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Creepy Nuts × 菅田将暉/サントラの歌詞考察

霜降り明星・せいやが言うところの、本来の意味での「第七世代」の代表者であるCreepy Nutsと菅田将暉。 両者は、それぞれHIPHOPアーティストと俳優という別業種のトップランナーであり、本来は交わることはない存在だった。 その二組を繋いだのが「オールナイトニッポン」であり、作家・福田卓也をはじめとするラジオスタッフ陣だ。 福田は両者のラジオをきっかけに『菅田将暉TV(NHK-BS)』や『よふかしのうた ラジオ盤』の構成作家も務めており、両者とズブズブの関係にある。 そ

    • 櫛の歯が欠けるように~ブラック企業に入社して~

      「今月末をもって退職することになりました」という紋切り型の挨拶が、バイブとともに画面上部に現れる。 僕はそのバナーを上に追いやって、流し見していたストーリーズに再度目をやった。 あるべきものがポロポロと欠けていくさまを表した慣用句は「櫛の歯が抜ける」か「櫛の歯が欠ける」のどっちだったっけ。 溜まっていたストーリーズを消化し、無為に流れていくリールを眺めながらふと思った。 「同期が退職する」という経験をはじめて味わったのは入社一年目の六月上旬だった。 それぞれの配属先で、慣れ

      • 堕天……!?

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        • Creepy Nuts/Who am Iの歌詞考察

          『危険なビーナス』で一足先に役者デビューを果たしたR-指定は、『閻魔堂沙羅の推理奇譚』『東京怪奇酒』と続々話題作に出演し、その演技は好評を博した。 対して「演技なんて絶対できねえよ!」とさんざん唾棄していたDJ松永はどうか。果たして、いつの間にかCreepy Nutsの雇用の手綱をしっかりと握っていた元テレビ東京・佐久間宣行Pに乗せられて、4月9日から放送される『生きるとか死ぬとか父親とか』に出演することが決まっている。 そんなふたりがCreepy Nuts本人役として出演

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          世界一のタイトルを取った話

          学生証を失くした。 卒業ひと月前、大学の授業もすべて受け終わった二月に学生証を失くした。 中高六年間、大学は当初の予定より一年多く五年間。十一年間の学生生活も間もなくフィナーレを迎えようかというこの時期に、僕は学生証を失くした。 入社予定の会社から諸々の証明書を提出するように言われ自室で財布を開くと、学生証が入っていたはずの空間だけぽっかりと焦茶色の財布の革目が露出している。 憔悴しながら散らかった机を物色してみても一向に見つからない。会社から送られてきたパソコンに付属する有

          世界一のタイトルを取った話

          Creepy Nuts/バレる!の歌詞考察

          『板の上の魔物』がM-1グランプリの公式動画のBGMに起用されてから数ヶ月、今度は新生R-1グランプリのテーマソングを書き下ろしたCreepy Nuts。 巷では、Creepy Nutsは粗品(霜降り明星)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)に続くお笑い賞レース二冠を達成したなどと言われている。 今大会は概要発表から波乱の連続だった。 昨年11月末、出場資格が芸歴10年以下と定められたことでおいでやす小田、こがけんらベテラン勢は一夜にしてR-1から卒業を余儀なくされた。その

          Creepy Nuts/バレる!の歌詞考察

          八王子ウエストゲートパーク〜同窓会の回

          小学校の同窓会に呼ばれた。 成人式の少しあとに開催されて以来なので二年ぶりということになる。いまも八王子に住んでいる連中はたまに会っているらしいが、引っ越してしまった僕は彼らと会う機会も減ってしまった。彼らと会うのも必然的に二年ぶりということになる。 三月上旬には、出席者だけのLINEグループができた。発起人のユウヤを中心に、メンバーは七人しかいなかった。思ったより少数だなと思ったが、よくわからない肺炎が蔓延し始めた2020年三月半ばのご時世を顧みれば、それもまた仕方のない

          八王子ウエストゲートパーク〜同窓会の回

          Creepy Nuts/生業の歌詞考察

          2020年11月12日、Creepy Nutsは彼ら史上初となる武道館公演を終えた。 コロナ対策で1dayが2days公演に変わり、観客は一日あたり4500人収容となったことで、チケット争奪戦は激しさを増した。 何とかチケットを取ることができた僕は12日に参加した。武道館のステージに立つふたりの姿は小さくて大きくて、それでいて眩しかった。 その中で改めて思い出したのは「Creepy Nutsの本業はライブ(音楽)だった」という至極当たり前のことだった。 冠ラジオを基軸に、最近

          Creepy Nuts/生業の歌詞考察

          俺はぜったいにリストカットをしない

          就活が終わった。 別段いい結果だとも思わないが、落ち着いた今となっては悪い結果だとも思わない。とにかく今は、来年から真っ当に働く社会人になれるのだと少し安心している。 就職浪人を決めた昨年の夏、僕はそんなに焦りを感じていなかった。 志望業界の納得できる企業から内定を貰えなかったら就職浪人しよう。 そう思っていたから、ある程度の覚悟は出来ていたのかもしれない。元々、人を妬んだり羨んだりするタチでもないので、「他人は他人、自分は自分」と考え、周りから遅れをとることや自分の将来に

          俺はぜったいにリストカットをしない

          Creepy Nuts/かつて天才だった俺たちへの歌詞考察

          昨年はケンタッキーやカップスターのCMに揃って出演したCreepy Nuts。食べ物系のトップ企業の次は、大学のCMソングに抜擢された。散々擦られてきた話題ではあるが、「高卒と中卒/偏屈で窮屈で低俗で軽率なポンコツとポンコツ(「たりないふたり」より抜粋)」のCreepy Nutsが大学のCMソングに起用されるというのは彼らにとってまた新たな金字塔だと思う。 さて、この曲は帝京平成大学のCMのために書き下ろされた一曲で、8/26発売のミニアルバム『かつて天才だった俺たちへ』の

          Creepy Nuts/かつて天才だった俺たちへの歌詞考察

          「官能小説を書いてみよう」と思い立ったことはあるか

          家族が家にいない時間を見計らい、ソワソワしながらリビングのパソコンの起動ボタンを押す。 ドアの鍵が開く音に知覚過敏になりながらネットサーフィンに乗り出す。 身体のあらゆる感覚を研ぎ澄ませながら、一期一会の「宝物」を探す。 スマホが普及した2020年現在、こんなハイリスクローリターンなスリルを味わう中高生はいるのだろうか。いたとしても、恐らく数は少ないだろう。自室で、学校で、トイレで、風呂で。18禁動画を見る場所は、何もリビングのパソコンの前だけに限らない。 2010年代は大

          「官能小説を書いてみよう」と思い立ったことはあるか

          テークエム/それじゃ無理 feat.R-指定, NORIKIYO, AKLOの歌詞考察

          "梅田サイファーの最終兵器"ことテークエムが5月22日にソロ1stEP『XXM』をデジタルリリースした。 それを記念して、客演にR-指定、NORIKIYO、AKLOの三名を迎えた「それじゃ無理」を遅ればせながら考察していこうと思う。 プロデューサーを務めるのは、梅田サイファーの「マジでハイ」「トラボルタカスタム」でテークエムと手を組んだBACHLOGIC。 彼は別名義・鋼田テフロンで「トラボルタカスタム」のHOOKも歌っている。 繋がりのあるBACHLOGICやR-指定は

          テークエム/それじゃ無理 feat.R-指定, NORIKIYO, AKLOの歌詞考察

          尻の毛の断捨離

          自粛期間が続き、家にいる期間が増えた。外に出る用事といえばたまの運動や買い物、郵便物の投函くらいのもので、家の周囲2km圏内にやんわり軟禁されているような状態が続いている。 古着を買いに下北沢に行くことも、大学の近くのカフェにフラッと入ることもない。思い返してみれば、四月に入って以来飲み屋街もサウナも一度も足を踏み入れていない。 ちょっとした金や莫大な無駄と引き換えに、僕たちは虚無の時間を手に入れた。 家から出ない生活とは、それ即ち無駄を削ぎ落とすことに他ならない。 満員

          尻の毛の断捨離

          浮気性と幻歯痛

          なにはともあれ僕は出不精だ。 なるべく理由なく家から出たくない。よって、病院に行くときはそれなりの気合を入れる必要がある。気合を入れないと通院の予約の電話すらできない。 しかし、健康体であっても病院と関わる機会は多い。インフルエンザの予防接種、歯医者の定期検診、コンタクトレンズを買うための眼科の検査…と、定期的にXデーは訪れる。 いざ病院に行くとなれば、その日は「病院の日」と称して何箇所かの病院をいっぺんに回る。どうせ面倒事をこなすのであれば、まとめてしまった方が精神衛生上

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          Creepy Nuts/オトナの歌詞考察

          Creepy Nutsの快進撃が止まらない。 先日、僕は彼らのラジオイベントに足を運んだ。イベント自体のチケットは取れなかったため、海老名の映画館のライブビューイングで見させてもらった。 大画面の中にはアルコ&ピースに続くラジオスターがいた。 Catch me if you canの放映、ラジオパート、Zeebra登場からのライブパートと盛りだくさんで、感想を書くと長くなってしまうので割愛するが、「アルコ&ピースに続くラジオスター」の一言で(分かってもらえる人には)分かっても

          Creepy Nuts/オトナの歌詞考察

          はじめてフリースタイルラップバトルに出たら知らない世界が広がっていた

          「お前そろそろバトル出てみたら?」 「そうだな〜」 サイファーにも通わず、独学でフリースタイルラップを始めて二年。 友達からフリースタイルラップの大会に出てみたらどうだと薦められた。 仲間内のカラオケや飲み会でラップするだけの状況に飽きつつあった僕にとっても魅力的な誘いではあった。 ただ、これまでは踏ん切りがつかなかった。 知り合いがいるわけでもなく、クラブカルチャーに馴染みがあるわけでもない僕が飛び込むハードルはそれなりに高い。 「あれ、来月の頭に渋谷でバトルイベント

          はじめてフリースタイルラップバトルに出たら知らない世界が広がっていた