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 匿名者のためのスピカ 著:島本理生

 法科大学院に通う笠井と七澤と館林が物語の軸になってる。笠井は頭脳明晰で記憶力の良い学生だ。でも、一度就職してる。そのあとで法科大学院に通っているのだ。館林もそう、本当は高校中退である。そこから勉強を頑張って法科大学院に通っている。七澤は笠井の良い相棒だ。笠井と館林は付き合う事になるのだが、館林の所在を巡って半ばミステリー調になって物語は進んで行く。

 館林の家庭は弟のまもるを母が溺愛していて館林には何の干渉も無い。館林は高校生の時、高橋と言う男に監禁された過去を持つ。監禁とは言っても高橋は館林を物凄く好いているのだ。プロローグにもあるが、大人になったら一緒に住もうと約束めいた事を言って警察に捕まった。

 しかし、交通事故でまもるは死んでしまうし、館林も笠井と付き合い始めたのに、天体観測に行ってくると高橋の運転する車で去ってしまう。笠井と七澤はそれを追って石垣島に降り立つ。そして波照間島まで行って館林と高橋の二人を追い詰めて物語はエンディングへと向かう。笠井と七澤が居なかったら館林は殺されてる所だった。高橋の歪んだ愛とそれを阻止する大学院生の笠井と七澤。笠井の就職した時の話も幾らか書かれてるが、それが何なのかは判然としない。アトピーの子供を手を縛って寝かせている母親が逮捕されるのだが、自然治癒を信望して病院での手当を疑っている母親が行き過ぎた子供への仕打ちで警察沙汰になったと言うものだった。

 それで笠井が法科大学院に入るきっかけになったのだが、どうしてかはわからない。この物語で光っているのは七澤の推理だった。七澤の推理によって紐解かれて行く館林と高橋の二人の関係をミステリー調にして書いてある。まもるは死んでしまったし、読後の納得感はあまり無い。年の離れた高橋に館林が惹かれて行った様も消化不良だ。どうして高橋のような男に騙されてついて行ってしまったのか。それで自分まで殺されかけてる。館林の心境も謎だらけだった。笠井という彼氏ができたばかりだったのにだ。

 読み易くはあったが、読後、わからないままになってる事が多くてなかなか良い書評は書けない。ただ、島本理生さんはミステリーも書けるんだなと言った所だ。

 以上

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