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2020/7に読んだ本、観た映画

つかふる姐さんがその月に読んだ本、観た映画を面白かった順に記録していくコーナーを作りました。独断と偏見でゆるゆるおしゃべりしていこうと思います。

では早速。2020/7に読んだなかで印象深かった本はこちら!※面白かった順に並べています。

1▶︎13歳からのアート思考/末永幸歩
2▶︎世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方/八木仁平
3▶︎暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて/アーシュラ・K・ル=グウィン
4▶︎ユダヤ人大富豪の教えⅢ/本田健
5▶︎共感SNS/ゆうこす
6▶︎猫を棄てる/村上春樹
7▶︎MI:個性を生かす多重知能の理論/ハワード・ガードナー
8▶︎メルロ=ポンティ 現れる他者/消える他者/酒井麻依子

こうして見ると今回は小説がほとんどなくて、ビジネス書が多かったですね。


1▶︎13歳からのアート思考/末永幸歩

先月に続き「アートシンキング」に注目しているので片っぱしから読んでいるわけだけど、頭の固い人が書くとせっかくのアートがつまらない内容で語られていてがっかりすることが多い。末永さんのこの本はとてもわかりやすくて、大事なところが丸くなりすぎていないのが良かった。これまでの美術史もうまいことストーリーに乗って書かれている。
もちろん他のアートシンキングの本と比べて新しいことが書いてあるのか?と言われると微妙だが、初めてアートシンキングについて読むときにお勧めできる本ではある。(でも個人的には先月に若宮さんの本を暫定的ベストとしたい)


2▶︎世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方/八木仁平

これね!7月、どこの書店に行っても平積みされていたんですよ奥さん。見かけた方も多かったんじゃないでしょうか?
私は「やりたいこと」について割と早期に見つけていたタイプの人間だったのですが、学生さんにキャリアの話をせねばならない機会とか割とあって、「将来どうしたらいいかわからないんです」って子たちに対してなんかうまく論理立てて話をしてあげられなかったのです。何を聞けば核心に触れられるのかも、自分の中でわかっていなかった。
でもこの本では、確かにこれまでにないほど具体的かつ簡潔に「やりたいこと」を見つける方法が書いてあるので素直に「ほー!すごい」となった。
方法が書いてあるっていうか質問が書いてあるわけだけど。それにひとつひとつ答えていくだけでも、自分と向き合えると思う。
今後また学生さんに「やりたいことがわからない」と言われたら、この本を思い出してみようと思う。


3▶︎暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて/アーシュラ・K・ル=グウィン

タイトルに惹かれて何気なく手に取ったけれど、なんとゲド戦記の作者さんでした。これ、彼女の生前最後のエッセイ集だったのです。2018年ヒューゴー賞(関連書籍部門)受賞作品でもあります。なんか最近、自分よりずっと歳上の人が人生の終盤に何を想うのか知りたくて、そういう本ばかり読んでしまう。
肝心の内容はというと、やはりとても含蓄のある、味わい深いエッセイでした。身の回りのささやかなことについて書かれていてもいちいち多分こんなにも深いのは、この人がアナログだから。いい意味で。自分の体で、頭で実際に経験したことを通じて、自分の言葉でそれを書いていることが痛いほど伝わるから。借りてきたデータや言葉じゃないことが分かるから。そういう価値を忘れずにいたい。表面上は見分けがつかなくても。こういう類の本は手元に残しておいて、ふと時間のできた午後なんかに、紅茶を飲みながら読みたいものです。


4▶︎ユダヤ人大富豪の教えⅢ/本田健

別に新しくもないし、なんでⅢなの?って感じなのだけど、たまたま手元に流れてきたので読んだ。本田さんの本は前にもなんか読んで、「うわ、めちゃくちゃノーマル」と思った覚えがある。何がノーマルなのかって、登場人物の思考回路が、まるでサザエさんやドラえもんの登場人物のようにノーマルなのである。日曜の夕方の国民的アニメを見せられているようなストーリーに、彼の理論を乗せて語るのがこのシリーズなのである。
でもこれ、売れているだけあって内容はとても有意義なものだった。平たく言えばお金あんま関係なくて、「パフォーマンスを高めるには人間関係に振り回されるような無駄なエネルギーを削減すること」みたいな話で、じゃあどうやったら人間関係に煩わされずにパフォーマンスを最大化できるのか?っていうことをセミナー仕立てで解説している。内容はよく練られたもので洗練していて、この作者が、わざと「ノーマル」で「平均水準」に合わせてこの本を書いていることがビシビシ伝わった。いろんな意味で賢い本である。


5▶︎共感SNS/ゆうこす

ゆうこすさんの本。どんな風にSNSを使えばそれが仕事につながっていくのか、“インフルエンサー”になれるのか?といったことを、自身の体験をサクセスストーリー風に絡めて書いています。手にとってパラパラしてもらえばわかると思うのですが、文字数はそんなに多くなく、等身大の平坦な言葉で書かれているので難しくないです。シンプルで無駄がない。
もともとはアイドルだったゆうこすさん。脱退して1人でやっていく中で、実戦でセルフブランディングを身につけてきたわけです。彼女の賢さやひたむきさが伝わって、思わずファンになっちゃいそうな一冊。かわいいね、ゆうこすさん!
SNSよくわかんないし難しいのやだけど、フォロワーを増やしたい、インフルエンサーになりたい、という人にはおすすめしたいです。


6▶︎猫を棄てる/村上春樹

重ね重ね言いますが村上春樹に思い入れがある人間なので新刊でたら反射的に手に取ります。今回のは小説じゃなかったですね。そして案の定賛否両論分かれています。(「村上さんは昔の魅力を失った!」的な古いファンのコメントが目立ちます)でも、人間て変わるものじゃないですか?作品だって変わって当たり前ですよね。別に村上さんが何を書こうと彼の勝手でしょう。ということで作品に対するコメントは控えますが、印象に残った一節を引用しておきたいと思います。

「言い換えれば我々は、広大な大地に向けて降る膨大な数の雨粒の、名もなき一滴に過ぎない。固有ではあるけれど、交換可能な一滴だ。しかしその一滴の雨水には、一滴の雨水なりの思いがある。一滴の雨水の歴史があり、それを受け継いでいくという一滴の雨水の責務がある。我々はそれを忘れてはならないだろう。たとえそれがどこかにあっさりと吸い込まれ、個体としての輪郭を失い、集合的な何かに置き換えられて消えていくのだとしても。いや、むしろこう言うべきなのだろう。それが集合的な何かに置き換えられていくからこそ、と。
歴史は過去のものではない。それは意識の内側で、あるいはまた無意識の内側で、温もりを持つ生きた血となって流れ、次の世代へと否応なく持ち運ばれていくものなのだ。そういう意味合いにおいて、ここに書かれているのは個人的な物語であると同時に、僕らの暮らす世界全体を作り上げている大きな物語の一部でもある。ごく微少な一部だが、それでもひとつのかけらであるという事実に間違いはない。」


7▶︎MI:個性を生かす多重知能の理論/ハワード・ガードナー

これもアートシンキング関連で手をつけた本です。このハワード・ガードナーという人は、ハーバードでプロジェクト・ゼロという研究を立ち上げた人。現在最も妥当性があるとして世界中で用いられているIQ(知能指数)で人間の能力を査定することに疑問を持ち、もっと多層的で表情豊かな“本当の能力”を探ろうとしている人です。彼は特にアーティストの思考に目をつけていました。
そんなわけでこの本にたどり着いたのですが、読んでいて思ったのは、頭の良すぎる人は思考がどんどん飛躍していって元のテーマに戻って来られなくなるのかもしれないなということでした。彼は間違いなく天才なのですが、人間の能力というあまりに深く広いテーマに魅了されるあまり、1人の人間が成し遂げられる研究の範疇を超えてしまっている気がしたのです。。。(だからプロジェクトを立ち上げたんでしょうけど!)大学院生の時に、テーマ設定は現実的にね。と教授に口うるさく言われたことを思い出しました。人が人生のうちで成し遂げられることのスケールを的確に見定めること、これも、研究者のセンスのひとつだと。ま、でも彼は天才なので、これからも彼の著作とプロジェクトを見守りたいと思います。


8▶︎メルロ=ポンティ 現れる他者/消える他者/酒井麻依子

なに読んじゃってんのって感じですが、これも興味のあるテーマだったので手に取りました。装丁も素敵なんですよこれ。これは一体何かと言うと、メルロ・ポンティが1949-1952にパリ大学文学部(ソルボンヌ)で行なった児童心理学と教育学の一連の講座「ソルボンヌ講座」を読解して再構成しようとした本なのです。私はここで語られる「スティル」という概念にとても興味があって。もともと私のバックグラウンドは心理学なのですが、心理学と現象学ってすごく近いところにあるので、(と私は思っているので)、彼らの理解を借りてきたり、視点を借りてくるとものすごい気づきがあるんですね。とにかくこの酒井さんて方は語り口も美しいし構成の仕方もエレガントなので良きです。難しい内容なので時間がかかりますが、時間をかけながら「?」「⁇」ってなりながら本を読むのもたまにはいいもんですね。



続いて!2020/7に観たなかで印象深かった映画・ドラマはこちら!
(本に比べると少ないですね)

1▶︎THE LAST DANCE
2▶︎Shutter Island
3▶︎海街Diary
4▶︎ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
5▶︎日本沈没2020


1▶︎THE LAST DANCE

ご存知マイケル・ジョーダンのドキュメンタリーです。
個人的にそんなバスケ詳しくないのですが、こういうスーパースターが語ることとか、周囲の人たちの語ることとかを見るのはすごく好きなので最後まで面白く観れました。光の強く当たる場所はそれだけ影も濃くなると。そんなことを思いながら。


2▶︎Shutter Island

これも今更感あるのですが、このコロナの週末、「外も出られないし、家の中で平和な感じもいいんだけど、なんかこうピリッと面白い映画観たいよね」みたいになって検索したら候補にあがったうちの一つです。ディカプリオの演技が大好きなので、ディカプリオが出てればそれだけでもう!てな感じで再生したのですが、評価にたがわず面白かったですよ。オチがなんとなく見えてるのが残念なところではあるけど。ラストもいいですよね。


3▶︎海街Diary

これは実は数年前私が海外在住だった頃に現地で上映されていた映画。邦画ってあまり観ないのですが、これは「ゆるい邦画観たいな」って時に手にとってビンゴな一本でした。何がいいって田舎の映像が綺麗だし疲れないし、綾瀬はるかに長澤まさみに広瀬すずちゃん、樹木希林にリリーフランキーまで出てきちゃってなんとも言えない安心感に浸りながらストーリーを追えるところ。それでいて四姉妹の描写の仕方が妙にリアルでホロリときたり。「女姉妹をわかってるねえ」という感じ。心が疲れた時に観ると沁みるかもしれない。ちょっと癒されるかもしれない。


4▶︎ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

これは上にもあげたけどディカプリオさんの演技が観たくて。でもこれは、まさにタランティーノ監督の“内輪向け”映画という感じで、そっちの文化にも歴史にも明るくない私は途中若干の置いてけぼり感を感じた。もちろんなんの予備知識もなくても楽しめる映画ではあるしそれくらいの配慮はある。でもやっぱり違うんだよな。それでも私が好きだったのは、この映画の中に流れる“空気感”みたいなもの。陽の光や、女性のファッションやメイク、ダサいセーター。監督の思い入れのようなものが伝わってきた。終盤は映画自体がひっくり返るようなどんちゃんさわぎになるんだけど、一緒に観てた彼は隣で大爆笑。目にしたこともないような巨額の制作費を使って、数え切れないほどの人が関わって、この映画が製作されてるわけだけど、、いや、監督ってやっぱり存在感すげーなと改めて思う映画だった。映画っていろんな使い方があるけど、別に監督の個人的な想いのために使ったっていいわけだもんね。必ずしも世界中のマジョリティのために作る必要はない。そんな気づきを得た。得たくなかったような気もするが。


5▶︎日本沈没2020

これは話題になってたから観た。のっけからテンションがよくわからない、謎の恐怖感漂うアニメ映画だった(好きな方には申し訳ない)。人が死んだり日本がどんどん壊れていったりしてもギャグみたいな雰囲気で進んだり、と思うと急にゾッとするほどリアルに人の心情が描かれたり…どうしてもまともな思想を持つ人が一貫した人格を持って書いたと思えないような構成で、違う意味で怖かった。背後に流れる“洗脳感”みたいなのがひしひしと感じられて、これ観終わる頃にはなんか洗脳されちゃってんじゃないのって思ったくらいだった。それでも「ラストどうする気なんだ?」と思いながら観た。ラストもやっぱり国家がどうのっていう語りがあって背筋が寒くなったけれど、同時に、「でも人間ってこれくらいあっけなくて、コントロールされやすくて、それでもしぶとい生き物なのかもしれないな」とも思った。想定外の非常事態っぷりがどう転んでもコロナを彷彿とさせる。どうか国家が、このような緊急事態時に、弱い人を切り捨ててるような割り切った考え方をしませんように、と望むばかりだ。


2020/7はそんな感じでした!

皆様も、オススメの本屋映画があったらぜひ教えてください。

ではでは。また次のnoteでお会いしましょう!

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