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映画の感想 movies in May 2024

ネタ切れなので5月にみた映画の感想でも並べておきます。


5/1

  • ボヘミアン・ラプソディ

    • インド系イギリス人の大スターの生涯。映画としてはフレディの孤独に焦点を当てるが、映画内の描写としてもフレディは外形的には全く孤独ではない。むしろ多くの人と関わり過ぎたとも解釈できる。メアリーが物語の良い蝶番を果たす。

  • レディー・プレイヤー1

    • 近未来のゲーム世界において、故人の開発者が隠したリアルに価値をある宝を探す。先輩である開発者の人生の歩みをたどりながら大人に成長する主人公と組織的な課金集団が実力行使も含め戦う。Rose Budなどサブカルや古典映画からの引用も多い。

  • 我輩はカモである

    • マルクス兄弟主演作品で激しい戦争風刺とそれ以上のナンセンスで笑える。ムッソリーニは本作の上映と本作で笑うことを禁止した。明らかにドイツをモデルにした債務国にファイアフライというムカつく首相が誕生し……。

5/2

  • クレオパトラ

    • 巨大セットと綺羅びやかな小道具を惜しげもなく使い数百億円の巨費と投じ20世紀FOXを傾けたハリウッド黄金時代末期の歴史大作。筋書きはクレオパトラが大シーザーと共に世界征服を夢見る前編と、アンソニーと共に生きる後編に別れる。彼女は死で純愛を示す。

  • 吸血鬼ノスフェラトゥ

    • 19世紀初頭の夫婦に起こった事件を歴史家が語るかたちで進行するサイレント白黒映画。不動産屋の上司からトランシルヴァニアの伯爵がドイツ北部の土地建物を買いたいと希望していると告げられ、契約を取り付けに伯爵宅に行くことになるが……。

5/3

  • ジョーズ

    • 主人公は島のたった一人の警察署長で部下少なく多忙。海開き直前に人喰ザメの被害者を観測し、遊泳禁止を発令しようとするが島の経済に打撃を与えることを恐れた市長がストップを掛け犠牲者拡大。そして、サメ漁師と署長と海洋学者の三人でサメ殺しの死闘へ……。

  • マルタの鷹

    • ハメットの同盟原作小説の映画化(3度目)。行動力の化身のような私立探偵の主人公(Hボガート)が慣れた手つきで手際よく関係者をいなし、展開は超早い。マルタ島からスペインに献上されたというファルコンの彫像の争奪戦となるが、最後はすべて綺麗に片付く。

5/4

  • スパイナル・タップ

    • ロックモキュメンタリーコメディ映画。架空のイギリスバンドを仕立て上げ、ロックバンドあるあるを散りばめながらアメリカツアーが進んでいく。ほとんどの映像はアドリブらしい。当然かもだが「ハードデイズナイツ」よりコメディとして楽しめた。

  • ブレア・ウィッチ・プロジェクト

    • タイトルは有名なヒット作のモキュメンタリだが内容は知らなかった。映画撮影のために森に入った若者たちがブレアの魔女伝説の通り、案の定道に迷って……という内容。いわゆる超低予算映画だが、内省的なアングルなどは押さえている。

5/6

  • ペトラ・フォン・カントの苦い涙

    • 使用人マレーネと成功した女性デザイナー・ペトラの室内劇。ペトラは離婚し娘もいるが孤独。さらに彼女は別の女性にフラれイヤイヤ期に突入。娘にも母にも強く当たる。ペトラは残ったマレーネにやさしい言葉をかけるもマレーネも黙って立ち去る。

5/8

  • ヒズ・ガール・フライデー

    • スクリューボールコメディ。流石にケーリー・グラントの顔は憶えた。新聞記者の男が別れた同業者の女房をスクープをエサに引き留めようとしたり選挙のための冤罪を阻止したりするが、それより会話のまくしたてが特徴的

  • フライングハイ

    • 飛行機パニック物のパロディ映画。主人公は徴兵されてパイロットになった先で惚れたCAの元カノが忘れられないが、戦争のトラウマで飛行機恐怖症。だが、そのつらさを乗り越えて元カノが務める飛行機に登場するが機長副操縦士が倒れて代わりをやらされる。

  • 第七の封印

    • 十字軍帰りの騎士が祖国の退廃と疫病の蔓延に絶望する人々を見て絶望する。彼の元にも死神が訪れるが、チェス勝負で取り敢えず時間を稼ぐ。そして、神や悪魔にすがろうとするが、そこには誰もおらずただ暗闇しかない。

5/9

  • ゲット・アウト

    • 黒人と白人との現代的関係を「マルコヴィッチの穴」のようなファンタジックな道具立てで描く。黒人彼氏が白人彼女に連れられて彼女の実家に行き、リベラルそうで穏やかな両親や親族に出迎えを受けるが……。

  • ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド

    • ゾンビ映画の古典として名高い。ゾンビの発生には一応SF的な理由付けがなされている。また、低速度ゾンビであり火を怖がるタイプだが、人肉はうまそうに食える。オチは予想できた。

  • ロスト・イン・トランスレーション

    • 東京の風景・風俗・サブカル・ポップカルチャー・混雑・騒音を背景としたミドル・ミーツ・人妻。スカーレットヨハンソン可愛い。著名人の疎外感をトーキョーという故国から遠い猥雑かつゴチャっとした背景を使ってクローズアップ。

5/11

  • エターナル・サンシャイン

    • 主人公ジョエルは朝目覚めて2月14日にクレメンタインという女性に出会う。その後交際を始めるが、急に彼女が特殊なサービスを使って彼を記憶から消す……。たとえいずれイヤに成って別れるとしても、今だけは一緒にいたいという情緒を描く。

  • 隣の女

    • 題名通りというか、妻子ある主人公の家の隣に引っ越してきた夫婦の妻がたまたま主人公の元カノで不倫しましたという話。再び燃え上がってしまう情熱に二人の精神も不安定になり、もちろんそれぞれのパートナーも精神的被害を受ける。愛情の制御の鍵は物理距離。

5/12

  • アンダー・ザ・スキン 種の捕食

    • 美女の外見をのっとった存在がよってくる男たちを捕まえる。一方、実際にやさしくされると美女になりたくなるが外見だけの模倣なので然るべき機能が無い。ルッキズムスリラー。

  • 遊星からの物体X

    • ノルウェイの南極基地で氷を溶かしていたらうっかり溶かしていけないものまで溶かして基地全滅。それが米国の南極基地までやって来て人狼ゲームに発展する。ややグロめ。

  • 赤い影

    • 赤いレインコートを被った幼い娘を亡くした夫婦がベニスで仕事。そこで霊感を持った姉妹と出会い早くベニスを離れるよう警告を受けるが……。けっきょく連続殺人事件はなんだったのかよくわからない。

  • 赤い靴

    • 傲慢なレイルモントフのバレエ楽団に二人の若者が入る。女性プリマと男性指揮者だ。レイルモントフは二人の恋に嫉妬しプリマにバレエか恋愛の二者択一を迫るが……。「イヴのすべて」と同様、芸術至上主義というより女性の社会進出問題にもみえる。

  • 秘密と嘘

    • 養父母が亡くなった女性が実の母親を探す。実母は困惑しながらも彼女に会うことにし、同居している娘の誕生パーティに彼女を誘うが……。教訓としてはつらくても事実に向き合ったほうがいいねという話。

5/14

  • セブン

    • 七つの大罪モノ。対照的な経歴を持つ二人の刑事が七つの大罪になぞらえて連続殺人する犯人を探す。この世は悪が在るのは事実であり、それを無関心で完全に隠蔽するのもどうかと思うが、それをわざわざ拡大鏡で全員が覗き込む必要があるというのも道徳潔癖症だ。

5/15

  • 突撃
     キューブリック監督。WWIの西部戦線。前半は仏側の塹壕戦、特に無謀な突撃命令の様子を描き、後半は意外なことにも軍法会議で見せしめに処刑される三人の軍人の様子を描く。三名の上官は助命嘆願に走るが、組織の論理が立ちはだかる……。末端の兵士には救いが無い。

  • 羅生門

    • 芥川の短編「藪の中」に「羅生門」要素を混ぜた作品。事実関係の混乱(実在または認識の混乱)から人心の醜い翻意と争い、分断とエゴイズムを描いた上で最後は事実というよりは信念の問題に回収する。

5/16

  • 突然炎のごとく

    • トリュフォー監督。WWI前後の時代、仏人男性ジムと独人男性ジュールの親友が、多情で情緒不安定な奔放な女性に翻弄される様子を描く。脅す燃やす飛び込むなどの手段を用いて気まぐれな挙動をする女性を通じて女性性が神秘化される。非常に都会的かつ説明的で、一時停止の演出はあまり効果的とは思えない。

  • 独裁者

    • マルクス兄弟の「我輩はカモである」に比べると毒気は低い。批判はユダヤ人迫害と権力の暴走に絞っている。床屋さんはWWIでは兵士として活躍したにも関わらず独裁者には反対なのだから戦争そのものを否定するような絶対平和主義でもないようだ。

  • ダイ・ハード

    • NYの刑事が日本企業重役の元妻に会いにLAのオフィスビルに来る。元妻は会社のパーティの最中で、パーティ客を人質にテロリストはビルを占拠。外部との通信が経たれる中、刑事は単身抵抗を試みる……。火薬量と伏線回収がきっちりしている。

5/20

  • 北北西に進路を取れ

    • 原題のNorth by Northwestは実際には存在しない方角表記で主人公が誰が味方かわからずひたすら翻弄される話。広告屋さんの主人公が密輸マフィアに人違いで誘拐される所から開始。濡れ衣を着せられたり味方に騙されたり散々な目に遭う。

(3,588字、2024.05.20)

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