らかの不正が見られる

 売り手の不正会計等の問題が発覚し破談になる可能性。ゼロではないが、東証上場企業の不正発覚率等から1%と仮置。

→2.6%程度の破談リスクを見ておけば妥当か

◆リスク考慮後の適正スプレッド

TOB成約時のリターン 11%、成約率97.4%

破談時のリターン  -30%、破談確率2.6%

以上から期待値はプラス9.9%

実施時期は来期中のいつか、平均6ヶ月待ちと仮置すると、年率換算リターンは20%と、非常に高い。

◆乖離の原因推測

・破談が漏れている?

 TOBが事前に漏れ株価上昇が起きる東京市場なので、事前に情報が漏れている可能性はゼロではない。それを図るのは難しいが1~2割程度あるか。破談確率20%程度を見込むと期待値はプラス2.8%。依然買って良い水準ではある。

・単なる損切り?

 リスクオフ局面で買い向かえる資金が限定的かつ大型TOB案件(時価総額8000億円)なので、大きな持ち主(イベントドリブンファンドなど)が損切りすると下落し続ける。淡々と下がる日中の値動きから、売り手に焦りは見られず、この可能性のほうが高そう。(もし破談を知っていたらもっと短期で必死に売るはず)

◆結論

最大ドローダウンが30%と破談ダメージが大きく、取れるリスク(資金)の一部に留めるべきではあるが、買いのチャンスと考える。

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