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雑多な怪談の話

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2022年7月の記事一覧

SS 五十年前の事件の後始末 町内会&昔ながら&熱帯夜 三題噺チャレンジ

「暑いな……」「暑い言うなもっと暑くなる」「お前も暑いつうてるだろ」「やめろ暑いわ」ざわざわと十二畳くらいの場所で町内会が開かれる。もう年寄りしか居ない。「今年はやるのか」と誰かがつぶやく。 ぴたっと雑談が止まる。「もうそんな事はしなくていいだろう」町内会長がゆっくりと言葉にする。 皆がうなずく 「そうだな時代が違うからな」 「そもそもやらなくても何も起きないよ」 「でも何か起きたら……」 じわりと空気が重くなる。熱帯夜で体が冷めない。誰かが笑い出す。 「考えすぎだよ」

SS 廃墟探検 #たいらとショートショート

「トイレに行きたい。」廃墟にトイレなんてあるわけがない。俺は彼女に「そのすみっこで出来ないか?」と頼んでみる。彼女は俺の事を殺意の目で見ているので怖すぎる。「すまん、でも今からコンビニまで戻れるか?」彼女は頭を横にふる、車でも十分は必要だ。 とりあえず廃墟探検からトイレ探検に趣旨が変わる。トイレくらいはあるだろうと思ったが和式はあるが、洋式がない。古い施設だから無理に思えた。「和式じゃ無理か?」彼女は泣きそうになりながら、比較的にキレイな和式便所に入る。「外で待っててよ」

SS 梱包された劇 #爪毛の挑戦状

畳に座る。ふすまに夕日が映ると朱く染まり蝉が鳴いていた。「よしえ」と母の声がする。私は黙ってまま包丁を握る。 いつからだろうか、私は自殺する夢を見ていた。朝に起きると細かい部分は忘れている。でも夢の中で私は自分を殺していた。手を切って血を流す。畳を真っ赤にして血だまりの中で幸せを感じる。もう何も悩まなくても良い。 朝になると私を起こす手を感じた。「起きなさい」布団から出ると学校に行く。田畑しかない道を歩くと、いじわるをするクラスの女子が近づく。「服ダサイ」「ブス」なぜか短

SS ふりかえるとよみがえる #毎週ショートショートnoteの応募用

私は友達に相談をする。「彼氏にふられたの」泣きながら相談をする。友達は少しだけ考えて私に本を貸してくれた。 「恋のおまじないよ」彼女はそう語ると呪文を教えてくれた「ふりかえるとよみがえる」三回繰り返すと、失恋した彼氏と仲良くなれる。私は心から願う。家に帰ると呪文を唱えた。 友達からLINEが来る。「あの人が事故で死んでしまった…」家族と乗った車が事故を起こした。私は悲しくてベッドで泣いた。玄関のチャイムが鳴る。玄関まで行くと「ぼくだよ…」と声がする。私の好きだった人だ。お

SS ふりかえるとよみがえる #毎週ショートショートnoteの応募用 【グロです注意】

今日は分陀利地獄の当番だ。俺はいろいろな地獄を回りながら仕事をする。「亡者を責めるのも飽きたな」鬼でも同じ事の繰り返しは飽きる。無限の時間を使い亡者をいじめ抜く。それが仕事だ。分陀利地獄は頭を割って脳みそをへらで綺麗にそぎ落とすのが仕事だ。仕事が終わると俺がふりかえるとよみがえる。亡者を捕まえて同じ事をする。 亡者の頭を爪のある手で鷲づかみにする。頭を片刃の刀で丸く切る。頭蓋骨をむき出しにしてノコギリで切るのだ。その間は亡者は目鼻から血を噴き出しながら泣き叫ぶ。たとえば読者

SS 水槽の歯 #爪毛の挑戦状

昔の水族館に人魚ショーと言うのがある。人が暗い水槽の中で人魚のコスプレで泳ぐ。今でもマエーメイドショーはあるが当時とはまったく違う。私が見たショーは暗く悲しい記憶が焼き付いている。何故だろうか? 「これが人魚の歯です」なじみの古道具屋で冗談を言われたと解釈した。「人魚が見れますよ」半笑いの私は買えなくも無い値段で購入した。金魚用の水槽を用意する。申しわけ程度に水草を入れて人魚の歯を入れる。水槽の歯は底に落ちるとぶくぶくと泡を出していた。 翌日になると、メダカくらいの人魚が

SS ガイアナ大地の少女 保護者&世界遺産&ヤモリ 三題噺チャレンジ

「これが世界遺産のガイアナ大地か」平原に巨大な台地がぽつんと見えている大地は標高が二千メートルはある。大地の上には貴重な動植物が存在する。私たちは密林を抜けてあの大地を目指す。 「どんな動物が居るか楽しみだ」現地スタッフと共にガイアナ大地の斜面をロッククライミングで登り切ると頂上に到達する。私たちは荷物を整理していると、一人の現地の少女が立っている。「あの娘は君たちの子供か?」現地スタッフに聞くと彼らは硬直して動けない。「マクンバ……」現地の言葉で悪魔だ。悪霊が居るというの

SS 夢のみんなで #爪毛の挑戦状

夢を見た。夢のみんなで帰ろうよ…その言葉を…口の中で繰り返す。今は誰も居ない教室を見回すと暗い部屋の中に孤立している僕が居る。先生が教室に入ると着席するように言われる。先生は「悲しい事故でした」そう語ると教室を見回す。「このクラスは今日で終わりです」僕はみんなが居ない理由を思い出す。バスの事故だ。旅行で横転したバスはガードレールを破壊して崖下に落ちた。ぼくだけが後部座席の唯一の生き残り。先生は僕に手を差し出す。僕は手をしっかり握るとゆっくりと教室を出る。 「寝てたの?」同級

SS 桃太郎って知ってる? #ストーリーの種

※極めて不適切な表現があるので注意してください。 「桃太郎って知ってる?」彼女は僕に聞いてくる。「いや 知らないよ」とぼけると彼女はメガネをくぃっとする。小学校の教室は掃除が終わり誰も居ない。最近はゴミ出しや窓拭きをして、軽く床をフローリングモップで拭くだけ。彼女は昔話が好きらしい。僕も本が好きだと判るとよく話すようになる。 「桃太郎はね、怖い話なの」目をキラキラさせて興奮している。秘密を共有する喜びであふれている。「本当は妊婦が流れてたの」僕はあまりの表現で耳に手をあて

SS 雨だ。きっとあの子も、学校に来る。 #ストーリーの種

雨だ。きっとあの子も、学校に来る。古い分校はもう誰も居ない。廃校には人影は無い。「きっと来るさ」俺はスマホを見て時間を確かめた。 俺の郷里は山奥で、里の小学校に通えなかった。分校の子供達は年齢もばらばらで良い意味で家族の感じに似ている。弟や妹と勉強をしているのと同じ。その中で、大人しい子供が居た。その子はかわいらしい女の子で、いつも一人で遊んでいるタイプだった。 どんな集団でもイジメは発生する、その時は俺は一番の年長者だった。佐代はかわいらしいからこそ、いじられるし、いじ

SS サラダバス 怪奇物

俺は独裁者として十分に楽しんだ。別に悔いもない。革命で国が滅ぶと俺は逮捕された。牢屋の中で粗末な食事を与えられる。「くそまずい、国民はよくこんなものが食えるな」もちろん空腹なので全て食べる 看守が「あんたが食ってる食事すら、ろくに食えない奴が多いけどな」なにか偉そうにしているが俺はどうせ死刑だ 俺は牢屋から連れ出される。「死刑なんだろ?」俺はその時が来ると往生際も悪く暴れた。看守が俺の服を脱がせる。素肌になる。袋が用意されると足の方から俺を包んだ 「なんだよこれ」看守は

SS 部屋に見えない猿がいる #ストーリーの種

部屋に見えない猿がいる。琴江は、ゆっくりと猿に近づくと刀を抜いた。 「また猿が出たのか?」城主の滑川勝馬は眉をひそめる。領民が猿が田畑を荒らして困ると陳情をした。百姓達では猿を追い払うのにも限界がある。山狩りをして欲しいとの事だ。 ただ山が険しい。おいそれと人が進めるような場所では無い。領主が知恵を出せと家来に命令をする。重臣の一人が「猟師を雇いましょう」と進言をした。滑川は金を出して討伐を命じた。 だが結果は失敗で、猟師が険しい山道を歩いている最中に襲われて何人も死ん

SS サラダバス #毎週ショートショートnoteの応募用

古代生物を研究している俺は昆虫学者だ。俺に五億年前の塩結晶の中に含まれる塩水で生存をしている虫が提供された。五億年前は大気圧も高く水温も高い。過酷な環境でも生きる生物だ。最近のニュースで単細胞生物は発見された 俺は研究をまかされると昆虫を結晶の中から出して行動を観察する。しばらくすると卵を産む。雌のようだ、子供達を別のシャーレに移動させると、すぐ卵を産む。どうやらクローン型らしい。 藻では足りないため市販の野菜を使うと、さらに増える。俺は有頂天になるとサラダを使いながら研

SS ふりかえると夢の #爪毛の挑戦状

「奥様、この薬を試してみてください」私は悪夢を見る。熟睡できるように医者に相談をした。若い医者は主人よりも魅力的に見える。夢の内容は不倫だ。とてもハンサムな彼と夢の様な夜を過ごす。熱に浮かされるような夜を過ごす 情事も私が満足するまで波のように私を乱す。波は小さく大きく体を揺らす。その状態が何時間も続く。私はその波に揺らされて体をまかす。両手を頭の上で広げながら私は自分の体を波にまかせる、でも最後は、怪物が出てくる。奇怪なウロコだらけのそいつは私を大きなハンマーで潰すのだ。