わたしたちだって生きている
普段からいろんな人と関わっていると、波長があって仲良くなれる人もいるけれど反対に合わなくて「無理!」ってなってしまう人ももちろんいる。合わないのは、仕方ない。みんな同じ価値観や性格ではないから。無理して気を遣って合わそうとしても、余計に拗れてしまうこともある。だからそういうときは無理しないでそっと離れる方が自分のため。安全。
でも厄介なのがお酒の席での話。
わたしは普段夜職をやっているけれども、本当いろんな人が多くて頭を抱えることが多い。お酒が入っているだけでまともに会話ができなくなる人がやっぱり多くて、異常に飲んでいる人とか酔いすぎて喧嘩ふっかけてくる人もいたり、本当いろんな人がいる。
そうやってお酒の力を借りてでないと、できないんだなって思われているのも気づかずに。「どこどこのお店の女の子をこういう風にいじめて潰して泣かした!」とかバカみたいな武勇伝を偉そうに語る人もいるけれども、聞いてる側からすると性格わるいなって思うことしかできない。本当に。
わたしはこの業界に踏み入れて結構長い方に入ると思うけれども、酔ってお店の女の子と喧嘩しては土下座させたり、ひどく心ないことを言われたり、グラスや酒瓶を投げつけてきたり、殴って怪我させたり、無理矢理飲ませて潰して運ばれた子も見てきた。そうすることで自分は強いということを見せ付けていたんだろうけれども、女の子側からすると身の危険しか感じない。本当にこわい。そうして男性恐怖症になってしまった子もいる。
でもそんなひどい人ばかりではなくて、もちろんやさしくて一緒にいてたのしい人もいる。自分のことだけではなく、女の子側の体調など気遣ってくれるとてもやさしい人もたくさんいらっしゃる。そういった人のおかげで穏やかな気持ちにもなれるし、この仕事すきになれてがんばろうって気持ちにもなれる。
ひとつ言っておくと、仕事が嫌いなわけではない。この仕事は大変って感じることも多いけれど、たのしいことはもちろんたくさんある。すきじゃないとこの世界に何年もいない。
ただ、仕事ってだけで人権も無視されてしまって、なにをされても、なにを言われても我慢しなきゃいけないっていうのが最近わからない。わたしたちにだって感情はある。嫌なことは嫌だし、泣きたくなることだってあるし、こわいことはこわい。
仕事だからという理由で我慢しないといけないということも理解している。でも人間みんな限界というものがあって、譲れないことだってある。そこをわかってくれる人と越えてはいけないボーダーラインがあることをわかってくれると、うれしいなって最近よく思う。
でも、こんなわるいことは一部だと思いたい。
どれだけ嫌なことがあっても、かなしいこと心ないことを言われたとしても、この夜の世界っていうお仕事がすき。すきではなかったら何年もやっていない。だからかなしいことを言われて傷つけられて泣いてしまった今日はリセットして、明日またすてきな出会いがあるようにって願いながら綺麗に着飾っていたものを脱ぎ捨てるように眠りにつく。
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