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楽しすぎる中国語の世界。『SNSで学ぶ推し活はかどる中国語』はちこ

『中華オタク用語辞典』がすごくよかった、はちこさんの待望の(!?)続編。待ちに待った『SNSで学ぶ推し活はかどる中国語』を購入。一気読みしたので、そのおもしろさの1万分の1だけでもご紹介です。

中国語で推し活は「追星」。「星」がスターだから、日本人にも結構わかりやすいです。そもそも、オタク的な活動についての言葉は、日本由来なことが多いので、オタクが「宅」や「二次元」だったり、同担がそのまま「同担」だったりするのは日本人にわかりやすいです。何より、こういう言葉は、中国語にあんまり興味がない若い人にも受けるのがいいです。

ファンサービスは「営業」、番宣は「通告」、デビューは「出道」、ネタバレは「劇透」などなど。日常的な単語や漢字も、推し活で使うと少し違う意味になります。こういう俗語というか、ネットスラング的な言葉は、文章の中に出てくればわかりますが、単体ではちょっと分かりづらかったりするので、例文と合わせた読み物としてもすごくおもしろいです。

というのも、推し活は二次元だけではないので、日本語由来だけじゃなく、K-pop由来の言葉もたくさんあります。そして、中国語にもともとあった言葉が、ある出来事がきっかけで(著名人の発言とか)別の意味に使われるようになったものもあって、はちこさんの上手な説明は、最近の世相を表すというか、社会の鑑的な感じでも読み応えありです。

流行ったときには誰でも知っているけれど、流行るのも廃れるのも速いネットスラングは語学の辞書には残りません。こういう言葉をせっせとまとめて、外部の人間にもわかるように、楽しめるようにしてくださるはちこさん、本当にありがたいことです。

用語集の合間にちょくちょく挟まれるコラムでは、中国独特のネット規制や検閲、壁超えについても詳しいです。以前、一部で話題になった中国の某公式アカウントのネットスラングを使った煽りなんかも背景を説明してくれていて、痒いところに手が届くスタイル。それから、中国独特のファン文化についての紹介やチケット購入の方法、中国ドラマのあれこれ。

パラパラめくって、目についたところだけを読んでも楽しいし、最初から最後まで熟読してもいい。楽しみ方、無限大です。私は買ってきてすぐ、娘に「これって、日本だとどういう状況で使うの?」なんて聞きながら、楽しみました。来週は、仕事先の若い人たちにも紹介する予定。考えるだけで楽しいです。ふふふ。

目次
第一章 中華推し活の基礎知識
 推し活起訴単語:応援スタイル、ファンの種類
 コラム1 中華推し活に欠かせないSNSと推しのための「壁超え」
 オタク構文/感情を表す言葉/賛美の四字熟語
 コラム2 中国のアイドル文化の誕生と成長:検閲・規制と推し活
第二章 布教、コメント、交流…場面に応じたフレーズ
 公式・運営関連の言葉/コメントでよく見る言葉
 布教・宣伝に使う言葉/現場・イベント
 コラム3 中国特有のファンと大規模なファン組織
第三章 SNS関連、ジャンル別用語
 SNS用語
 コラム4 チケットってどう買うの? 中国の現場文化
 動画企画ジャンル/音楽ダンス関連/ドラマ関連
 コラム5 中国ドラマのあれこれ
 ゲーム、eスポーツ
 コラム6 「熱捜」至上主義 トレンド入りがすべて
第四章 独特で面白い言い回し
 韓国由来(K-pop)/日本由来(アニメ・マンガ)
 Chinglish(“中”製英語)/ミーム・スラング/見てわかる表意文字
 頭文字省略/絵文字/数字/当て字
 コラム7 ひとつ流行れば中国全域、老若男女が使うミーム



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