見出し画像

ジェット・リーのやさしい世界。映画『海洋天堂』中国・香港・台湾、2010年。


あちこちから、いい評判が聞こえてきたので、とても楽しみにしていた映画です。韓国の自閉症の青年を描いた映画『マラソン』みたいな感じかなあと思っていたけど、違いました。これはこれで全く別の物語。世の中が、こうだったらいいなあ……というお伽話のようなお話。

ジェット・リー(李連杰)といえば、アクション映画で超有名。そんな彼が男で一つで自閉症の子供の父親を演じる。自分の命の先がないことを知り、息子と心中しようとしたけど、泳ぎの特異な息子に助けられ、考えを変える。そして、水族館が大好きな息子のために、自分一人で生きていけるように決まった生活を教え、準備を尽くす。

自閉症の息子にウェン・ジャン(文章)、水族館で働くヒロインにグイ・ルンメイ(桂綸鎂)、クリストファー・ドイルのステキなカメラワーク、しかも音楽が久石譲。なんていう贅沢。薛暁路(シュエ・シャオルー)監督は初メガフォンだけど、10数年、自閉症の施設のボランティアやっていたとのことで、障害者をとりまく環境や施設のディテールがリアル。

ジェット・リー父子を見守る水族館の人たち、ご近所さんたち。周囲の人たちのやさしさがじんわり。刻一刻と父の最後のときが迫ってくるのに、それを理解できない息子がせつない。でも、父には愛情があり、息子はそれを感じている。見ているだけであったかくなれる、いい映画。おすすめ。


邦題:海洋天堂(原題:海洋天堂)
監督・脚本:シュエ・シャオルー
製作: 中国・香港・台湾(2010年)98分
出演者:ジェット・リー、ウェン・ジャン、グイ・ルンメイほか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?