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カラッテリ・チネージの謎

「なんとかいう本に、こう書かれているそうだ」

陰気な男は俺を見据えて、ゆっくりと、無表情に言った。

「『私は死神だ。こいつはもう殺してある。お前は戦士としての義務を果たし、こいつを殺せ。そうしなけりゃ、地獄へ落とすぞ』……そんなふうに。俺は義務を果たす」

そういう男こそ、死神のようだった。死神がこの男の姿を取って、俺を殺しに来たのだ。痩せて背が高く、黒尽くめで、指の節くれだった、この髭面の狂人の。もう助からない。いや、これは慈悲か。神様、どうか天国へ。信じます。それがあるのなら。涙と失禁が止まらない。

BLAMN!

体が動かない。銃弾は吸い込まれるように、俺の口の中めがけてすっ飛んでくる。足元には死体、死体、死体。銃は弾切れ。予言どおりだ。戦場で死体に埋もれて死ぬのだ。俺の運命は最初から決まっていた。あの書類にサインした時に。くだらない人生の全てが、今俺の脳裏に蘇ってくる。死にたくない。死にたく……!

【Continua】

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