マガジンのカバー画像

伊藤馨の舞台照明

27
僕の照明デザインについての備忘録というか、デザインの仕方についてのマガジン。果たして、ちゃんと完結できるのか。
運営しているクリエイター

#小劇場

舞台照明デザインのこと その6 角度だけでデザインする

舞台照明デザインのこと その6 角度だけでデザインする

はじめに前回は、基本となる四方向の照明の見え方についてのことを書いた。

また、前、後ろ、下手(向かって左)、上手(向かって右)の照明を付けた状態(トップ画)がスタンダードだと書いた。これは本当でもある部分が多いが嘘でもある。

照明を点けるという意味でのスタンダードであって、ここからどうするか。というのがデザインの話になってくる。
この角度の項では、明るさの違いとか色を変えるとか、それによる見え

もっとみる
舞台照明デザインのこと その7 角度の拡がり 基礎からの応用

舞台照明デザインのこと その7 角度の拡がり 基礎からの応用

前回までの流れ4つの方向からの照明を使い、それをどう使うのか。
というところまで話をした。

また、ここから読む人のためにも繰り返しになるが、ここで書いているのは、僕個人、つまり伊藤馨の照明のデザインの仕方を書いている。
おそらく、人の数だけデザインの仕方はあり、その人が大事にしているものがある。そして、それは尊重している。

デザインの強度という言葉が何度も繰り返し出てくる。これは、デザインが持

もっとみる
舞台照明デザインのこと その8 真上(トップ)とは、またデザインの入り口

舞台照明デザインのこと その8 真上(トップ)とは、またデザインの入り口

はじめに前回予告した通り、真上からの明かり(通称トップ)についての話をする。
それと、文字数に余裕があれば、前回までの説明をしていた角度の話を更に突き詰めていきたいと思う。この角度の話はとても長い。
では、今回もよろしくお願い。

サスって、言葉がややこしいんだよな唐突に愚痴からスタートしましたが、よく舞台の仕事で「サス」って言葉を聞くと思う。なんなら照明さんも「サス明かり」とか言ったりする。

もっとみる
舞台照明デザインのこと その9 舞台表現ということ。からの方向性(ディレクション)とデザインのこと

舞台照明デザインのこと その9 舞台表現ということ。からの方向性(ディレクション)とデザインのこと

時空間芸術である舞台表現僕の考え方としては、

まず、前提として、演劇やダンスといった舞台表現は時空間芸術である。

時間と空間を共にしたものにしか味わうことが出来ない芸術。
じゃ、映像で撮ったものは違うのか。
僕の答えは違います。
だ。
どういうことかと言うと、映像(2次元=2D)は、時間と空間をあらかじめ切り取ったものだと言うこと。どんなに精緻な作品であっても、時空間芸術とは呼べない。
映像で

もっとみる
舞台照明デザインのこと その10 では、少し大きめの劇場に置き換えて考えてみようのこと

舞台照明デザインのこと その10 では、少し大きめの劇場に置き換えて考えてみようのこと

はじめに前回までで、舞台照明の基本となる方向性についての話をした。
ただ、これは
「舞台上にあるとされる物体に対してどういう方向から照明を当てていくのか。」
までにしかなっていない。実際は劇場という機構を使って、舞台照明はなされるものだ。

劇場に当てはめてみようという、わけで今回は実際に劇場においては、どういう照明の位置関係になるんだろう。ということを説明していこうと思う。

今回モデルとしてい

もっとみる
舞台照明デザインのこと その11 人間の眼と舞台照明

舞台照明デザインのこと その11 人間の眼と舞台照明

ここから先のことについて前回までで、方向についてのことと舞台での名称とかを整理した。
方向に関しての印象とか、具体的な使い方については、更にこの先に行かないと説明が出来ないことなので、まずはいろんな方向や角度があって、それを駆使する。
っていうことと、それらは単純化して覚えておくと便利ですよ。って、ことまで進んだ。

次回以降は、人間の眼というものがどういうように機能するのか。
と言うことを切り口

もっとみる
舞台照明デザインのこと その12 眼に入る光には二種類あること

舞台照明デザインのこと その12 眼に入る光には二種類あること

しばらく時間が空いた理由があります。
お盆休みでした。
嘘です。

ちょっと今回のテーマが大変なので、苦戦してた。

操らなくてはならないのは二つの光二つの光とは、
透過光と反射光

透過光は、物体を通過して直接眼に入ってくる光

反射光は、物体に反射して眼に入ってくる光

照明で操らなくてはならないのは、主に反射光だ
照明って言うくらいなのだから、透過光なんじゃないの。
って、思うかもしれない。

もっとみる
舞台照明デザインのこと その13 「明るさ」とは何か

舞台照明デザインのこと その13 「明るさ」とは何か

明るさについて人間の感覚器は、「差」で様々なことを判断する。
視覚も暗いと明るいの「差」で物事を判断する。

ただし、暗いにも下限があり、ある程度の光の量が少なくなると見えなくなる。

同様に、明るい側にもある一定の明るさを超えると、眩しくて見られなくなり、最終的には見えなくなる。

これが明るさをコントロールしていく時の幅(レンジ)になる。
幅の中で、明るさを操作しいてく。

また、舞台全体の中

もっとみる
舞台照明デザインのこと その15 シーンとキューについて

舞台照明デザインのこと その15 シーンとキューについて

完全なる勘違いデザインの構成についての話をしようと思って準備をしていたのだが、やるべきことが残っていたという事実に気が付いた。

完全にうっかり忘れていた。

何かというと、シーン(場面)とキュー(場面の間の変化)のことだ。

少しおさらいしつつ画面の明度について語っていて、そこに色の話まで話をした。
次は、デザインの話だ。みたいことを前回の最後に話をしていたけれど、
舞台照明は、時空間芸術におけ

もっとみる