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テークエム/それじゃ無理 feat.R-指定, NORIKIYO, AKLOの歌詞考察

"梅田サイファーの最終兵器"ことテークエムが5月22日にソロ1stEP『XXM』をデジタルリリースした。
それを記念して、客演にR-指定、NORIKIYO、AKLOの三名を迎えた「それじゃ無理」を遅ればせながら考察していこうと思う。

プロデューサーを務めるのは、梅田サイファーの「マジでハイ」「トラボルタカスタム」でテークエムと手を組んだBACHLOGIC。
彼は別名義・鋼田テフロンで「トラボルタカスタム」のHOOKも歌っている。

繋がりのあるBACHLOGICやR-指定はともかく、NORIKIYOとAKLOという大物まで引っ張り出してくるとはかなり驚いた。
まずは歌い出しのHOOKから見ていこう。

その程度の実力で俺とやり合おうなんざ無謀な話だ、という意味。
どストレートなセルフボースティングであり、冒頭の8小節でわかりやすく曲のテーマを提示している。
Creepy Nutsとしてオーバーグラウンドのプロップスも得ているR-指定、相模原の雄・SD JUNKSTAのNORIKIYO、USのフローを独自に取り込んで新しい日本語ラップ像を作り続けるAKLO。その3人が競演してセルフボースティングをする意味、この3人が客演として楽曲に参加しようと思えるテークエムのプロップスの高さが伺える。

韻について。

理」「You[jʊ]」と[u]で頭韻。

「無」「deal[díːl]」「with[wìð]」「me[míː]」と[i]で押韻している。

では、テークエムのバースに移ろう。

まずテークエムはラッパーに必要な要素を列挙している。センス・意思・知恵・才能・人脈・運・金のいずれも持ち合わせていないラッパーは存在価値がないと謳う。

メディアに消費され続けるフリースタイルラップ、またはHIPHOP業界に現れた「梅田サイファーの秘密兵器」テークエムは、自らのことを「Mr.アンチェイン」に例える。
「Mr.アンチェイン」とは『刃牙』に出てくるビスケット・オリバの異名で、主人公・範馬刃牙とは対照的な身体能力任せのただの筋肉バカ。
その既存の格闘スタイルにハマらない型破りな姿をテークエム自身のHIPHOP観になぞらえている。

そして、テークエムは場末のフリースタイルラップ界隈に跋扈する、芯を持たず売れ線に靡く三下のラッパーはまるで画家のラッセンのようだと揶揄する。
ラッセンの「絵画商法」と呼ばれる販売手法は美術界の本流からは冷ややかな視線を送られていた。
サイゾーpremiumのこの記事に詳しく載っているので一部を抜粋し、リンクを貼っておく。

一般の人には取っ付きにくいと思われがちな現代アート。閉じられた世界に収まるのではなく、大衆も楽しめる土壌を醸成しようとする動きもあれど、一方では相変わらず販売経路や価格設定が外から見えにくいため、「胡散臭い」と警戒心を抱く人は少なくない。特にそういった風潮を煽ってきたのが、展示会商法と呼ばれる手法により、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画を、流通価格ではあり得ない高額で売りつける手口が横行していることだろう。イルカの絵で有名なクリスチャン・ラッセンや、カラフルで幻想的な街を描くヒロ・ヤマガタなどといった作家の作品がその象徴としてメディア等で取り上げられることもあり、現代アート界の健全な発展に影を落としている。
こんな売り方したくなかった!? C・ラッセン、ヒロ・ヤマガタ…悪徳絵画販売商法の実態

『トラボルタカスタム』のワンバースでBACHLOGICに見出されサクセスストーリーを紡ぎ始めたゴリゴリの実力派のテークエムからすれば、三下たちは軽蔑する対象以外の何物でもないだろう。

韻について。

意思も」「知恵も」は[iio]と踏んでいる。「知恵」は[chí]のような発音になっており、踏んでいるとみなしていいだろう。

「ないなら」「そりゃかん」「人みゃくか」は、それぞれ三連符の後ろ二拍で[aa]で踏んでいる。

「かんがえおせ」「とけ」は[a-oe]で脚韻。
ともに三連符フローながら、
前者は「(かん)/(がえ)(な)(お)/(せ)」
後者は「(や)(め)(と)/(け)」
という符割りになり、太字部分で踏んでいる。
また、「ねか」「それもい?」の[a]も上記の[a]と合わせてアクセントになっている。

「もしくは」「人みゃくか」は[ia]で返し韻。
「もしくは」は「もーしか」と発音しており、踏んでいると認識した。

また、「未だ~」以降のバースは複合的に韻が絡み合っている。
フリースタイル合戦」「Mr.アンチェイン」「クリスチャン・ラッセン」は[ui-ua/a-en]で全踏み。
それに加え、「」で語感踏み、「レペゼン」「売れ」で[en]、「田」「売れ線」で[ue]で踏んでいる。
踏みすぎ。

三下たちは皆似ている。
USのHIPHOPPERのファッションやフロー、言動の表層だけを真似し、実態が伴わない。先述のラッセンの作風になぞらえて言えば「シルクスクリーン(=粗悪コピー)」なのだ。

ただ、皮肉なことにニワカのキッズたちにはラッセン的なラップがウケてしまうのだ。
客ウケだけを求めたら終わりの始まりだ。ヘッズや同業者からはそっぽを向かれてしまい、いずれ回り回って自分の首を絞めることになる。それはUSの若者たちの間で乱用され問題になっている鎮咳剤・リーンと同じようなものだ。
要は技術の探求と客ウケのバランスが大事だということをテークエムは言っている。

彼らは曲の中"だけ"ではリアルで、それに騙されるような女にはモテて、財を成している。
ただ、自分のリアルを歌うことが不文律であるHIPHOPの道は踏み外している。そんな彼らはもはやフィクション作家だと唾棄する。

多いな」「コピー」で[oi]で踏み、
」「」で[ia]で頭韻。
また、「kids」「見る」で[iu]で踏み、
「おもうよ」「飲むと」で[o-uo]で踏んでいる。
そして、「シルクスクリーン」「死ぬ薬」で[iuuui]で脚韻。
」「いだ」で[ae]で踏んでいる。

また、「Realなラッパー」「水と油」「Hiphopper」「フィクション作家」で[iuoa-a]を軸にほぼ全踏みしている。
その間に「稼い」で[a]の脚韻、「リリックと」で[iuo]の頭韻も挟んである。
踏みすぎ。

ファッションだけを真似した「着ぐるみ野郎」と一緒にいるのはしんどい。リリース当時に流行り始めた新型コロナウイルスに罹患しているわけでもないのに息苦しくなる。
そんなギリギリの生活を送って意地で食いつないでいる彼らの意地をこのワンバースでへし折り、ラッパー生命/バンド生命を終わらせてやるとテークエムは息巻く。

2019年に『Never Get Old』『トラボルタカスタム』の二枚をリリースした梅田サイファー(U.C.)の存在感は、日本語ラップ界でも無視できない大きさに育ちつつある。
テークエムは三下どもと絡まずともHIPHOPで生きていけると、彼らとの決別を宣言した。

ハイランド着ぐるみ野郎」「肺炎じゃないのに息苦しいんだよ」は[ai-ao-iuuiao]でほぼ1小節全踏み。
また、次の小節アタマの「何年」も「肺炎」との頭韻になっている。

パッとせえへん」「バンド生命」で[a/oe-e]で脚韻。

ラストは「早」「もう」と[mo]の頭韻を挟みながら、「無理」「U.C.」「無視」「Do it.」と[ui]の連打でフィニッシュ。

続いてHOOKを挟んでR-指定のVerseへ。

韻の関係で中途半端な部分で切った。

若いラップスターたちはR世代が頭の上がらないレジェンドを軽視したり物怖じせずに歯向かっていったりしてヒヤヒヤする。
その割に形から入るので酒やタバコ、クスリにはとりあえず手を出し、SHUREの58マイクを使うが、肝心の歌詞の内容は注釈を打つ必要も無い薄さで取るに足らない。

R-指定にとってのHIPHOPとは、アメコミ映画『スーサイド・スクワッド』に出てくる死刑囚(スーパーヴィラン)たちによる特殊部隊「スーサイド・スクワッド」の任務のようなものだと語る。
つまり、他の手段では世の中のためにならなかった落ちこぼれが成り上がる手段としてHIPHOPが存在するのだ。彼は勉強も運動も出来ず、ただゆるやかに死を待つのみの自分に生きる意味を与えてくれたのがHIPHOPだったと吐露している。

「こわいもん」「ファッション」「歌詞も」で[a(i)o]で頭韻している。
また、それと連動するように「10代のラップスター」「チューハイにバッツや」「SHUREのマイクは」「10倍希釈」「注釈いらず」「注射器要りますか」「スーサイド・スクワッド」「順番に待つ」「集団自殺」「救済企画」と、[u-ai/au(a)]から[u-aiiau]へと変化をつけながら踏み倒している。
また、「USの」の[u]のアクセントも上と絡んでいる。

そして、「の川」「賽の河原」「才能がある」で[sa-nokaa]でテクニカルな子音踏みを見せつつ、次の韻のブロックへとシームレスに繋いでいく。

R-指定は、自分に才能があるかは明言できないと謙遜する。しかし、「10代のラップスター」たちのラップは彼らの能力の未熟さが端緒に表れているという。

果たして、「快楽に目が眩んで」しまい、その未熟な能力に満足して没落していくか、R-指定自身のように余裕でメイクマネーできるようになるか。彼らはその分水嶺に立たされている。
前者のように、耳元で囁かれる美味い話は表面上は自分にいい事づくめのように聞こえる。しかし、それは嘘で虚飾されたハリボテの姿であり、その実態はクラミジアのように宿主の身体を蝕んでいく。
そんな奴らと俺を比べるなとR-指定は歌う。

空欄で返す」「ヒューマンエラー」「眩んでまう?」「膨らんでまう?」「歪められた」「有害電波」「クラミジア」「比べちゃダメ」で[u-a/ea]で脚韻。
1小節から続く[u-a(+α)]の流れに沿って踏み続けている。
また、「被」「不在」「うまい」「はなし」「殺菌」「あいつら」と、[(u)ai]、[u-a]の部分でも上の韻と絡んでいる。

また、「前の」「れは」で三連符アタマの[o]の頭韻。

快楽に」「か、楽に」で[karakuni]で子音踏み。
ただし、前者は小節のアタマから三連符に沿って「(1)か^い-ら-く/(2)に」、後者は前の小節のケツから三連符に沿って「(4)か/(1)ら-く-に」と踏んでおり、若干の違いがある。

彼らの描く成功への道は、彼らに都合良く改竄されているように見える。それはクスリで言うところの「ドーピング」であり、もっと地に足を着けてHIPHOPに取り組めと諭している。

しかし、彼らはリリックを書く時に原稿用紙を「真っ黒に染め」るような苦労もせず、形からHIPHOPを真似て「」をから様々な色に染め、「(=ローリングペーパー)」を使ってクスリに興じている。
そんなくすぶった臭いをクリーンなR-指定は「消臭」する。

バトルやライブの「招集」をかけるエントリー用紙は、さながら戦地へ赴く令状・「赤紙」のようなものだ。
R-指定と対峙することになれば、どのフィールドでも引退を考えるほど打ちのめされることになる。そして、かつて交わしたはずの「勝利の女」との契約は「白紙」と消える。

「Hi-Hi-Hoo」によってスパートがかかり、先程までの[u-a(+α)]の流れは一新される。
明らかに都合いい」「成り上がりストーリー」「歌詞中身ドーピング」で[aiaai(u)o-i-]で全踏み。
また、「原稿用紙」「真っ黒に」「ローリン」で[(u)o-i-]の脚韻も絡んでいる。

さらに、
・「原稿用紙」から、「」「」「」の[kami]の子音踏み/意味のすり替え
・「」「」「」という色の遊び
・「招集」「消臭」のダブルミーニング
・『スラムダンク』の「(桜木)花道」は「赤髪(赤紙)」
という隠れ要素も詰め込まれている。
解読するのも無理!

続いて、HOOKを挟んでNORIKIYOのVerseへ。

「10代のラップスター」のことを、NORIKIYOは「どうでもいいラッパー」と評した。そんな奴らを歯牙にもかけないNORIKIYOは、彼らとは話も盛り上がらない。
それもそうだ。ラッパーであるNORIKIYOとUSの「モノマネ芸人」然とした「どうでもいいラッパー」とでは話が噛み合うはずもない。ただ、そんな奴らで溢れかえった今のふざけたHIPHOPシーンには冷めてしまうだけだ。そう感じて距離を置いているのを「実績や実力、稼いだ額を鼻にかけている」と間違えて捉えている人間には先に謝ってやる、と彼は言い放つ。

00年代からHIPHOPシーンを牽引してきたNORIKIYOの審美眼は衰えを知らない。若手が誰かの猿真似をしてもどういう魂胆かはお見通しだし、仮に彼らが実力に下駄を履かせたとしても、NORIKIYOはレベルの違うラップで段違いのメイクマネーを成すのだ。

「どうでもいい」「謝」「つの間にか」という[i]のアクセント。

「したってはずまねえ」「稼いじゃってハイすいません」で[a/eauae-]で脚韻。
また、「ラッパー」「なし」「謝りす」「ず」「せいじゃって」の[a]も絡んでいる。

「ふざけたGame」「タダでプレゼント」「冷めた目だけ」「メガネ」「バレバレだぜ」「我々はね」「誰か真似」「金稼がねぇだけ」で三連符[ae]の連打。

そして、ドラッグを一通り経験したラッパーの先人からの忠告として、「ドラッグは逮捕されないようにやれ、ラップゲームは何事も先駆者であれ」という教訓を授けている。

ただ、「仲間と成功」というステレオタイプばかり歌っている「どうでもいいラッパー」たちはやっぱり理解できない。
成功して手に入れた名声は流動的なものだ。だからこそ、それ以外の実力を磨かなければいけない。日本語ラップの先頭集団を走ってきた男の発言だからこそ説得力がある言葉だ。
そして、NORIKIYO自身は日常の暮らしの端々を切り取って歌詞に綴り、(恐らく)月収100万を優に稼いでやるのさと自身の格の違いを提示する。

Drug[drˈʌg]」「Rap[rˈæp]」の不完全韻。
また、「パクられる」を「逮捕される」「真似される」のダブルミーニングとして使っている。

また、二小節を一区切りとして「ねぇのかな」「目の錯覚」で[eoaa]、「それのみ」「どれを見る」で[oeoi]の脚韻。

君も」「日々を」「切り取って」「入金を」「Million」で三連符[iio]で返し韻&脚韻。
また、「歌詞に」「倍にし」で三連符[aii]という韻も潜んでいる。

HOOKを挟んでAKLOのVerseへ。

「『お前』レベルのラップでは俺に敵わない」ということを多様な例えを用いて箇条書き的にAKLOは歌う。
・俺はラップひとつで「お前」の嫁を寝取ることもできる
・ステージ上の色を独占して「お前」の印象を無色透明にしてやることもできる
・「お前」の退屈なラップじゃあくびが出る
・ヘッズたちは俺のラップを褒めちぎる
・「お前」が頑張ってパフォーマンスしたステージは、俺がテキトーに流して演ったステージと同じくらいのクオリティだ
といった具合だ。

それじゃ無理」「嫁が不倫」「ふり」「透明なフリ」「当然あくび」「褒めまくり」「骨休み」で三連符[oeaui]で脚韻。

先段までは「俺とお前」の違いについて歌っていたが、ここでは純粋に「俺はこれだけ凄ぇんだ」とセルフボースティングしている。

AKLOは才能に身を委ねて女を取っかえ引っ変えして彼女らを泣かせてきたし、ラップの世界なら博士号を取得できるレベルに修練を重ねた。
でも、あくまで自然体だった。別に虚勢を張る必要もなかった。自然体のまま生きているだけで、既に他人とは違った。

ビールをチェイサー代わりに父親の祖国であるメキシコ生まれのテキーラのショットで乾杯する生活。
生活環境は決して整備されたものではなかったけれど、AKLO自身の身体はオフロード専用のバイク競技であるモトクロス用の車「モトクロッサー」のように強靭だったし、積んであるエンジンは原付レベルの「お前」らとは違って高速道路も走れるレベルだった。出自の時点でレベチだったのだ。

そして、クルーを組んで群れている連中に中指を立てる。
ひとりで成功したAKLOは、バイクのゲーム『The Crew』で徒党を組んでツーリングするように遊び感覚でラップしていた訳ではない。

「酒!女!HIPHOP!」という前時代的な価値観の上に成り立っているバースで、今の時代だと見る人が見れば怒られそうなものだが、HIPHOP村はまだマッチョな振る舞いが是とされている側面もあるのだろう。

「才能任せ」「女泣かせ」「ラップ博士」で変則三連符[aae]で脚韻している。

パリピ」「張り切らず」で三連符[aii]で返し韻、「ちょちょいのちょい」「ちっちゃいのいこう」で三連符[chchnoo]で子音踏み。

ビールは」「テキーラ」「スピードは」で[i-a]で押韻。「ビールは[bi-la]」「スピードは[supidoha]」と発音して成り立たせている。

また、「母国語」「オフロード」「モトクロス」「高速道路」「孤独を」で[oouo]、「Crew」「愛する」で[u]で押韻している。

最初の一節はYoungboy Never Broke Again(NBA Youngboy)の『338』のフレーズに対するアンサーではないだろうか。

[Refrain]
I say mirror, mirror on the wall
Who the realest of them all?
Who told the truth and never let them people see a flaw?
And who the fuck got all these hoes, thinkin' that they raw?
And who been killin' all these niggas, while based outta time?
…(後略)
(338/Youngboy Never Broke Againより抜粋)

Youngboy(黒人)は自身がライブを行うフェスの現場で黒人の彼女を撃たれた経験があり、このリリックはその時の被差別感情をストーリーテリングしているものになっている。
そして、「鏡よ鏡、この世でいちばんリアルなものって何だ?」(正しい日本語訳ができているかは微妙。細かいニュアンスは間違えているかもしれない)と問いかけ、自問自答を繰り返している。
メキシコとのハーフであるAKLOが成り上がって「I'm the realist of them all」とスピットしていることに意味がある。

自己中心的な考え方で自身の飛び抜けた実力で「お前=New Face」たちに蓋をしていることは気にも止めていないと自嘲する。
AKLOは2020年になってもスペイン語の敬称である「DON」をつけられるくらい大物で畏怖されるべき存在だと言い放っているのだ。

ただ、New Faceたちが自分に追いつくのは到底無理だとは言いつつ、感謝もしている。
AKLOの本当の実力は、雑魚と対比してこそ光るものだ。だからこそ、New Faceが国会議員たちのようにダサいラップをしていることに逆説的に意味を見出している。

Mother[ˈmʌðɝ]」「Fucker[fʌkɝ]」「I'm a **[aɪmə]」「いまだ**」で三連符の拍の区切りを跨いで[aa]で不完全韻。

Of Them All **[(ə)vðémˈɔːl」「どうでもいい」「通せん坊」「当然DON**」で変則三連符[o-eno-]で脚韻。

Wow Untouchable[`ʌntˈʌtʃəbl]」「無理だ あんたじゃもう」「には感謝だよ」「永田町」で三連符[(a)/aaao-]で脚韻。
また、「ダサい Like」で[aaa]部分と絡んでいる。

そしてラストのHOOKに続いていくわけだが、ここだけコーラスのミックスが従来と変わっている。

参考までに従来のHOOKを下に掲載した。こういう細かい違いにまで気を配れるのがBACHLOGICがBACHLOGICたる所以なのだろう。

そして、稀代のメロディーメーカー(だと思っている)のテークエムのHOOKはシンプルながら曲によく栄える。
四者四様にVerseがくどいので、分かりやすいHOOKがバランス的にちょうどいい。
これを書き終わった時点(2020/6/9)で、公式のLyric Videoはまだ30万再生しかされていないようだが、テークエムは今後必ずシーンのど真ん中にくる存在だと信じている。

最後に、リリックを掲載しておく。

テークエム
それじゃ無理 feat. R-指定, NORIKIYO, AKLO

それじゃ無理 You can’t deal with me ×4

センスも意思も知恵も才能も
ないならそりゃ考え直せ
もしくは人脈か運か金か
それもない? 無理!辞めとけ。
未だ梅田レペゼン
場末(ばすえ)のフリースタイル合戦
ミスター・アンチェイン
あれ売れ線だな まるでクリスチャン・ラッセン

似たやつが多いな 皆コピー シルクスクリーン
今のkidsとか見ると思うよ
Famousは飲むと死ぬ薬
曲じゃお前はRealなラッパー
オンナにもモテて金も稼いだ
リリックと現実が 水と油
Hiphopperてかフィクション作家

ハイブランドの着ぐるみ野郎
肺炎じゃないのに息苦しいんだよ
何年やってもパッとせえへん
終わらしとけバンド生命
無理無理無理
最早もうU.C. 誰もできない無視
無理無理無理無理
別に絡まんでもDo it.

それじゃ無理 You can’t deal with me ×4

怖いもん無しですか?10代のラップスター
覚えて間もない?そのチューハイにバッツや
ファッション感覚か?シュアのマイクは
歌詞もUSの10倍希釈
注釈いらずでも注射器いりますか?
三途の川のほとり スーサイドスクワッド
賽(さい)の河原で順番に待つ
そんな集団自殺者の救済企画

才能があるかは空欄で返すけど
お前のそれはヒューマンエラー
快楽に目が眩んでまう?
か、楽に財布が膨らんでまう?
被害者不在の うまい話に
歪められた有害電波
殺菌消毒中クラミジア
あいつらと俺を比べちゃダメ

明らかに都合良い 成り上がりストーリー
歌詞の中身ドーピング ろくに原稿用紙 一つ真っ黒に
染めれない奴がテメェの髪を染めて紙でローリン
召集かける エントリー用紙は赤紙
飾れ引退の花道 勝利の女神との契約は白紙

それじゃ無理 You can’t deal with me ×4

どうでもいいラッパーとは 話をしたって弾まねぇ
謝りますよ先ず 稼いじゃって ハイすいません
いつの間にかモノマネ芸人達が跋扈 ふざけたGame
それに今 無料(ただ)でプレゼントできる物は冷めた目だけ
俺のメガネ狂ってねぇ よく見えてるバレバレだぜ
我々はね 誰かの真似事して 金稼がねぇだけ

まぁ Drug Dealは パクられねぇ様やりな
Rap Gameは パクられる方になりな
他に言う事ねぇのかな?
『仲間と成功』それのみ?
Fameってものは目の錯覚
じゃどれを見る?
出来るんじゃやれよ君も 日々を歌詞に切り取って
稼ぐ俺は去年の入金を今年は倍にしてMillion

それじゃ無理 You can’t deal with me ×4

それじゃ無理 俺を知れば、お前の嫁が不倫
お前を見て見ぬふりするから
お前は しときゃいいぜ透明なフリ
お前のラップじゃ当然あくび
ヘッズは俺を褒めまくり
お前のマックスぐらいが正直俺にすれば骨休み

才能任せ 女泣かせ ラップ博士 ちょちょいのちょい
パリピ張り切らずにDone
ビールはチェイサー 乾杯はちっちゃいの行こう
テキーラ母国語 進むオフロード モトクロス
スピードは高速道路 Fuck Your Crew
愛する孤独を

Mother Fucker I’m The Realest Of Them All
自己中さ他は どうでもいい
スキル俺(の)が通せん坊 2020未だ当然DON
Wow Untouchable 無理だ あんたじゃもう
New Faceには感謝だよ
お前らのFLOWの判断ダサい Like永田町

それじゃ無理 You can’t deal with me ×4

それじゃ無理

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