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顧客単価が8ヶ月で5倍になった話。開発投資や人員増加せずに。どうやって?

売上をアップさせたい
顧客単価をアップさせたい

そんなとき、あなたは、どんな施策をとりますか?

営業人員を増やす
追加機能を開発する
新規事業を生み出す
広告を投下する
他社製品を仕入れてクロスセルする

だいたい、こんなところですかね!

どれが良いとか悪いではなく、全部正しい施策だと思います。

ただ、私たちが、売上・単価アップを実現したのは別の方法でした。

その打ち手によって顧客単価は8ヵ月で5倍になりました。
(2021年末から2022年8月時点)

それは・・・
オペレーションの見直しです。

既存業務のオペレーションを徹底的に追求した
単なるコスト削減に終わらせず洗練させ、それ自体を付加価値とした

当社は、MA(マーケティングオートメーション)ツール開発会社です。
2018年に事業を開始し、直近の価格帯は月30万円程です。

SaaS×コンサルBPOというモデル

それがオペレーションの見直しによって、月150万円を超えてきました。

直近2年は月30万円程だったが22年に入り5倍に成長

オペレーションを徹底し洗練させることで単価が5倍になったわけですが、

システムの追加投資はしていません
広告も打ってません
他社製品を売っているわけでもありません
人員も以前からいる社員です
社員教育費もゼロです

オペレーションを言われてもイメージがわかない。
それが単価アップにどうつながるのか、ますますわからない。

おそらく冒頭の質問において、
オペレーションを追求する / 洗練させる
という選択肢すら出てこなかったのではないでしょうか?

オペレーショナル・エクセレンス関して馴染み深い人も少ないはずです。

オペレーショナル・エクセレンスとは、

企業活動においてオペレーション(業務プロセス / 現場実行・運用レベル)
を洗練させ卓越性を追求することで、競争上の優位性が構築された状態

のことを言います。
定義とはいかなるものも概念的です。

本記事では、実体験を交え
事業成長になぜオペレーションが重要なのか
どのようにして売上単価アップに繋がるのか
具体的な実行ステップはなにか

といった内容を書いていきます。


オペレーションが軽視される3つの理由

なぜ事業成長の際に、オペレーションが軽視されるのでしょう。
その理由は3つあります。

1. CEOはオペレーションが苦手

最大の理由は、「CEOの辞書に、オペレーションの文字がない」からです。

社長の頭の中は、常に未来です。
事業を伸ばそうとするときも、常に新しいことを好みます。
新規事業をやるぞ!新しい人を採用するぞ!といった具合です。

そもそも、社長という人種は繰り返しの業務が苦手です。
オペレーションに向いていない人たちです。

しかし、それが悪いことではありません。
役職的にも、日々の現場目線ではなく、未来を見ることが役割です。

だからこそ、COOという役職があります。
しかし、多くのCOOが機能していないことが次の理由になります。

2. なんちゃってCOOの増殖

COOは知っての通り、Chief Operation Officerの略です。

役職にオペレーションと入っているにも関わらず・・・
COOはCEOと並ぶ重役にも関わらず・・・

なぜ、事業を伸ばすための経営会議で、
オペレーションが打ち手として熱く語られないのでしょうか。

「COOの辞書にも、オペレーションという文字がない」
という非常にチグハグな状況が至る会社で生じています。

あなたの会社のCOOの選定理由はなんですか?

社長の右腕となっている
よきナンバー2としてコミットしている
今まで圧倒的な成果をあげてきた
今でも率先して会社の数値をあげてくれる
社長がいなくなっても会社を任せられる

だいたい、こんなところですかね!

そうです、スタープレーヤーがCOOになりがちです。

隠れた真実に気づいてしまいました・・・

多くのCOOが、なんちゃってで、機能していない。
本来なるべき人ではない人が、COOになっている。

この人たちが優秀ではない・・・という話ではありません。
むしろ、COOでないなら、超優秀です。

多くのCOOは、COOではなく、
副社長、次期社長と呼ぶべき人たちなのです。

CEOとCOOは、本来全く別の生き物です。

真逆のスキル要件

にも関わらず、CEOと同質の人がCOOになりがちです。
その結果、経営の意思決定で、オペレーションが軽視されてしまいます。

3. オペレーション=コスト削減 / 効率化

3つめの理由は、オペレーションを改善する目的にあります。
その目的はコスト削減や効率化であり、業績拡大の文脈ではありません。

なぜなら、オペレーションに着眼するのは、
製造・物流部門管理部門であり、フロント部門ではないからです。

いかに効率よく量産するか
いかに効率よく届けるか
いかに最小コストで回すか
いかにミスなく運用するか

仮に、フロント部門でオペレーションが語られることがあっても、
それは、いかに回転率を高めるかといった話であり、
決して、売上・単価アップの文脈ではありません。

3つの理由まとめ

以上の3つが事業拡大においてオペレーションが軽視される理由です。

①CEOの辞書に、オペレーションの文字がないこと
②COOに本来なるべき人が就任していないこと(CEOと同質)
③オペレーションの目的はコスト削減と効率化に終始されること

その結果、仮にオペレーションを追求する会社があっても、
製造や物流部門における
オペレーションを徹底し、量を増やし、他社の追随を許さない
という発想になります。

フロント部門において
オペレーションを徹底し、量を増やさず、質で差別化する

という発想には、なかなか至りません。

オペレーションによって単価をアップしている事例

しかし、実はフロント部門のオペレーションを磨くことで、競合と差別化されている会社の例は身近にあります。

誰もが知るところをあげれば、
スターバックス
アップル
ディズニーランド
です。

【スタバ】
スタバは他の珈琲店と違い席を時間制にして回転数を高めていません。
豆も珈琲玄人からすると、他にもっと美味しいところがあるみたいですし。

製品力や回転数によって業績をあげているのではなく、店内のデザインとスタッフのコミュニケーション能力の高さが生み出す居心地の良さが、有名なサードプレイスを創り出しています。

一般の珈琲より何倍も価格をつけても売れるのは、オペレーションの価値が付加されているからでしょう。

【アップル】
アップル製品は機能でいえば他に優れたメーカーはありますが、appleストアやカスタマーサポートでの対応力からも、オペレーションの質の高さがうかがえます。

価格が高いのはブランド力と言えばそうですが、それを構成しているのは質の高いオペレーションがあるからです。

【ディズニーランド】
極めつけは、ディズニーランドです。
アトラクションという製品が次々オープンするわけでもないのに、年々チケット料金はあがっています。

他のテーマパークの追随を一切許さないのは、アトラクションの差ではなく、パレードやスタッフのオペレーションによって演出される夢の国という空間だからです。

ディズニーランドは夢の国でもあり、
オペレーションの国だと勝手に思っています。

オペレーションに注目したキッカケ

オペレーションに関して偉そうに書いていますが、私たちがオペレーションにはコスト削減以上の力があると気づき確信したのは最近です。

一見キラキラのスタートアップ企業

当社は、先に書いたようにMA事業を行ってきました。

ICCのスタートアップカタパルトで入賞したり

資金調達を実施したことがバズったり

5.4億円の資金調達を成功させた事業計画資料 /...

Posted by 田中亮大 on Tuesday, February 12, 2019

コロナ禍になっても、逆に追い風で問合せも倍増しました。
ここが勝負どころだとアクセル全開で踏み込みました。

追加の資金調達も今まで通りできるだろうと読み
トラクションをつくるためにも現預金を投下した、2020年。

追加の資金調達ができず瀕死に

それが調達できず、身動きが取れなくなります。

コロナ禍による社会全体の閉塞感、
SaaS銘柄の低迷も重なり調達環境が非常に厳しくなりました。

私自身の読みの甘さと、
何よりは圧倒的なトップラインの伸びを示せなかったことが要因です。

キャッシュがないので、
システムの追加投資もできない
人も増やせない
広告も打てない
そんな、2021年でした。

オペレーションの見直ししか打ち手がなかった

当社は外部株主もいて、生き残るだけでは許されません。
逆境でも(自ら招いたわけですが)成長が必須です。

なので、オペレーションの可能性に気づいて追及したのではなく
オペレーションの見直ししか残された道はありませんでした。

お金をかけずに、売上をあげる、利益を増やすには、

たくさん売るという方法ではなく
1社あたりの単価をアップさせる

これしか道がなかったのです。


オペレーションの見直しで実行したこと

みんなで危機を乗り切ろう!という精神論ではなく、
徹底的にオペレーションを磨き、まず無駄を無くす。

とにかく、オペレーション関連の本を読みました。
コスト削減のことしか書いてなかったですが、
まずは、それにならってコスト削減を行いました。

鉛筆舐めまくって1円でも売上に寄与しないものは削りました。

資金調達による、膨張していた投資という名のコストの数々。
売り上げがあがるだろうと見越して入れていた外部顧問の数々。

カルチャー醸成のためと言って取っていた時間の数々。
1分でも1秒でも業務に向き合う時間を増やすためです。

業務オペレーションを磨き、ムダ・ムラを無くし、
一人当たりの生産性を高め、

社員には、業務時間中は、業務にのみ集中してもらいました。

何を当たり前のことを言っているんだ・・・
と思われますが、それまでの当社は、違いました。

業務時間中に直接オペレーションに関係ないことをさせていました。
業務プロセスに関する以外のことは全てやめました。

オフィス出社をやめました
朝礼をやめました
1on1もやめました
読書会もやめました
飲み会もやめました
社員教育という名の私の一方的な演説会もやめました

この時間は全てオペレーション外のため廃止

社員からすると、精神論をかかげる方が、まだ優しかったかもしれません。
少しは気分転換になっていたであろう時間も一切なくし、
1秒でも業務に向き合ってくれと、お願いしたわけですから。

オペレーションに関する本でたまに売上アップのことが書いてますが、
端的に、効率よくたくさん売れ!としか書いていませんでした。

しかし、当社には、たくさん売った先に対応できる人員を増やせません。

それどころか、会社の雰囲気がガラッと変わったことにより、
そこそこ社員がやめました。

今いる社員でできるだけたくさん売り、その先に単価をあげることを最初から狙っていましたが、社員が抜けていったため、当初の予定よりも、一層効率化しなければ、そもそもの業務が回らないという状況にまでなりました。

しかし、オペレーションを徹底的に見直したら、
以前より社員は減っているのに、売上が伸び始めました。

効率化の先にあったのは単価アップへの扉

社員が多少減りながらも、オペレーションを見直したことで、
現場に余剰時間が生み出されました。

この時間で、さらに利益を生む活動をしてもらうことが狙いでした。
そして、その活動もオペレーションで回す。
そうなれば、単価アップにつながるはずだと。

効率化された時間で仕事を追加で受け始めた

空いた時間ができたことで、クライアントに、

「MA支援以外に私たちにできることはないですか?」
「何か課題に感じていることはなんですか?」

と聞いて回りました。
とはいえ追加でシステム開発ができるわけでも、
新サービスを創る予算もないので、

私たちが動いて解決できること、
つまりオペレーションによって解決できること
は何かを探りました。

そしたら、同じように、
業務がオペレーションになっていない
仕組化ができていないことに悩んでいる会社がめちゃめちゃありました。

新しい知見より、仕組化を望んでいる会社が多い

MAサービスで月30万円をいただいているクライアントに、

「貴社の業務のオペレーション支援を行いますが、
どの程度の予算をお考えですか?」

「当社で業務を仕組化し全てオペレーションで行えるようにできますが、
どの程度の価値がありますか?」

と聞いたところ、

「月100万円以上」

と返ってきました。

??????????????????
一瞬、意味がわかりませんでした。

この1社だけなく、他の会社でも同じ現象が起きていました。
そこで、はっと気づかされました。

自分たちは、今まではナレッジを売っていたが、
顧客はナレッジよりも価値を高く考えるのは、
自社の業務の仕組化・オペレーションだと。

顧客接点のフロント業務のオペレーションを磨いたことで、
顧客から、そのオペレーション自体に魅力を感じていただき、
オペレーション支援を行い始めたことで、
顧客単価が5倍になっていきました。

今では、オペレーション支援さえも、
オペレーションで行えるようにオペレーション化しています。

振返ればオペレーションが得意だった

今まで自分のキャリアを完全に勘違いしていました。
自分は、セールスやマーケティングに強みがあると思っていました。
本当はオペレーション領域の人種だったにも関わらず。

ICCのプレゼンの冒頭では、

私はご覧の通り、ザ営業マンです。「日本の社長.tv」という経営者動画メディアの運営会社取締役として、全国に5,000社以上の新規開拓をしてまいりました。
その後、今ではヒラメ筋のCMでおなじみの営業支援システム「ベルフェイス」を開発するベルフェイス株式会社を設立し、副社長、販売会社の社長に就任しました。

ICCピッチの実際の資料と文字お越しより

そして私は、そうした経験を通して培ったノウハウ自体を事業化するために、この会社を設立しました。

ICCピッチの実際の資料と文字お越しより

ドヤ顔で、ノウハウを売る会社です!と言ってました。

俺のノウハウすごいだろ!という思考が根底にあったみたいです。
今思うと、穴があったら入りたいです。

たしかに、社長.tvでは、2年で5,000社以上の顧客開拓を行いました。
ベルフェイスでは、他社のインサイドセールスの構築を支援しました。

自分でも売れた
▶組織でも売れるようにした
▶他社でも売れるように支援した
▶だから、売るノウハウを提供することがキャリアの進化系だ

今まで認識していた自社の強み

結果、売るノウハウを提供している会社が
思うように成長しなかったわけですから笑えないに笑うしかありません。

自分でも売れた
▶自分以外の誰でも売れるように尋常なく仕組化した
▶自社組織以外でも売れるように新しい概念を仕組化して提供していた
(新しい概念=インサイドセールス)
▶培ってきたキャリアは、仕組構築=オペレーション領域だった

ズレていた自社の強みの認識

今回のピンチがチャンスに変わったのは、
もともと、オペレーション領域でキャリアを積んでいたからこそでした。

ジョブズさん、あなたはすごい!
点と点が線につながった瞬間でした。


尋常なきオペレーションの一部

自分で当たり前だと思って行ってきた営業やCSの仕組化。
他の人に話すと異常だと言われてしまいます。

例えば、社長.tv時代のオペレーション事例として商談のアイスブレイク。
普通の営業部は、ヒアリングやプレゼン、反論処理のロープレだけします。
たった5分で終わるアイスブレイクを磨き上げることはありません。

ましてや、
アイスブレイクに
感動トーク
メモ表紙
という独自の名前まで命名し

さらに、
商標登録までする異常者はどこにいるでしょうか笑

メモ表紙(登録6260615)
感動トーク(登録6265332)

単なるスクリプトではありません。
アイスブレイクにおける感動トークとは
メモ表紙とは、その作り方とは
といった解説資料が数十ページ。

パワポの解説資料だけではなく、
5分のアイスブレイクをステップに分解し
一つ一つのゴール / 具体的な手法 / 使用するツールを紹介。

第一声というステップがあったり、
名刺交換のステップはもちろん、
名刺交換後の席に座るまでの間のステップも
統一化し仕組化しオペレーションに落とし込んでいました。

アイスブレイクだけで、この内容なので、
ヒアリング、プレゼン、質疑応答、クロージング、
反論処理、紹介依頼、御礼メール、後日連絡、納品、
契約後フォロー・・・

その前のフェーズである、アポ設定の電話、DMの送り方、データ入力方法、などなど、全てを可視化し仕組化しオペレーションにしていました。

マニュアルのページ数は数えたことはありませんが、
優に1,000枚は超えていると思います。

SaaS×コンサルBPOもオペレーション化していた

当社でもともと行っていたMAツール×コンサルBPO事業も、
今回オペレーションの追求をする前から当たり前に仕組化していました。

コンサル&BPOの業務棚卸マニュアルの一例

契約後の運用として、1,000項目以上の実行ステップを可視化していました。

ある種、一定の仕組化の土台があったこそ、
単価アップのためにオペレーションを徹底して洗練させはじめて比較的すぐに成果が得られたのだと思います。

オペレーションを磨くことで、人の能力が高まる

フロント業務にオペレーションは、もちろんロボットでもできますが、
それ自体を付加価値として単価アップを狙うのであれば、
”人” が行うほうが、相手も "人" である限り価値が高いです。

オペレーションは誰でもできることと思われがちですが、
守破離の、守の部分は誰でもできるように仕組化し、
その土台があるからこそ、その人ならではの魅力が追加されます。

土台となる統一化、可視化、言語化、仕組化されていないと、
逆に、人の可能性を狭めてさえしまうと思っています。

オペレーションを見直すことで、売上・単価アップも実現しますが、
何より働く人の成長を促し、やりがいも手に入れることができます。

オペレーションの価値を最大化させようとする会社が増えたらいいな、と心から願っています。

オペレーション見直しの具体的なステップ

私が今までのキャリアで行ってきたオペレーションの構築方法
当社で実行したオペレーション改革
現在クライアントに提供しているオペレーション支援
の実績から汎用性のある実行ステップに整理されています。

一般的なコスト削減や効率化のためのオペレーション改革ではありません。

ここまで書いたようにオペレーション改革は単なるコスト削減の手法に留まらず、オペレーション改革こそ売上・単価アップを実現する最も優れたアプローチだと確信しています。

どのように事業拡大のためのオペレーション改革を行っていくのか、そのステップを解説していきます。

顧客接点のあるフロント部門(営業・CS)の現状

そのためには、まず顧客接点のあるフロント部門の現状を整理します。
■従来型の営業組織とは
■ザ・モデル型の営業組織
■ザ・モデル型の営業組織の現実

オペレーション改革に必要な考え方

その上で、オペレーション改革において欠けているピースは何かを紐解きます。
■営業にもPM / PdMの思考が必要
■営業におけるアウトプットは契約数ではない

実際のオペレーション改革のステップ

そして、実行ステップを実例をお見せしながら解説します。
■OpM(オペレーションマネジメント)の重要性
■OpMの実行ステップ
■OpMを成功させるための3要素

この記事で解説しようかと思いましたが、別記事にて解説することにしました。出し惜しみではないです。既に、この記事が8,000字以上になっているため、自分で見返すときにも、別の方が書きやすいということで、ご了承ください。

続きは、こちらからご覧ください。









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