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お金より、エクスキューズが欲しかった


夜職の世界に長くいると、大きく分けて2種類の女の子に出会うことになる。
それは、「切実にお金を必要としている女の子」と、「なんとなくお金が欲しいという設定にしている女の子」である。
(ずいぶんと乱暴な分類だけど)

世の中の人の多くは、夜職で働いているのは前者の「お金を必要としている女の子」「とにかくお金が欲しい女の子」がほとんどであると思っている。だけど、実際の現場に潜り込んでみると、そうでない女の子の方が圧倒的に多いことがわかる。

学費を払わなきゃとか店を持ちたいとか、借金を返さなきゃ、1人で子どもを育てなきゃ、という女の子ももちろんいた。全身整形を目標にしている子ももちろんいた。でもそれは20人に1人、いやもっと少ない確率だったように思う。

他の子たちは「お金欲し〜」「今月やば」と言いながら、30万のバッグを買い、自費診療の肌メンテをして、毎月新しいドレスを新調して出勤していた。毎日スタバのカップを持って店に来て、休みの日はUberして、ヘアサロンネイルサロンに月2-4で通い、コスメにもファッションにも出費を惜しまなかった。

みんな、客にも店長にも同僚にも、「“将来ちゃんとした生活をする”ために、今こうして夜職を頑張っている」と説明していた。「いつまでもこんな働きかたできるなんて思ってないから」と。
将来のため、夢を叶えるため。これはその手段に過ぎないのだと。極めて一時的な、限定的なものなのだと。

だけど本当にそうだったのだろうか?

彼らの多くは、(自分も含め)こういう仕事をするという“手段“が目的であって、将来の夢という“目的”が手段になっていたような気がする。

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