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あのこは貴族

門脇麦さんって、凄い女優さんだ。
序盤も序盤、お見合い写真を撮影するシーンのあの笑顔。鳥肌がたった。華子というよりも門脇麦という女優さんが気になって仕方なかった。

東京生まれ東京育ちのお嬢さま華子と、田舎から上京した美紀の物語。
本作は様々な対比構造があると思った。
『都会人』と『田舎者』
『富裕層』と『それ以外』
『内部』と『外部』

私は田舎生まれ田舎育ち、19歳で上京し今もこちらで生活している。『田舎者』で『それ以外』の家庭で育ち『外部』の人間だ。
勤めている歯科医院は夫婦で歯科医師、お爺さんと息子はお医者さんという『都会人』『富裕層』『内部』の家系。

私は15年以上今の歯科医院に勤務していて、先生方には娘のように可愛がってもらっていて。富裕層の疑似体験みたいな事は沢山させてもらってきたし、先生はお喋りが好きなのであちらの世界の話は今まで沢山聞いてきて無駄に知識だけはある。
そういった生い立ちや経験から、分類するのは差別みたいで少し嫌だけど分けることが出来てしまうのが現実、だと思っている。と言うか、肌で感じている。どちらが良い悪いとかではなく。

私が思った『内部』と『外部』というのは、敷かれたレールの上を歩いているか、自分でオリジナルのレールを敷いて歩いているかどうかという事。私は『内部』の人間になりかけたが進路を決める際、勇気を出して分岐を作りポイント転換し自らのレールを進むことに成功した。
本作でも華子と美紀はそれぞれ考え、葛藤し、自らの道を選んで進む。「私たち似てるね」と台詞にあったけど、似てるんではなく同じなんだと思う。違うのは環境だけ。育った環境はみんな違って当たり前なんだから。分類できるのはほんの表層部分だけで、芯の部分はみんな同じ。そう本作を観て思った。

共感の連続でとても楽しかったし、ちょっと行き過ぎた演出も決して無くはない絶妙なとこを突いていて良かった。


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