アルフォンス・ミュシャの復刻挿画本『白い象の伝説』ジュディット・ゴーティエ
少し前、堺市のアルフォンス・ミュシャ館に行ったとき、この『白い象の物語』の展示があって、すごく気にひかれました。なんだか、『九月姫とウグイス』みたいな、オリエンタリズムたっぷりのお話だったので。
ただ、残念ながらミュシャ館にはこの本がなかったので、あちこち探して入手。一読して文章が素敵すぎて、ミュシャ以上に作者が気になりました。
お話はフランスの児童文学とのこと。
白い肌に生まれたため仲間から迫害されていた象が、ある日人間に捕らえられ、肌が白いので「王家の魂」が宿る象として崇められるようになります。そして戦争では国王を守り、愛するパールヴァティー姫の命を救い、楽園のような生活を送ることになります。
けれども、幸せは長く続きません。お姫様に王子との縁談がもちあがると、王子は象に嫌われます。王宮から外の世界に出た象は、いろんな冒険を続けます。そして、最後には児童文学らしくハッピーエンド。賢い象が本当に健気で、物語の世界に入りこんでしまうほど。
『白い象の伝説』の作者ジュディット・ゴーティエ(1845-1917)は、お父さんも有名な詩人。でも、日本ではバレエの有名なジゼルの作者として有名だとか。ジュディエットが17才のとき、父が中国人の家庭教師を雇ってくれて、しかも帝国博物館の中国語資料を借りれるようにしてくれたので、中国方面の知識を学んで東洋趣味の小説をたくさん書いたのだとか。行ったことのないアジアへ、まるで行ったかのように。
こういう話は、聞くだけでうらやましい。私も父親が詩人で、帝国博物館の資料を読めるような家に生まれたかった! 彼女の伝記なんかを読んでみたいけど、日本語ではなかなかなさそう。現時点で見つけることのできたのは、これだけ。
もう少し専門的な説明が読みたかったら、こちらのブログがいいかもしれません。専門の方が書かれている詳しいジュディット・ゴーティエの紹介です。ここから参考文献をたどることができます。
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