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SS 廃墟探検 #たいらとショートショート

「トイレに行きたい。」廃墟にトイレなんてあるわけがない。俺は彼女に「そのすみっこで出来ないか?」と頼んでみる。彼女は俺の事を殺意の目で見ているので怖すぎる。「すまん、でも今からコンビニまで戻れるか?」彼女は頭を横にふる、車でも十分は必要だ。

とりあえず廃墟探検からトイレ探検に趣旨が変わる。トイレくらいはあるだろうと思ったが和式はあるが、洋式がない。古い施設だから無理に思えた。「和式じゃ無理か?」彼女は泣きそうになりながら、比較的にキレイな和式便所に入る。「外で待っててよ」

しばらしても出てこない。俺はトイレの扉に手をかける。彼女でも見られるのは嫌だろう、声をかける。「おい 紙が無いのか?」「トレペ無い」その直後に後ろから気配がした。「赤い紙が欲しいか? 青い紙が欲しいか?」やばい、怪談定番のネタだ、赤青どちらを欲しいと言っても殺される。

俺は迷った違う色の紙を言うと異界に連れて行かれるからだ。しかしトイレの中から「速く紙ちょうだい」と彼女が大声を出す。「赤い紙か青い紙か?」あの声がまた質問をする。彼女は怒鳴った「トレペよ速く買ってきて」

俺は声の主に「ちょっと下のコンビニに行くので、待っててくれます?」と言うと「……うん……」と答えが返ってくる。俺は自動車に戻ってコンビニに行ってトレペ買うと超光速で戻って来た。トレペをトイレのドアを少し開けて渡した。「ありがと」なんで彼女は大がしたくなったのか。

彼女はすっきりした様子でドアから出てくると「赤い紙か青い紙かって何よ、白でいいのよ」と変な顔で俺を見た。壊れた窓から白々と朝日が入ってくる。俺は彼女と安心して外に出た瞬間に闇に閉ざされた。小さな子供が俺を見ている。にやりと笑うと「お前だけは連れて行ける」と俺の腕をつかんで「ぎりぎり間に合った。」

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