XENCE architecture studio
XENCE Lifestyle Researchでは、合同会社XENCEにて、新たな暮らし方や建築に関する日々の気づきや研究を共有していきます。
”設計者と発注者で考える、一歩先の建築とFM”について、多くの方と議論する場を持ちたいと思いNOTEを始めました。 共にこれからの街を創る企業を募集してます。 #ファシリティマネジメント #FM #建築 #設計
マンション価格や住宅価格が高騰している。建築の設計・施工を行うプロフェッショナル側から見ても、今日の適切な建設費の推測は難しい。材工価格の高騰や、地域ごとの競争状況のリサーチが追いつかない。 日常様々なコンストラクションマネージャーと話をする機会があるが、同様の回答が返ってくることが多い。建設業が複雑な市場を先読みできなくなっている。 建てるまでの投資費用は、ゼネコン同士のチキンレースのような時代に入りつつある。しかし土地も建物も最終的には一般価格が決められる。そし
概要XENCE Architecture Studio(本社:愛知県名古屋市)は、株式会社竹中工務店(本社:大阪府大阪市)・シモダフランジ株式会社(本社:兵庫県相生市)と共同で開発中のWAAM方式金属3Dプリントを活用し,森林資源循環に貢献する実証建築の設計・施工を行った。 01. プロジェクトの背景 建設業において自由な形状生成と、省人化・時間短縮に大きく貢献する3Dプリンターの利用が進む中、本チームはこれまで様々な素材での3Dプリント(以後3DP)による建築を実現してき
5/11-5/12の2日間、名古屋大学IDEASTOAにて企画するIDEABATONにて、「木曽馬と生きる」と題して木曽福島と開田高原で、木曽馬の影響を受けた暮らし方の過去を学び、未来を考えた。 本企画を行う名古屋大学 IDEA STOAを、XENCEにて企画・運営支援を行っている。 木曽馬には観光資源に限らない多様な価値が認められてきた 観光の目的としても人気の木曽馬。 しかし1900年代に、種としての歴史を見ていくと、実はすべての種雄馬が去勢され途絶えかけてい
【地域ごとに異なる木材循環から建築をつくる】 進行中のプロジェクトの現地視察と、その地域の木材サプライチェーンを教えて頂くため、志摩と熊野へ。 株式会社cultiveraと農業法人pomona farmで代表をされている豊永 翔平さんにアテンド頂き、濃すぎる2日間を過ごした。 世界規模での気候変動から地域のエコシステムまであらゆる課題を、革新的な技術と経営のアプローチで切り開くCultivera×Pomona farmの豊永さんと、志摩で新たなプロジェクトに取り組む
今年、COP27が11/6~11/18までエジプトにて開かれているが、環境に対する注目度は半世紀以上にわたって上がり続けている。 カーボンプライシングは、これまで環境に対する注目と、いまの資本主義社会とが密接につながり、新たな産業形態が生まれるような大きな動きになる。 1-1.カーボンプライシングのおさらい カーボンプライシングとは、主に①カーボントレーディングと、②カーボンタックスの二つの視点でみることが多い。建設業に関する一企業として、その動きにより能動的に関わ
○2つの本からの気づき 最近、「建築」と「経営」のつながりについて書かれた2つの本を読んだ。少し考えるところがあったので、メモを残しておこう。 ①『施設参謀』 川原秀仁 著 / 2015 / ダイヤモンド社 山下設計をもとに発足した山下PMCにて代表をされている川原氏の著書。 副題は「建設リスクを経営資源に変えるコンサルティング」 建設コンサルティングの中ではトップクラスの企業でもある山下PMCが掲げる「施設参謀」の考え方についての説明や、いくつか山下PMCが実
Archicbusの活用可能性に驚いた私が、実際に日本のファシリティマネジメントに用いる課題について感じていることをメモしておきたい。 2022.11.02 1.Archibusの概要 Archibusは世界全体では、800万人のユーザーがおり、企業の「不動産・プロジェクト・スペース・資産」らを管理するSAASである。もともと SpaceIQ 社が開発したもので、日本では代理店(アイスク ウェアド社)がローカライズを行い、代理販売している。 ARCHIBUS社はボスト
1.これまでの談義の振り返り1-1 FMの周辺について考えてきたこれまでの談義 これまで談義①から談義⑨までの全9回にわたって、設計をしている者、発注者の立場を経験した者、様々な企業に対して街づくりを提案する、それぞれが自分たちの知見と思いと流れに身を任せて、談義を拡げてきた。 これまでの談義を大まかに振り返ると、 談義①~③ 始まりとして、個々の「建築」と「FM」との出会いを振り返り、そこでの気づきや悩みを文字・言葉にして共有することを行った。FMのプロセスマネジメ
1-1. 全体性をとらえたFMの必要性 これまでの談義にて、企画(用途検討・用地取得等)-建設(設計・施工)-管理(修繕・運用)-解体/再利用の分断を解消するようなファシリティマネジメント(FM)の必要性を各方面・各視点から語ってきた。 簡単に顧みると、事業主の視点では長期的に運用しやすい建築を実現できる。設計者の視点では、通常の設計業務のみでは想定できない期間までの建物の可能性が検討可能となり、また企画や管理の段階での設計技術の活用が業務領域の拡大や深化につながる。
前回の談義⑦では、今までになかったモノの新しい関係性を作り出し、更なる価値を生み出すことが “破壊的ファシリティマネジメント(破壊的FM)”と述べた。 事例をあげれば、Airbnbでは「空き家」というモノを「オープンな宿泊運営プラットフォーム」により、本来そこに生まれなかった民泊運営者-空き家-観光客という新たな関係性を創出している。結果としてその新たな関係性が、空き家ストックの活用・観光需要の受け皿・地域経済の貢献等あらゆる社会問題の解決を手助けしており、まさに従来に
1. モノに焦点をあてたファシリティマネジメント 談義⑥の前半でも、ファシリティマネジメント(FM)が多岐に渡り、各職能毎に理解が異なっている点について触れたが、今回の談義ではファシリティマネージャー(FMer)が扱うファシリティのうち、”モノ”に焦点をあてて、議論を進めてみる。 1-1.経営基盤(人事・FM・財務・ICT)と経営資産(ヒト・モノ・カネ・情報) これまでの談義でもあったように、FMは、経営基盤の一つに位置づけられる。経営基盤とは、価値連鎖(バリューチェー
前回の談義⑤では、「FMにイノベーションは必要か」と題して、モノのライフサイクルを扱うFMだからこそ「持続可能なFM」が必要だという旨を事例とともに提示した。また、談義④では「破壊的FM」と題して、FM供給側の技術・能力・情報を再構成して新たなFMサービスを社会に提示することを目標とした。今回の談義では、FM業界の現在地を改めて見つめつつ、FM供給の将来を現実と夢想の狭間に見据えたいと思う。 FM業務の現在地 施設運営と利用環境を根本から見直し、統括的に企画・管理・活用す
前回の談義④では、破壊的イノベーションから着想を得て、破壊的ファシリティマネジメントの提案を試みてみた。 今回の談義では、ファシリティマネジメント(FM)にイノベーションが必要なのか、もう少し俯瞰的な視点で補完的に述べてみたいと思う。 1.FMの起源、そもそもの定義ファシリティマネジメント(FM)とは、元々はアメリカで生まれた民間企業に対する経営管理方式である。 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)によると「企業・団体等が組織活動のために施設
0 破壊的イノベーションの必要性 近年大きな企業であればあるほど、「破壊的イノベーション」にも取り組み、既存のワークフローに留まらない自分達の新しい市場価値を提案していく必要に迫られている。「破壊的イノベーション」とは、クレイトン・クリステンセン氏が著書『イノベーションのジレンマ』 で提唱したイノベーションモデルである。 *クレイトン・クリステンセン (Clayton M. Christensen、1952年4月6日 - 2020年1月23日) 著書の中でクリステン
1:もどかしさの探索 「頑丈で、快適で、かっこよく。ただ与件の範囲内で。」発注者が持つ建築デザインに対するニーズはこれに尽きるのではないか。より具体的に言えば、予算や敷地条件・スケジュールのもと構造・設備・意匠を統合して設計してほしい、と。このニーズはつまるところ、強・用・美という言葉とともにローマ時代から続く普遍的な課題だろう。発注者のニーズはいつの時代も明快なはずなのに、なぜプロジェクトでは建築デザイン(基本設計から竣工まで、一連の建築プロセス)にもどかしさを感じてしまう
1.設計者、発注者になる。 某設計事務所に勤め、2年がたったある日、私は某企業の施設管理部へ出向となった。 保有する施設を維持管理し、新築事業や建替、改修の諸条件を取りまとめ、設計者へ依頼する”発注者”と言う立場である。タイトル通り、突如として意匠設計者だった私は発注者となった。 同じ建築に携わる業務なので余り変わらないのではないか?と思うかもしれないが、実態は大きく異なりギャップがかなりあった。基本的に発注者とは、①基本構想や基本計画といった建物を設計する前段階