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LOVE LIFE

矢野顕子さんの楽曲「LOVE LIFE」から着想を得て制作された作品。監督は深田晃司。

ぱっと見ポップなジャケットとは程遠い作品だったから、ちょっと堪えた。よく見たら全然ポップじゃないんだけどね。予告映像や前情報を少しでも入れてってたらダメージ少なかったかな。

とは言っても、暗い映画な訳ではなくて。かと言って消して明るくもない。そんな表裏一体を表している作品だったとも思う。

「LOVE LIFE」の歌詞がずっと頭ん中ぐるぐるしている。
『もう何も欲しがりませんから
そこにいてね
ほほえみくれなくてもいい
でも生きていてね、ともに』

パーソナルな部分にグサグサに刺さった。私の中では整理が既に付いている事だったんだけど、どこか心細く感じていて。この作品を観て、この曲の歌詞を読んで、共感を得られたような気持ちになって嬉しかったし心強く感じた。
自分をどう生きていくか、誰と生きていくか。
死ぬ時は何したって1人なんだし、それまではいいものだけに囲まれていたい。居心地良く過ごしたい。だったらそこにいてくれること以外、その人に求める必要はないんじゃないか。

あの2人は目と目を合わせたあの瞬間からが始まりで(タイトル出たところから)、これから何を選択していくのだろう。グラウンドみたいな広場を通ってショートカットしているように見えた。2人だけの関わり合いとしては遠回りしてきたけど、時間でみると遠回りって近道のような気もする。目と目を合わせて向き合って、どんな選択をしていくんだろう。

そういえば、バリアフリー字幕上映というものだった事を知らなくて驚いたと同時に字幕邪魔だなぁと思いながら観ていた。手話のシーンがあるから、字幕はそこだけでいいのではないかと。字があるとどうしても目で追ってしまって映像に集中出来ないから、意識的に字を見ないようにしていた。でも、生活音に付く字幕はなんだか味わい深くて好きだった。
そしてタイトルが出るところ、あぁなるほどなと、字幕の意味ってここにもあったのかもと私なりに解釈した。手話ではないけれど、2人のあの動作にあの字幕が付いていたように思えて、ちょっと震えた。

妙子がお風呂に浸かっているシーン。パクに付き添ってもらって一緒に痛みに浸っているシーン。あの場面だけは涙がボロボロ出た。本当に彼が一緒でないとできなかった事だと思う。とても痛いけど、素敵なシーンだった。

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