人がこれから死ぬ

敏腕探偵・金剛田一:黒曜館事件 1-1

「では、改めて整理しましょう。」  築60年を数える傘松邸の瀟洒なエントランスには、三人の人物がいた。邸宅の持ち主である傘松氏の孫、薫。執事長、戸村。そして此度の事件の担当、裾山刑事。 「“傘松茄子”消失に気づいたのは今朝5時。掃除の際。間違いないですか。」  戸村が頷く。 「は。…

冷凍庫の冷や飯食い

 世界中で起きた『大変異』が第何次かの世界大戦と一緒に文明まで終わらせたのが約半世紀前。人類は文明の残り香で何とか生き延びている。  北海道。ここは年間平均気温-57℃。動物はミュータントへと変貌した試され過ぎる大地。  ここで俺は文明遺物回収業者を営んでいる。  前時代の工場跡地…

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第十二話

《『王宮日誌 シャルロット秘書録』より》 「そこが、この国々と同じ天地かは分からん。月は一つだし、マジナイ師はもっと弱い。アルビオンもトリステインも聞いたことがない。ガリアは西にあるらしいが、お前のいた国かは分からん」 「『スキタイ』は王族たちの名前で、そいつらが治めている諸部族…

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第六話

王都トリスタニアの裏路地から、ずっと奥に入ったところの廃屋。 その地下に、魔法を使わねば入れず、まだ誰も知らないフーケの隠れ家があった。一応厩舎もある。 「食事を有難う、ミス・ロングビル。ひと心地ついたわ」 「遅くなって申し訳ない、ミス・ヴァリエール。頭の傷は、もうよろしいですか?…

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第四話

《『王宮日誌 シャルロット私書録』より》 蛮人(バルバロイ)のトラクス、ゼロのルイズ、そしてミス・ロングビル。 《ヴェストリの広場》で姿を消した三人が、なぜここで一同に会しているのか。少し考えれば答えは簡単、このミス・ロングビルが、トラクス(ルイズもいるけど)を密かに助けたのだ。 …

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第一話

《『王宮日誌 シャルロット私書録』より》 それは、トリステイン魔法学院の二年生進級が済んでしばらく経った日のこと。 私は当時『タバサ』と名乗っていたが、風竜を召喚の儀式で使い魔とし、『シルフィード』と名づけて可愛がっていた。 だが、同級生のあの少女は……。 ガチャッ ガチャッ ガ…

カレン・ザ・トランスポーター #25

 前 回  陽はとうに西の地に消え、東の空にはまん丸い月が浮かんでいた。  高さ20mを超えるセンネンスギの林。  そのどこかにあるという『女神様が正直者に金と銀の斧を授ける泉』。  月の光を受け輝く泉の水面には、その女神様が今まさにいらっしゃっている。     驚いたのはその容姿だ。 …

刀を亡くした侍に、鉛弾の祝福を。#7 (トレモズAct.2)

前回のあらすじ  ツインとの死闘から3時間ほど。目を覚ましたシトリが聞かされた事実は二つ。ひとつはツインの全身が機械であったこと。そしてもうひとつは、シトリの愛刀が使い物にならなくなったことだった。 - 7 -  翌朝。壁の大穴の修理をクアドに、そして怒り狂うマスターを宥めるのをサンに…

エッテクルッバの森

「王様は死んだ! 王様万歳!」 血塗れの棍棒を持つ若い男に、蓬髪の老人はそう呼びかけた。 今からこの男が王だ。王を殺したのだから。男は震える声で問う。 「お前も、俺を殺すのか?」 「んにゃ。わしゃ殺されとうないでな。見届けるだけだ」 某県の深い山中。日本中から犯罪者、無宿者、多重債…

ドラスタルの魔騎

バオオオオオオン! 轟音。石畳の街道を、鉄馬が駆ける。黒く巨大な殺人バイクだ。 腕を組み、傲然と騎乗するは虹色モヒカンの巨漢。周囲に超自然の風を纏い、両眼をギラギラと輝かす。 「ヒャッハ!ヒャッハ!」 奇妙な掛け声をあげる主人を乗せ、鉄騎は猛然と進む。呪文だ。異界由来の蛮族ボウソ…